表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/65

58:オージンという男

「すごい……綺麗……」


 思わず口をついた言葉に、オージンさまは振り返る。

 ルビーのような深い紅みを帯びた鱗の一つ一つが太陽のように輝いて、煌々と燃えているようだった。


「『龍の加護』のレベル2といったとこだな……肉体に龍神の力を宿し、無敵の肉体を手にすることができるんだ。もっとも、これができるのは王族でも百年に一人と言われている」


 オージンさまの説明が本当ならば……彼は国を守護する龍神に選ばれた……次期国王なのではなくて!?

 そんな方が本当に、なぜうちなんかに居候してますの!?

 それも命がけの決闘なんかしてっ!


 ……ともあれ、ライオネルおじさまの剣は折れた。これで勝負は決したのだ。

 さああとはリュカさまに決闘の終了を宣言していただいて、もうとっとと帰っていただきましょう。

 そのあとで、オージンさまにはたっぷりとお話を聞かせて貰うことにしますわ!


「リュカさま! 勝負は決しました! オージンさまの勝利を宣言してくださいませ!」


「……ふん、そのようだな。実につまらんわ。では勝者――!」


 悪態をつきながらも右手を挙げて、リュカさまが決着の宣言を――するのを、オージンさまが阻止した。

 具体的には、人間離れした跳躍でもって一気にリュカさまの元へ跳躍して、上げた右手と、その口を抑え込んでしまったのだ。


「もがぁ!?」


「そう早まるなよ。まだ勝負は終わってない。……なあそうだろ? ライオネル殿?」


 不敵に笑うオージンさま。


「な……なに? 俺はもう、た、戦えないぞ……! 剣は折れた! もうおしまいだ!」


「いいや、ダまだ終わっちゃいない」


「な、なんだって言うんだ……」


 対してライオネルおじさまは、完全に戦意を消失してしまっていた。

 オージンさまの意図がわからない……この戦いを無意味に引き延ばしてなにがしたいの?

 その真意は、すぐに明かされた。


「ぬるいこと言うなよ。開始の宣言を忘れたか? 『この勝負が終わってなお立っていられる者は一人』なんだよ。俺たちはまだ、お互い生きてる……決着はまだついていないってワケだ」


「な……っ!?」


「オージンさま!?」


 彼の金の瞳が怪しく光る。何を言ってるの? まさかもう戦うすべもない相手を一方的に殺そうとでも言うの!?

 即座に異議を申し立てる。こんなことを言うなんて、まるであのお優しいオージンさまじゃないみたいだった。


「オージンさま! もうやめましょう! あなたの勝利ですわ! これ以上は、貴方の名誉に傷が残ります!」


「ああ……すまん、カリン様。実はオージンって、偽名なんだ」


 ……まあ身分を隠したい王族なんですもの、そりゃそうですわよね!

 彼は言葉を続ける。


「俺の本当の名は、シュサク。シュサク・フェルニクス・ルビーラスト。まあこの真っ赤な姿を見てわかる通り、紅龍国の王子だ。――俺は我が弟である第二王子の謀反により、国外へ逃亡した身なんで、身分を隠していた。すまない」




 ――え!?

 めちゃくちゃ重大事項をさらっと言いませんでしたこのお方!?

お読みいただき感謝でございます。

少しでも面白いと思ったなら「ブクマ」「いいね」「☆での評価」お願いします!

ランキングに載ってこの作品をもっと広めていきたいです。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ