表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/83

0 世界の終わりの始まり

「やっぱ噛まれないとダメかあ」


俺は読んでいたラノベをそっと閉じた。

俺の名前は 福山 瞬。現在札幌にある自宅マンションに立てこもり中だ。

何故なら外には通称ゾンビと言われるものが我が物顔で闊歩しているからだ。


どうしてこうなっているのかというと、昨日の4月2日に俺は夜勤を終えて家で寝ていた。

すると外から悲鳴と衝突音が聞こえ飛び起きた。日頃から交通量はそこそこあり、たまに珍走する奴らもいたからバカが事故ったのだろうと6階にある部屋の窓から外を覗く。

・・・噛んでいた。

そう、人が人を襲いムシャムシャと咀嚼している。

息をのみながら暫く見ていると、噛まれて倒れていた人がムクリと起き、ゆっくりと動き出したかと思うと、介抱をしていた女性に噛みついた。

そこからパニックが蔓延するのに時間はかからなかった。

歩行者は逃げ遅れた人が腕や足を掴まれ餌食になっていく。

車もゾンビを避けようとハンドルを切り電柱に衝突し、車外に出たところに群がられ奴らの仲間になっていく。

遠くでは救急車やパトカーのサイレンが鳴り響き、時たま爆発音も聞こえる。

外を覗くのをやめテレビをつけると、日本中で起こってるらしくリポーターが慌ただしく絶叫しながリポートしている。

突然カメラが倒れ澄みきった青空を映す。

次に映ったのは青空には似つかわしくない、青白い顔に血管が浮き出、目は白く濁り大口を開けている人らしきナニか。

次の瞬間画面いっぱいに広がる赤黒い液体。

すぐに画面が切り替わりスタジオでは怒号が飛び交いアナウンサーが謝罪をしている。


その日 世界の終わりが 始まったのだ


そして現在。

俺は絶賛悩み中。

噛まれれば99%奴らの仲間入りは決定だろう。

だが部屋に引きこもっていても先はない。

ラノベで培った知識はあるが、田舎に逃げたり、スーパーに立てこもったりするのは実際にやるとなると無理がある。

どっちみち助からないのであれば1%の希望に賭けるのもありかと。

決めた!


「俺はゾンビに噛まれてチートになる!」


手を振り上げ誰もいない部屋で叫んだが虚しい。

まずは準備だ。

いちおう噛まれた後に撃退できるよう武器が必要だろう。

玄関に置いてある朝野球でつかってたバットを手に取る。

これでも学生の頃は高校球児だったのだ。

準備も完了しドアの覗き穴から外を見る。

人影がないのを確認しゆっくりと静かにドアを開ける。

左右確認。左よし。右よ・・・いた。


「ヴアァァァァァア」


意味不明な声を出し襲いかかってきた。

確か隣の部屋に住んでいた爺さんだ。

多分外で噛まれて逃げ帰って来て、部屋に辿り着く前にゾンビになってしまったのだろう。

俺は咄嗟に左腕を前に出し、噛もうとしてきた口に押し当てる。

腕に歯が食い込んでくるが、元々老人だったためか食いちぎられる事はなかった。

痛みに我慢し右手に持っていたバットを振り上げ脳天にぶち当てる。

ベコンッと老人ゾンビの頭がへこみ、割れた隙間から赤黒い液体を流しながら老人ゾンビはその場に倒れた。

腕に刺さった歯を抜きながら急いで部屋に戻り鍵を閉めると、部屋の廊下にバタンと仰向けに倒れてしまう。

そして、腕に残った歯形をニヤリと見ながら俺の意識は遠のいていった。


まずは第一段階クリアだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ