記念日
RRRR....
久しぶり彼からのメッセージ。
期待などしていなかったのに、やっぱり連絡があるのは素直に嬉しい。
”明日の夜食事に行こう。場所は後で連絡する。”
素っ気ないメッセージはいつもの事。自分の都合だけを考え、私の予定も聞かないところはどうかと思うが、久しぶりに会える。寂しかった訳では無いけど、自然と嬉しさから笑顔になる。
自分でも思うけどやっぱり私は単純だ。
”わかった。楽しみにしてるね。”
強がっていた訳じゃないけど、心のどこかでは寂しいと思っていたのかもしれない。
翌日。
久しぶりのデートが決まり、1日があっという間に過ぎ去っていった。
私は仕事が終わり、待ち合わせたお店にやってきた。
久しぶりに会えるのはもちろん嬉しかった。でも、今日が何の日かを彼も覚えてくれていた事がその事よりも何倍も嬉しく思った。
今日は8年前、私たちが付き合った記念日でもある。
記念日を意識していたのは2年目くらいまでだったかな?3年目にはもうふたりとも忙しくお祝いなんてすることもなかった。
まあ、8年も付き合うとは想定していなかったし仕方が無いといえば仕方が無い。
私はどこで、そのまま結婚するんだろうなと考えていたけど今日まで結婚することも無く、ただ付き合ってきた。
友里さん曰く、ダラダラ付き合っても時間の無駄。らしいけど、長く付き合っておざなりになっていた記念日を、お互い忘れずにいたと言うだけでもこんなに温かい気持ちになれるなら、それも有りだなと思ってしまった。
店に入り、予約の名前を伝える。
案内されたテーブルにはもう既に彼が待っていた。
「おつかれ」
「お疲れ様。」
仕事帰りだから当たり前だけど、スーツに高級レストラン。そして今日は記念日。
期待をしていないとはいうものの、少し期待してしまう。
いよいよプロポーズしてくれるかな?
淡い期待を抱き、彼を見るとどことなくよそよそしかった。
緊張している?
…たぶん、緊張しているんだと思うけど
なんだか心がザワザワするのを感じた。