転生したら三つ子の長女でした。20
お久しぶりです!
歓迎会と言っても学生中心の寮で行うものなので正装はよく言えば盛り過ぎ悪く言えば目立ちたがりと言われるらしいので晩餐用のドレスの中でも品よく華美過ぎないもの。この匙加減が難しいのだが担当してくれた平民の侍女アルバイト兼今年入学の学生にかなりセンスのいい子がいて先輩侍女達も認める程上手く纏めてくれた。しかも三つ子だからリンクコーデがいいのではと他の部屋にも走り伝達までしてくれた。そういえば前世でも上座つまり奥に行くほど身分が高いというマナーはこちらの世界にもある。伯爵家に嫁ぐシシーが私の部屋の隣で侯爵家に嫁ぐエミリーがそのまた隣なのはもしもの時の為である。現王太子の婚約者で次期王妃の私の隣には多少腕の立つと思われる(家族以外は歩く戦闘機とは知らない)シシーで色が同じエミリーは私の身代わりに成り得るという理由でこの順番。生まれた順ではなく貴族の怖い世界を多分に含んだ部屋割だった。
「あら、そのドレスにそのネックレスも映えるのね」
「見たことのない組み合わせだけど中々ソフィーに似合ってるな。」
先に準備の終えた二人が見学がてらに部屋に入ってきて嬉しそうに目を細める。
今回のドレスコードはパステルカラー。新入生のフレッシュ感を表す為らしい。砂糖菓子みたいに甘くなっても可笑しくない淡いライラックのドレスに黒を差し色にして甘さを抑えフリルやリボンもついているが何処か大人っぽいスタイルに纏められている。ストレートの髪を活かしスッキリと結われた髪形に合わせ耳元には大振りなイヤリングを。首元はゴテゴテになり過ぎないようにシンプルな黒のベルベットに耳元と同じ石のついたチョーカーをすることでデコルテが美しく飾られている。
「シシーもエミリーもとっても綺麗よ。」
シシーは髪色や瞳の色と元の妖艶な雰囲気のせいでパステルは難しいかと思ったけど淡いピンクのドレスをシンプルなデザインにすることでスタイルの良さと柔らかい雰囲気を醸し出してる。首元にはドレスと同色のサテンのチョーカーが巻かれている。髪形は癖毛を活かした緩めに纏め真珠などを所々に飾ったスタイルが大変よく合っている。漆黒の髪だからこそ合うヘアアレンジだ。白銀の私やエミリーでは真珠と髪色が同化してボヤけてしまうから羨ましい。エミリーは淡いブルーにレースが特徴的なデザインのドレスにふんわりと纏められた髪形とまるで妖精のような愛らしさである。そこにレースのチョーカーが合わさり普段を知る私ですら一瞬妖精姫が現世に迷い込んできたと錯覚してしまう。
「この素敵な組み合わせを考えてくれた彼女に感謝ね。」
「お名前を聞いても?」
「是非これからも私達に力を貸してほしい。」
「ひゃ、ひゃい!アリシア・ベイでございます!!!」
レモン色の髪に新緑の瞳を持つアリシアは緊張と感動で感情がパニックを起こし涙目で顔を真っ赤にして答える。
『よろしくね、アリシア』
「皆様、そろそろ晩餐会へ」
ベテラン侍女に促され私達はそのまま会場となる部屋へ向かう。尚その後感情が爆発し過ぎたアリシアは気絶の後怒涛にその三つ子の麗しさと優しさを語り忠誠を誓うようになることをこの時の私達は知らない。
「本日は誠におめでとうございます。」
新入生だけがパステルらしく二年生からは緑がドレスコードらしいこの歓迎会は周りを見渡せば花のような新入生のパステルと葉や茎を思わせる緑を身に着けた上級生達と大きな花束や美しい庭園のようで爽やかで華やかな美しさがある。
私達は上級生からの言祝や同級生からの全貌の眼差しをスルーしながらお目当ての人物を見つける。社交界デビュー前と言えど貴族年鑑で見たことのあるクラリスは濃い紅色の髪を纏め深海のような瞳をした少し厳しめな風貌をした少女であった。
「スペンサー伯爵令嬢、この度はお招き頂きありがとう存じます。」
三人揃ってカテーシーを完璧にすれば周りから溜息が聞こえる。言葉は悪いけど舐めんなよ。こちとらどんだけ苦しい教育受けてきたと思ってきてんだ。
「まぁ、次期王妃様と宰相夫人と騎士団長夫人からご挨拶を受けるとは恐れ多いですわ。」
「いえ、私共は入学すれば一生徒。そして皆様の後輩にございます。ご指導ご鞭撻のほどお願いできればと。」
その返しに満更でも無さそうな笑みを浮かべるクラリスにホッとする。司法では有名な家の令嬢で本人も公平であり何より礼節に厳しいと聞く。
「まぁまぁ素敵な心がけです事。学生が中心の小さな歓迎会ですが楽しんでくださいませね。何かあればお声がけください。」
「ありがとう存じます。三つ子故何かと面倒でございましょう。出来ましたら名前で呼んで頂ければと。」
「ではソフィア様、セシリア様、エミリア様、同じ寮で暮らす者として宜しくお願い致します。私のことはクラリスとお呼びになってくださいましね。このように将来有望な方達とお近づきになれるなんて寮長になるものですね。あ、私の次に寮長になりそうなお方も紹介しておきましょうね。」
純粋に嬉しそうな顔をしながら心の内で叫ぶ。これで将来安泰に一歩近づいた!!!
やっと休みなのに生まれて初めて花粉症になって発狂しそうな今日この頃。もう少し更新速度上げたい…花粉症辛い人…ブクマと高評価お願いします。出来たら花粉症対策も願います。目に来るタイプです…




