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しかしMPがたりない  作者: すたーろっど
3/3

そるでぃあ

「ほいよ、依頼報酬16万エクス。また宜しく頼むぜ」


「さんきゅーおやっさん!さぁ燃料補給しにいくぞハルちゃん」


「おやつはいい。ぼくにはそれが必要なんだ」


おやつを求めて街を歩く。

こういうのはぶらぶら歩いて決めるもんだ。


「今日は何処行こうかハルちゃん」


「なやましい。焼き菓子であれば西通りの店だが生菓子なら東なのだ」


「セントラルの屋台も悪くないんだけどねー。どーしたもんか」


あーだこーだ。

なんか食べたいけど何を食べるか思いつかない。

あるあるだよね。


そんなこんなで街を練り歩いていたとき。


「あのう…ちょっといいですか…?」


なにやら見覚えのあるローブを着た女の子が話しかけてきた。


「はーい。何か聞きたいことがあるのかなー?」


「魔法学校に通う為に越してきたのですが、ちょっと道がわからなくて…西通りはどちらですか?」


「おおー、後輩かー。ソルディアは結構迷いやすいからね。せっかくだから案内してあげよう」


「本当ですか?ありがとうございます!」


「いいっていいってー。ハルちゃん今日はクッキーにしような」


「うむうむ。かわいい後輩は懇意にせねばなるまい」


***


「このへんがセントラル。噴水が目印の広場だよ。屋台なんかも並んでていつも賑やか!」


「…わたし東のほうに行ってたんですね」


「ソルディア初心者にはままあることだな」


「まぁ少しずつ覚えていけば大丈夫!どーせ長く住むんだからエナもそのうち覚えるって」


「ルミナさんたちも最初は苦労したんですか?」


「私?まぁそれなりにはねー。南裏通り辺りは完全に迷路だし」


「北表通りも中々だな。なぜ表通りなのにあそこまで入り組んでいるのだ」


「色々あるんですねぇ…。」


後輩ちゃんの名前はエナって言うみたい。

ちんまりした印象のかわいい女の子。

…ハルちゃんよりは大きいけど。


「エナちゃんはなんでここの学校に学びにきたのー?」


「わたし、魔導士に憧れてて…有名な魔導士をたくさん勉強したっていうソルディアのアルテミア魔法学校に行ってみたかったんです」


「うむうむ!そいつはいいねぇ!アルテミアはその期待を裏切らないぜぃ」


「…アルテミアなら本当に凄い魔導士になれるのですか?」


「おうとも。努力とやる気があれば何にでもなれるっ!…ま、素質の影響はけっこー大きいけどね」


「素質…ですか?」


「魔法ってのは割と素質の問題が大きいんだ。どんなに頑張っても猫が空を飛べないように、空を飛ぶ鳥が海を泳げないように…出来る事と出来ない事があるの」


「ぼくたちなどその極致といっていいな。ぼくはどんな大魔法もしょぼくれた威力でしか使えないし、ルミナは魔法を1、2発しか撃てん」


「それは…大変どころの話ではないのでは?」


「私たちはまだいいよー。それ以外に関しては恵まれてた方だからいくらでもやりようがあったし」


「大変だと思えるからこそ自らの魔導的素質を明確にするべきなのだな。自分の欠点がわかっていればそれを補うのも棄てるのも楽にすむ」


「なるほど…覚えておきます」


「エナちゃんは勉強熱心だねー。その調子で街の進みかたも覚えちゃおう!」


「はいっ!」


***


「そいでここが目的の西通り!日用品ならだいたいなんでも揃う便利なとこ!」


「ふう…何から何までありがとうございました!」


「気にすんなよぅエナちゃん!同じ街に居るんだからまた会うかもしれんしその時はゆっくり話そうねー!」


「またあおう後輩。つぎあう時は茶でも一杯おごるとしよう」


「はい!ルミナさん、ハルさん、また会いましょうね!」


お互いに姿が見えなくなるまで手を振り合う。

またこの街に居座る理由が出来ちまったぜ。


「さあぼくたちも行こうルミナ。クッキーとの逢瀬がまっているぞ」


「おーけーハルちゃん!いざいかんー!」


そして私たちはクッキーを求めて疾風の如く駆け出した。

フィジカルはそんなでもないので実際はそよ風ぐらいだ。


***


「ばいばーい!」


笑顔でぶんぶん手を振るルミナさん。

ちょっと道を聞きたかっただけだったけど随分お世話になってしまいました。


慣れない土地で何処になにがあるかも分からなくて不安だったけど、今日の出会いのおかげでちょっとだけ安心できました。

きっとわたしはソルディアでもやっていける。


聞けばルミナさんとハルさんは冒険者をやっているらしい。

どうも体質(けってん)の問題であんまり遠出は出来ないようですが。


二人からは色々な話を聞きました。

魔法の話をたくさん、日常のはなしをすこし。


わたしはどんな魔導士になれるかな?

素質が大事だってルミナさんは言っていた。

「でも努力もとーぜん大事だよー!」とも言ってたな。

がんばらなきゃ。


頬を叩いて気合を入れる。

二人の言葉のおかげで、漠然とした将来の夢がすこし明瞭になった気がします。


すてきな魔導士になる。

その為に、この街でいっぱい勉強する。

ひとまずは、それでいいかな。


ルミナさんやハルさんとも、また会えたらいいなぁ。

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