39サークル目☆ 人命救助♪って助けたのは盗賊!?
翌朝朝食はパンで済ませ、出発準備をする。
と言っても固定してたペグを抜いた後、フェイロンがテントごと次元収納にそのまましまってくれたので次からは出して固定するだけだった。
本当に楽で良いよね~♪
昼過ぎまでは順調に旅は続いた。道中そこまで強いモンスターは出てない。
因みにお昼ご飯はカップ麺で済ませた。
やっぱりこれもラピスやフェイロンは便利で美味しいと堪能していた。
お昼休憩後順調に旅を続けていると、フェイロンが何かに気付いた。
「ヒスイ様~何かもう少し先の方でモンスターに襲われてる人等がいるみたいっすよ?」
「え!?大変!助けなきゃ!!」
「急ぎましょう!!」
3人で急いで現場に向かう。
目視できるとこまで近付くと、結構な数の蜂のモンスターに襲われてる人達がいた。
何人か既に倒れているし、かなりヤバイ状態だった。
走りながらも鑑定すると、
ポイズンホーネット Dランク
強力な毒を持つモンスター。常に数十~数百の群れで行動している。巣には女王がいるが、巣から取れるローヤルゼリーは至高の品である。
やっぱり蜂だし…苦手というか小さい頃にアシナガバチに刺されてるからトラウマなんだけど…。
今は人命優先だし絶対防御を信じて突撃する。
「二人とも刺されないように気を付けてね!!」
今まさに刺されようとしている人の前の蜂をレイピアで突き刺す。そしてそのまま周囲の蜂を蹴散らしていく。
ラピスは少し離れた所から上空の届きにくい蜂をお得意の弓で撃ち落としていく。
フェイロンは襲われてた人達に結界を張った後、雷魔法で駆逐していった。
「す、すげぇ…。」
「俺ら助かったのか…?」
5分もすれば一匹残らず倒し終わっていた。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ…有難う、何人か刺されちまってるがあんたらのお陰で無事なやつも大勢いる。」
5~6人程刺されたであろう人がうずくまっていて、大丈夫だった人が応急手当をしていた。
「ポイズンホーネットの毒なんかそんなんで消えねーっすよ?解毒しないと…ホイッと♪」
そう言ってフェイロンが指パッチンしたと思ったら、倒れてる人達が光ってみるみる内に顔色が良くなっていった。
「まさか解毒魔法を使えるとは…重ね重ね助かった!有難う!!」
リーダーっぽい人がお礼を言ってくる。
「…助けてもらって何なんだが、その悪魔は…?」
「あー私の従魔なんで大丈夫ですよ。」
解毒魔法使えるのは今知ったけど。
「まさかこんな強力なモンスターを従えているとは…。ましてや悪魔なのに回復系魔法持ちとはかなりの上位かユニークモンスターか?」
え?そうなの?
けどよくわからないから適当に笑って誤魔化した。
「あぁ、自己紹介が遅れたな。俺はブラック・ホークのリーダーのハンスだ。」
「私はヒスイでこっちは従魔のフェイロン。それとパーティーメンバーのラピスです。」
ハンスと握手を交わしながら自己紹介をする。
「ヨロシクっす~。」
「宜しくですわ。」
二人も軽く会釈をする。
「ところで…ブラック・ホークと言えばあの義賊で有名な盗賊団さんですの?」
とここでラピスが聞いた。
え?この人たち盗賊なの?
「あっはっはっ!俺らも有名になったもんで嬉しいですね。あなた様の街からは一度も盗んだ事はありませんがね。ラピス姫?」
ウインクをしながら答えるハンス。
「お父様が直接目を光らせている限りは悪行など許しませんからね。当然ですわ。」
事態がよくわからないので休憩も兼ねて話を聞くことにした。
取り敢えず人数分の椅子はないので大きめのピクニックシートを何枚か敷いて皆に飲み物とパンを配った。
私ら3人とハンスは同じシートでそれ以外の人達は他のシートで休憩している。
命が助かった人達はしきりにお礼を言ってきたけど、それも終わって皆まったりしている。
話を聞いて纏めると、ブラック・ホークは盗賊団ではあるけど、民を苦しめている悪徳領主から盗んでそれを街の人に配っているらしい。
盗られた領主は報告しても不正がバレるだけなので言うに言えず、けれどもブラック・ホークが現れたのはすぐわかる為に調査が入ってどのみち領主は捕まる。
ラピスのとこも城があっても一応領主は別にいるが、王様のお膝元で不正をするやつなんているわけもなく、ブラック・ホークが現れることもない。
送迎会の時に見たけどひょろっとしてるけど優しそうで穏和なお爺さん領主だったなぁ~。
そんな義賊御一行は悪徳領主の噂を聞き付けて向かっている最中、ポイズンホーネットの群れに襲われたらしい。
「ここいらでポイズンホーネットの報告例なんかないし、本来は森の奥に棲むモンスターだ。街道で出たとしてもはぐれが一匹~二匹現れるだけのはずなんだが…。」
「やはりここ最近のモンスターの動きがおかしいですわね…。」
お互い情報共有の為にしばし色々話し合ったのだった。




