48サークル目☆ 英雄は強し♪
せっかくなので色々聞いてみた。
やっぱりケンゾーさんと同じで老いどころか凄く元気だとのこと。
そして英雄なだけあってSランクだった。大先輩だね。
畳はお店を建てるときに一生懸命説明して作って貰ったらしい。拘るなぁ~。
けどやっぱり米とか醤油とかないからそこは渇望しているようだった。ので、
「こ~んなものあるんですけど、仕入れます?」
楽々市場のウィンドウを開いてリョータさんに見せる。
「こ、これはもしや楽々市場!?」
向こうでたまに活用してたらしく、食い付くように凄い反応をした。
美味しい和食が食べれるようになるなら協力は惜しまないからね。
「好きなだけお買い物してくれていいんですよ?」
「本当にか!?」
これであれもこれも作れると大喜びでどんどんカートに入れてく。
英雄時代にかなり儲けてるのでお金の心配はいらないし次元収納も無制限で入るらしい。
やっぱりチート入ってるんだね。
山のような食材や調味料や調理器具を買った後泣きながらお礼を言ってくるリョータさん。
ちょ、DOGEZAはやめてマジでお願いします。
足りなくなったらギルドの転送魔法具でやり取りって話にはなったけど、こんだけ買えばしばらくというより大分持ちそうだなと思うくらい買ってた。
続きが気になってたんだよとか言いながら漫画全巻セットも買ってたけどね。
気持ち凄くわかる。私も今季の最新アニメとか見たいしね。漫画は買えてもアニメは見れない。
異世界に電波が入るわけないからね~。DVDとかなら自家発電のやつ買って何とか再生できるだろうけど、リアルタイムのは見れないしね。
ゲームとかもしたいなぁ~…。って話逸れちゃった。
「これで次からこの店で美味しい和食が食べれますね。」
「腕によりをかけるからこれからもご贔屓に!!」
その一言でハンスが、
「これ以上美味しくなるとか楽しみだなぁ。」
と嬉しそうにしていた。
王様はこの店にはお忍びで来たらしいけど今度はケンゾーさんと来たらいいんじゃないかな?
そうラピスに話すと、
「それもそうですわね。明日報告しますわ。」
って伝える気満々だった。
明日の晩御飯はまたここかな~。
にしてもさっきからフェイロンが大人しすぎるのが気になる。
リョータさんの名前聞いたときに凄い冷や汗流してたし。
「フェイロンなんでそんな隠れるように縮こまってるの?」
「やっ…そんなことないっすよ?」
視線を明後日にしながらも凄いぎこちない。
「あっれ、そのカオス・デーモンは…?」
リョータさんがフェイロンを見ると、
「すんませんっす!マジで勘弁っす!!」
私の後ろに隠れながらも泣きそうなフェイロン。
話を聞いてみると、50年程前にサレ=ルーン大陸に遊びに行ってたフェイロンは強そうな冒険者を見るとちょっかいをかけてた。
リョータさんにもその時に面白半分でちょっかいをかけたのだけど、返り討ちにあって命からがら逃げ出したらしい。
カオス・デーモン自体が中々見掛けない上にリョータさんが倒しそびれたモンスターは今のところフェイロンだけだったらしい。
次会ったら覚えてろよとの捨て台詞を吐きながら逃げたので、バレたら倒されると思って大人しくしてたらしい。
うちの子は何やってんだが…。
「今はうちの従魔で大人しくしてるんで大目に見てあげてください。」
「まぁ俺も今は冒険者は引退してしがない料理人だしな。にしてもあの時のデーモンが客として来るとはねぇ。世の中何が起きるかわからんな。」
リョータさんはそう言って笑い飛ばしてくれたのであからさまにホッとするフェイロンだった。
「もうそんな馬鹿な事はしちゃ駄目だよ?」
「ヒスイ様の時で懲りたしもうしないっすよ~…。」
そういえば私の時もそうだったわ。
「ハッハッハッ!!伝説級のデーモンも形無しだな!!んで悪魔からしてお世辞とか抜きで俺の飯はどうだった?」
「どれも旨かったっすけど茶碗蒸し!あれすんげー旨かったっす!!」
「あれはうちの自信作だからな!新鮮な魚介のお陰で具が充実してるし今や看板メニューだからな。」
「後天ぷらもこの前城で食べたやつよりサクサクで旨かったっす!」
「天ぷらは揚げ方にちょいとコツがあってな。」
としがらみがなくなったからか二人は嬉しそうに会話していた。
その分宿に帰ったのはかなり遅くになったのだった。




