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閑話 実母と未来の義母のお話

ちょっと休憩



あれから更に2年の月日が経ち王妃教育にも慣れ公務も少しずつ増えてきた頃、私は現王太子妃であり未来の義母とお茶友達になっていた。慣れない王宮での作法や習慣に苦労しているであろうと王太子妃様から御声が掛かったのが事の始まりで今は美術史なども存分に語り合えるいい関係を築いていた。



「そう言えばメグのことを貴女と話したことはなかったわね。」


二人の王子の母とは思えぬ美貌の王太子妃は一ミリのズレもなく完璧な所作で薄く割れそうに儚い陶磁器からお茶を一口飲んだ。いや、確かに前世のこともあるから気になるけど義母と実母が元恋敵だった的なストーリーはちょっと…と本人に聞くのは遠慮してたのに…



「うふふ、貴女のその様子だと聞きたくても聞けなかったみたいね。まぁダメよそんなに顔に出したら。これが王妃教育中だったらあのオルコット婦人に間違いなくお説教されてしまうわよ。」


王妃教育の教官であるヘンリエッタ・オルコット伯爵夫人は小さいことにも即ダメ出しを入れてくる姑にしたら嫌な女性ランキングがあるなら一位を取りすぎて殿堂入りレベルの女性だった。(幸いなことにオルコット家は娘が二人で婿養子を取ったので夫人のいびりにも取れる物凄い教育は娘達と王族と婚約者達だけに止められた。〉


「まぁ今は二人だけのお茶会だし良しとしましょう。それでメグと私は友人だったのよ。意外でしょう?殿下はメグにぞっこんだったのは有名だったものね。でもね、メグが一度も殿下の好意を受け止めたことはなかったしむしろ毎回逃げ回っていたの。最初は凄く腹が立ったわ。だって何年も婚約者として傍にいて身も心も王妃教育で擦り減ってる私を放置してメグを追いかけまわすのだもの。だけど逃げ回るメグと追い回す殿下を見てね私思ったの。この執着ちょっと気持ち悪いなって。顔と地位が良いだけでやってることは完全にストーカーじゃない?そう思い始めたら私この執着を私に向けられてたらただでさえ王妃教育で参ってる心が更に参っちゃうわねって感情になって気が付いたらメグを応援するようになってたのよ。」


待って、物凄い不敬な発言パラダイスだし悟りを開いた笑顔は怖いしナニコレ?


「それからメグとはお茶をするようになってね。シャーロットやレオノーラつまり現クラーク伯爵夫人とハミルトン侯爵夫人ね。彼女たちも参加するようになって傍から見ればかなり異様だったでしょうね。だって王太子や騎士団長子息と宰相子息から寵愛を受ける聖女とその婚約者達が一緒にお茶してるのだもの。後から皆目見当もつかない叱責を殿下から受けたものよ。曰く嫉妬をして複数人でメグを囲むなんてってね。うふふ。あぁ帝王学を学んで王太子として教育を受けている割におバカさんなんだわって思って翌日から更に勉学に走ったわ。だって私が支えないとこの国終わるでしょう?」


うわぁ最早リアクション取り辛すぎてどうしよう。笑えないし頷けないよ。


「メグの為に婚約破棄をとか言い出した時は流石にもう何も言えないと思ったけど…確かメグが冷静に殿下を諭したのよね。『国のパワーバランスを考えてされた契約でもある婚約をそんなことで破棄する時点で王太子としての素質を疑われて即廃嫡コースが目に見えてるけどそれでもいいならどうぞ。でも私は破棄されたところで殿下の次の婚約者になる予定はありません。エリザベス様は血反吐を吐くような王妃教育を耐えていらっしゃるのに他の女に目移りしてストーカーになるような殿下に恋情なんて塵ほどもございませんので。』とか言ってね。聞いてた私は本当に笑いを堪えるのが辛くて大変だったわ。」


なんだろう。内容が内容過ぎて遠くを見ちゃうよね。何やってるの王太子。そして堂々と何不敬なこと言っちゃってるのめぐみ。



「まぁそんなこんながあって結婚や妊娠の時期も被ったお陰で更に仲良くなったのよ。メグは行動力があってお節介で面白い子だったわ。メグが亡くなった時は本当に悲しかった。メグの残した貴女をお嫁さんとして貰いたいと騒いだのは殿下だけど大切な友人の残した娘を我が娘として育てたいと思ったのも事実よ。だからね、いつでも何かあれば相談してちょうだいね。だってこの王妃教育の過酷さと自分で言うのもあれだけど婚約者がアホすぎるなんて共通点が私達にはあるんだもの。」


いつもの作られた笑みでも先程の背筋の凍る微笑でもなく心からの微笑みになんとなくめぐみを思い出し嬉しくて私も心からの笑顔を返すのだった。



この3年後くらいに王太子夫妻の戴冠式が行われ国王と王妃になる予定ですが割愛する予定です。こんな未来の義母いいなと思った方、今日も面白かったと思った方、ブクマと高評価お願いします!


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