閑話かくれんぼ
全てのお母さん、お父さんたちお疲れ様です。
あれから2年が経った。
前世はゆとり世代で育った筈の私達は謎の使命感とやる気を出し殆どの教育を終えようとしていた。私達はそれはそれはもう全力で頑張った。いくら中身がアラサーで勉強が楽勝でも身体が子供のせいで体力お化けと化していたので毎日最短で勉強を終わらせ只管に館内を走り回った。体力をなるべく削らないと夜ギンギンに目が冴えて眠れないので例え「もう疲れたから大丈夫」と思っても只管に廊下を走り木に登り泥んこだらけになり極限まで体力を使い切った。(世の中のお母さん、いつもご苦労様です。だけど子供も動かないと夜眠れないので必死なんです。)
結果、屋敷内は私たち三つ子の笑い声と叫び声、それから使用人達の悲鳴(木から降りれなくなったり泥だらけの私達を見た等)のおかげで大層賑やかになった。
ロバートは最初物凄く驚いたようで事情を説明したら原理については納得してくれたようだった。
「あぁ、なるほど。理解はしました。ですが、皆様は例えまだ幼年であっても公爵家の令嬢です。いいですか?節度を守ってください。」
というわけで節度を守って遊ぶ方法を考えた結果かくれんぼをしてみたら思いのほか楽しくて時にはお父様を含めた4人でやったところ今度はポリーから雷が落ちた。
「いいですか?貴女達は公爵令嬢です!!!そして旦那様!!!貴方様は公爵家当主です!!!何をどうしたらご令嬢がキッチンのキャビネットの中や厩のおが屑の中で隠れていたり公爵家当主が装飾品の鎧の中で熱中症を起こせるんですか!!!!意図せずして見つけた使用人達は皆気絶したり軽いトラウマになるしそんな恥ずかしい理由でお医者様なんて呼べる筈ないでしょう!!!!」
いやぁついつい本気でかくれんぼをしたら皆が皆楽しくなりすぎちゃってなかなか凄い所に隠れたのはいいけど大きすぎる屋敷の中を幼女の体で探すのは時間が掛かりすぎて見つける前に使用人に発見されちゃってこの一時間屋敷から悲鳴が鳴りやまなかったのよね…
因みに仁王立ちをするポリーの前で4人仲良く正座でお説教を受けました。正座でお説教って文化こっちにもあったんだね…熱中しすぎて声が枯れてきたポリーに優しくロバートが声を掛ける。
「ポリー、もうその辺で。声が枯れてきているので厨房で喉の痛みを和らげる為に蜂蜜をたっぷりといれた紅茶でも飲んできてください。」
あ、これはお説教終了の合図!?4人一斉に顔を上げるとそこには物凄くいい笑顔のロバートが綺麗な姿勢のまま私達を見下ろしていました。
「旦那様、お嬢様方。この世界の何処を探したって正座で使用人に説教される貴族はいないでしょう。確かにお嬢様方の御話を伺い節度を守った範囲でと言いました。御姿がお子様でもその御心は大人だと信じていたからです。そして旦那様、一体何処を探したら子供より遊びに夢中になって倒れる親がいるんですか?皆様は爺をショック死させるつもりですか?この二年でどれだけ白髪が増えたと思ってるんですか?」
凄まじい勢いでまたお説教が始まり結局ロバートの声が枯れ始めた頃「今後かくれんぼは禁止」の宣言と共に解放された。足が痺れて動けなくて苦しむ3人と狂喜するエミが床で転がったままという何ともシュールなおまけつきのこの出来事も今思えばいい思い出…な筈。
偶には只管にコミカルなのが書きたくて…かくれんぼって楽しいですよね!今日も今日とて面白かったらブクマと高評価お願いします!




