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大家が聞いてきた。
その声には明らかな動揺の色が見える。当然だ。
私は若い女だし、大家は中年の女性だ。
しかし聞こえてきたのは、低い男性の声なのだ。
「……よこせ」
また聞こえた。
すると大家の身体が、まるで誰かに投げ出されたこのようにどすんと床に落ちた。
「大丈夫ですか?」
駆け寄った私が見たもの。
それは首のない大家の身体だった。
床がどんどん赤く染まってゆく。
あまりにことに腰を抜かしてへたり込むと、私の前に何かが落ちて来た。
それは大家の首だった。
大家の首はぎろりと私を見ると、言った。
「おまえも首よこせ」
終




