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1 チート覚醒

唐突に意識が戻り俺はゆっくりと目を開く。

そこは見知らぬ天井・・・ではなくいつもの見慣れた天井だった。

腕の歯形を見て夢でないことを確認する。

体を起こし四肢を動かしてみるが、問題なく動くようだ。

むしろ以前より体が軽い。

起き上がり鏡の前に移動し、写った自分を観察するが変わった所は見当たらない。

どうやら1%の賭けに勝ったようだ。


第二段階もクリアだ。


でも何故ゾンビ化しなかったのだろう?

まあそっちは考えてもわからないので、まずはこっちの問題だ。


「もしかして人間のまま?」


体がそのままなのでいまいちわかりずらい。

これは外に出て検証することにしよう。

先程と同様にバットを持ち部屋の外に出る。

共用部の廊下には老人ゾンビがそのまま倒れていた。

腐りかけているのか異臭を放っているため、端に避けながら廊下を進みエレベーターの前に到着。

爺さんが乗って来たからかエレベーターはこの階に停止していた。

このまま乗っても良いが、降りたら鉢合わせになっても困るので、横にある階段から降りる事にした。

一階まで降り周りに誰もいないのを確認し、自動ドアのガラスの部分から外を見る。


「マジか」


外を見ると30体ほどのゾンビがノロノロと彷徨いている。


「これだけいれば検証するには好都合か」


意を決して外に出ると、古いためか自動ドアの音が鳴ってしまい、ゾンビ共がその音に反応し一斉にこっちを向く。

音へ反応したことと、目も明らかにこちらを凝視していたことから、聴覚と視覚はある程度あるようだ。

バットを構え注視していると、ゾンビ共は興味を失ったのかまた彷徨きだす。


「これはいけるか?」


俺は一番近くにいた一体の女性のゾンビに近付いてみる。

生前はさぞモテたであろう端正な顔付きも、今は青白く血管が浮き出て見るにたえない。

近寄っても反応がないので思い切って前に立ってみると、俺を避けて逃げるように去って行った。


「あれ?俺嫌われてる。」


それから何体かで試してみるも同じく俺から逃げて行く。

老人、青年、JK、子供、みな逃げて行くので女性だけに嫌われているわけじゃないようだ。ないようだ。ない・・・よね?

若干涙目になりながらも一旦部屋に戻る事にした。


部屋に戻り無事に対ゾンビ能力を手にした事に安堵し一息つく。

緊張のため渇いていた喉にペットボトルのお茶を流し込み、今後の予定を考える。

ゾンビに襲われないという事は食料調達も簡単なので、この部屋に引きこもる事も可能だろう。

だが食料もいずれ尽きるし、ここは北の大地北海道だ。

電気、水道、ガスはまだ生きているが、冬に止まってしまえば凍え死ぬこと間違いない。

除雪なども入らないだろうから道も雪で埋まり身動き出来なくなる。

ん?ゾンビって冬はどうなるんだ?

流石に雪に埋もれたら動けなくなるよね?

雪解けにツクシじゃなくゾンビが出て来たらゾッとしかしない。

まあまだ4月なので半年以上は余裕がある。

そこで考えたのは南の島への移住だ。

沖縄は流石に遠いが、小笠原諸島あたりなら船で行けるだろう。

苫小牧まで行けばもしかしたらフェリーがあるかもしれない。

それにはまず札幌を脱出しなければいけないのだが。

今日はもう遅いので準備だけして、出発は明日の朝にすることにしよう。


チート覚醒、第三段階クリア。

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