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8 王の覚醒

病院内に入ると、そこは地獄だった。

あれ?さっきも地獄を見たような。

さっきのが焦熱地獄だとしたら、ここは叫喚地獄だろうか。

ゾンビがあちらこちらで唸り声を上げて彷徨っている。

屋上にはどうやって行くんだろう?

位置的には真ん中の病棟だったはずだが。

悠木に無線で確認してみよう。


「悠木。建物はここで良いのか?」

「ああ。そのまま上の階に行けば屋上に出られるだろう」

「生存者はまだ大丈夫そうか?」

「今のところはな。だが扉が揺れているから時間の問題だろうよ」

「あっ、雪ちゃんだ。おーい。」


早見さんがパソコンの画面に手を振ってるようだ。

向こうから見えるわけがないのに。天然か!

しかしこれは急がないとヤバそうだ。

奥のほうに進むとエレベーターを発見した。

動いているので病院にはまだ電気が通っているようだ。

もう降りた途端にゾンビと鉢合わせになっても大丈夫なので、安心してエレベーターに乗り込む。

三階までしかないのでそこが最上階みたいだな。

三階にエレベーターが到着し扉が開く。

意外といないなと思った瞬間、俺の背中に強烈な悪寒が走る。


「なんだあいつは」


ゾンビの群れの奥に佇むゾンビ。

そいつの目は赤かった。

するといきなり周りにいたゾンビを食べ出した。

もしかして共食いをしたら強くなるパターンか?

ラノベにはよくあるパターンなので驚きはしないが警戒する。

食べ終わったのかそいつは立ち上がりこっちを見る。

口元を真っ赤に濡らし、赤い目でこっちを睨みニヤリと笑う。

来るか?

と思ったが奴は俺がいる方とは別の方向に向かって行く。

その先には屋上に続くであろう階段があった。


「まずい!」


俺は走り出すが、いつもは逃げて行くゾンビ共が邪魔をする。

襲っては来ないが避けもしない。


「邪魔だ!どけ!」


ゾンビを蹴散らし前に進むがその隙に赤目ゾンビは階段の奥に消え去った。

奴は知っているんだ。

あの先に新鮮な餌が沢山ある事を。

焦燥感に駆られながらゾンビの波を掻き分け、階段の上に辿り着き見えた物は、壊された扉とそこに雪崩れ込むゾンビ共。

赤目ゾンビは既に屋上に出たのかいなかった。


「ヤバいぞ瞬!生存者達がゾンビに襲われている!」

「きゃあ!雪ちゃん!」


悠木から無線が入り、早見さんの悲鳴が聞こえる。

屋上に出た俺の目に飛び込んで来たのは、襲われる生存者達、今にも赤目ゾンビに襲われそうな白衣を着た女性(エロい格好)だった。


間に合わない!

俺の力じゃ誰も守れないのか!

自分だけ安全じゃ意味がないんだ!

頼む!誰でも良いから助けてくれ!


(チカラガ ホシイデスカ?)


「誰だ!」


どこからか声が聞こえて来る。

初めは悠木かと思ったが聞いたことのない声だ。


(チカラガ ホシイデスカ?)


また聞こえた。

俺は藁にもすがる思いでそれに答える。


「何でも良い!早く寄越せ!」


(ワカリマシタ。デハアナタニ『死者ノ王』ヲサズケマス。アトモドリハデキマセン。ショウニンシマスカ?イエス/ノー)


「目の前の人を救えるのなら、俺は王にでも何だってなってやる!」


(イエス/ノー)


「イエスだ!」


(ショウニンシマシタ。デハチカラノハツドウニハコノコトバヲオツカイクダサイ。

_____。___、___)


頭の中に流れ込んで来る言葉を俺は叫ぶ。


「死者の王が命じる。貴様達は、死ね!」


何も起こらない。

何だよこれは。

騙されたのかと思ったが、


((((イエ モウ シンデマス!))))


何故か謎の声とともにゾンビの声も聞こえた気がした。

赤目ゾンビも何故か軽蔑した目でこちらを見ている。


「ああそうか。では改めまして!」


「死者の王が命じる。全員、止まれ!」


すると生存者に襲っていたゾンビも、白衣の女性(エロい格好)の前にいた赤目ゾンビも全員止まっていた。

今度は上手くいったようで安堵する。


こうして俺は『死者の王』として本当の覚醒をしたのであった。


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