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閻魔様トラウマを刺激してしまう

 異世界で生まれ変わり第二の人生が始まってから早15年が経っていた。私が生まれ変わることになった家はこの世界の中心都市にある普通の家族のもとに長男で生まれることが出来た。

 生まれ変わってしまって自分の閻魔大王としての能力が使えなくなってしまったかと少し焦ったが、そんなことはなく普通に使えることが出来たため幼子にしては似つかない安堵をつけたことを両親はひどく驚いていたっけ。


 さて、この世界で私が集めた情報を精査しよう。この世界はあのクソジジィの管轄する世界で転生者が跋扈している。転生者が送り込まれる前までは中世のヨーロッパ風の文化レベルで緑が溢れ、人がその日を生きるために足掻く素晴らしい世界だったのだが、度重なる転生者のチートによる文明レベルが上がり、この世界の生活水準、発展レベルが右肩上りで上がりすぎている。そのためか少し歩けば、似つかわしくないビルが立っていたり、この世界にはない金属で出来た神をも撃ち殺す銃だの、現代のバイクを模したものまで色々と作られてしまっている。


「あんの、アホジジィいくらなんでも世界観にあってねぇだろ。そもそも神を殺す武器を作らせる能力を渡すなよ、下剋上されても知らんからな」


 全ての元凶を呪いながら私はある目的地に向かい、一人道を歩いている。道を見渡してみてもやれクレープだのタピオカミルクティーだの軟派なものを飲食しながら女子たちが歩いている。


全く最近の若いものの砂糖文化には参ってしまう。砂糖ばかり摂ってしまっていると心まで甘っちょろくなってしまう。私には甘い心など必要ないのだだから甘いものなんぞ決して食べたりはしない



「全く、・・・・最近の若者たちは・・・モチャ、モチャ・・やれ流行だのなんだの・・・ズゾゾ・・そんな甘ったるいものばかり食べているから・・・・精神が甘くなって・・・ゴクン、しまうんだ!」


 私はこの世界の行く末を嘆きながら一人タピオカミルクティーの空をゴミ箱に捨てる。この違和感しかない世界でも私は私の責務を全うする。私は閻魔大王この世界でも厳正なる態度で悪人を誅する、地獄の大王なのだから。

 その高い決意を胸に抱きながら、私は歩き出していく。


 その決意に呼応するかの如く空は雲ひとつなく青く澄み渡っていたーーー


「あっ、お客様!生クリームマシマシ苺マシマシアイス多めのデンジャラスデコレーションMAXクレープをお忘れですよ!」


 青く澄み渡っている晴天は若干の雲を写していたーーーーーー




 そんなこんなで目的地である場所に着いた。ここは転生者が集う学校その名もリ・ボーン学園。数々の転生者や転移者が集まりこの世界のことを勉強するための学校。今日はこの学園に入学するための編入試験がある日となっている。

 周りをみても見目麗しい男女が行き来し合う、その人たちは皆学園の門を潜り抜けているため私もそれに着いてくことにする。


 門をくぐり学園の庭だと思われる場所には約100人の男女がそれぞれポツンと立っており、腕を組み不適な笑みを浮かべているものもいれば、木に背中を預け遠くからこちらを見ているものもいる。


「なぜ皆他のものと距離をとっているんだ?」

「ふふふ、それはですね皆それがかっこいいと思っているからなんですよねぇ・・・」


 突然後ろから声がして振り返ってみるとそこには白髪の活発の良い女の子がいた、まるで物知り顔で語るその表情は何かを知っているかの如く続く。


「かっこいい?一人でいることが?」

「えぇ、かっこいいですとも一人は孤高の存在。誰にも俺の気持ちは理解できないんだぜとか、他のバカみたいに騒いでいる奴と俺は違う、といったカッコつけですね」

「なるほど。ただ単に異性の気を引きたいだけのやつか。・・・・で、君は誰?」


 当然の如く自分の横で話を始めているが、そのことについて指摘するとすぐに咳払いをして態とらしく決めポーズをする。


「おっと名乗るのがまだでしたね!私の名前はハクノ・アルバート!元は只のサラリーマンでしたがある日突然トラックに轢かれるとそこにいたのは女神様!異世界転生をしても良いとのことだったので、異世界転生の特典として選んだのは自分の好きなゲーム『ダーリン私にキスをして❤️』のキャラクター、幸薄白乃ちゃん!めちゃかわよくて、いじらしいんですが、幼馴染属性を兼ね備えてしまったが故の負けヒロインという宿命を背負ってしまいどのルートでも主人公に振り向いてもらえない。そんなキャラクターとなっております。しかし私は逆にありがたかったですね。私の可愛い白乃ちゃんが、主人公とはいえ女がいるとあっちにフラフラ、こっちにフラフラと流れてしまう野郎なんかには任せておけないので!その為今回私が白乃ちゃんとして転生して、幸せに導いてあげる為にこの体に生まれ変わらせてもらったと、というわけなんです。・・・・・・・あれ?おーい、聞こえていますか?」





「てことはだ、君は好きなキャラクターに転生している。ただのおっさんということだね?」


 危ない危ない、突然始まった高速詠唱で気を失ってしまい。5分ほど気絶をしてしまっていた。気絶から目を覚ますと心配そうにこちらを見る美人にはドキッとしたが、先ほどの話を思い出すとなんだか奮い立つものも奮い立たなくなってしまう。


「そんな〜、おっさんだなんて〜。昔の自分は遥か遠くにサヨナラグッバイ!今の私はどこからどう見ても可愛い美少女ハクノちゃんですよ!」


目の前にいる少女は自分は過去はすでにいなくなったと言っている。

ふむ、それなら・・・・・


「そんな業績なら新人のあいつの方が使えるじゃねぇか!そんなんなら明日から出社しなくても大丈夫だぞ!」

「アッ、すすすすすいません!一生懸命頑張るのでどうかそれだけは勘弁してください!」


 突然土下座をして頭を擦り始めるハクノ・アルバート。まさしく今まで使い込まれてきた技術を感じるほどの素晴らしい土下座なのだが、声と体が震え絶望している。何かに怯えるように部長・・・部長・・・と下げた頭から懇願するような声が聞こえてくる。


 きっと何か刻み込まれたトラウマがあるんだろうなぁ・・・・・可哀想に


「ハッ、・・・・そうだここには部長はいない・・・比べられることもい、仕事もしなくていい、残業しなくてもいいんだ・・・・大丈夫、大丈夫」

「戻ってきた?」

「どうしましたぁ?うーん少し記憶が抜けているような気がしますねぇ、一体何があったんですか?」


 態とらしく、顎に指を当て考えるそぶりをする少女。トラウマを完全に消去するまではまだ時間がかかりそうだけど頑張って欲しい。


 さて、もう少しこの少女をからかってやりたい気持ちもあるが腕時計を見てみると指定された時間はすぐそこなので辞めておく。

 そんなことを考えていると、学園の方から今回の試験官と思われる女性が私たち編入者たちのもとにやってくる。


「では、これより!リ・ボーン学園編入試験を開始します!皆準備はいいですね!」

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