表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/8

第0話②『500年後への恋』

「プレイヤー?」

「はい、これがきみの『プレイヤーの証』だから、大切に扱ってね!無くしたらゲームに参加できないよ〜?」


 渡されたのは、大きめの鍵だった。まるい部分には何かの模様が刻まれているが、その意味はよくわからない。


「意味がわからないですわ」

「そう思って今から説明しようと思ってたの〜!もう、英雄様はせっかちなんだから!あ、自己紹介が遅れたね!私は案内人(ナビゲーター)、ゲームをナビゲートするよっ!」

「ゲーム……?」


 首を傾げるソーカ。


「そ、ゲーム!最後まで()()()プレイヤーが好きな願いを叶える、す〜〜〜〜っごくすごいゲームなんだから!」


 ナビゲーターの言葉に、ソーカはぴくりと反応した。


「あ!きみ、興味あるみたいだね!」

「本当に……本当に願いを叶えてくれるっていう保証はあるの?」

「勝者にならないと願いは叶えてあげられないよ〜!けどねぇ、きみにはもう『能力』が備わってるよ!」

「能力…………」


 ソーカには、能力についての心当たりがあった。

 炎の能力とハヤブサの能力。ニュンリンがソーカを助けた時の能力だ。


「初めてだから、教えてあげるね!………………おめでとう!きみの能力は、『薄くなれる能力』だって!能力は、念じれば簡単に発動できるからね!」

「わかりましたわ」


 あまりに非現実的な言葉を並べられていたが、数多の戦を経験した英雄はここまででおおよそを理解していた。


 説明をし終えたナビゲーターは、いつの間にかどこかへ消えていた。



 ニュンリンのいない家の前に立つソーカ。


「ものは試しですわ。あの口ぶり的に罠はないでしょう」


 ソーカは念じた。すると、自分の体が極薄の紙のようになった。


 そこから隙間に入り込み、扉を開けずに家の中に入ることができた。


「本当に使えてる……本当に簡単ですわ。この能力、隠密に使える。それに質量は保存されてるみたいだから切断攻撃にすると…………なるほど、わかりました。ゲームというものに勝って願いを叶える……やってみせますわ!」


 天才のソーカは、一瞬である程度の分析を完了した。その顔には、ニュンリンを探し出すという決意が宿っている。


「望みはありますわ」


 ソーカが思い出していたのは、ナビゲーターの『最後まで()()()プレイヤーが願いを叶える』というところ。


「あの口ぶりからするに、きっと無駄に血を流さなくて済む方法がある。なぜなら、『生き残った』という言い方をしてないから。殺し合うしか方法がないゲームなら、『生き残ったプレイヤー』と言って、殺し合いを強調したはず。だからもっと何か別のゲームがあるはず」


 それを確かめる方法は今はないが、ソーカはその結論に達していた。



 それから、ソーカはゲームに参加した。

 怪物を退治するゲームや、頭脳戦をするゲームなど。

 中には、戦争のように殺し合いをするゲームもあった。奇しくも、それはソーカの最も得意なジャンル。



 順調に勝ち進んでいった。

 ただの英雄ではなく、特殊能力という未知の存在、未知の概念が英雄にはついていた。そのため、勝ち進むことは難しくなかった。



 そして──


「おめでとう!まさか、初参加で優勝しちゃうなんて!さっすが英雄様!」


 ソーカは、初参加にもかかわらず優勝を掴み取った。


 謎の空間に、ソーカとナビゲーターの2人が立っている。


「それじゃ、ここに願いを書いてね!一応ある程度は汲み取るけど、不安なら詳しく書いた方がいいよ〜?」


 渡されたのは、四角い何かとペン。明らかにハイテクで、この時代に存在するはずのないもの。


(これは、一体どんな技術を使えばこんなことが?…………いや、それを言うならこのゲームも同じね)


 何をするかも瞬時に理解した。

 ペンで、文字を書いていく。そして、書き終わったら四角い板をナビゲーターに渡す。



「ふーん……こんな願いをしたのは、2()()()かな?」

「2人目……?」

「そ、2人目」

「誰?教えて!!」

「それはプライバシーだから教えられないよっ」


 ナビゲーターは、ソーカにきゅるんとした表情を見せつける。



 家で静かに瞑想しているソーカ。


「なんとかなると思ってたのは甘かったですわ。戦争の時のように、人を殺してしまった……」


 すこし悲しそうな顔をしてうつむくが、すぐにまた顔を上げた。


「これで準備はできましたわ。ニュンリンを探すため、そして……この()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…………」


 ソーカは、あらためて決意をその瞳に宿らせた──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ