表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニナ  作者: プリンセスキコちゃん
2/2

それでも、すき 〈2〉

教室にはいると、なっちはわたしと仲良しの木下と談笑していた

木下がなにかおもしろいことを言ったのか色つきリップをぬった口元を覆いながら

なっちはけたけたと笑っている

木下もわたしとおんなじでかわいい子には目がないから、

なっちに話しかけられて浮かれているらしくしきりに口元をニヤつかせていた

木下となっちは特別仲がいいわけじゃない…はずだけど

少なくとも今のわたしにはふたりは友達みたいに見えた

うらやましいよ、くそったれ


「ねえ、木下!トイレいこう」


行きたくもないトイレを促すと、

木下は「あ、うん」と言ってなっちをはなれて

わたしの方にきた

なっちとの会話に終止符をうつ

木下にとってはただの嫌がらせだけど

そうでもしないと、うらやましくって頭がどうにかなっちゃいそう

わたしの方がすきなのに、なっちのこと…なんて。


トイレに着くと、つれだされた腹いせに木下は

「いやァ、ニナに話しかけられちゃった。いいでしょ。」と言ってきた

得意げな言い方が鼻につくけれど本当にうらやましいのだから

怒るのもかえってむなしく思われて素直に頷く

「それで、なに話してたの?」

「えっとね、ドラマの話」

「なに、この前ハマってるって言ってたへんな深夜ドラマ?」

「そうそう。でもニナもおもしろいって。感性が似てるのかなうちらって」

たまたまおなじドラマがすきなくらいで調子にのるな、と言いかけてやめた

HR始業の予鈴がひびく

「えぇ、予鈴。早く出ようこんなところ」

いち早く駆け出した木下に続いて、トイレをあとにする

こんなところ、だなんて木下は言ったけれどわたしはあのトイレがすきだ

日当たりが悪くて陰気くさくって薄汚くて。

わたし達みたいな日陰の存在にはぴったりの場所

わたし達、だなんてひとくくりにしては木下は怒るだろうか

でも、少なくともわたしはあそこがすき

中二のクラス替えで同じクラスになった鈴夢となっちが

仲良くなってからはほとんどないけど

中学1年生の頃はあそこでなっちともよく話した

いちばん奥の壁に寄りかかって、

さっきみたいに予鈴が鳴るまでくだらないおしゃべりを続けた

たしか、あの頃のなっちはクラスに仲良しの子がいなかったんだったけ

それでよく、わたしや、木下とも一緒にいた

もう1年以上まえの話だけど。


なっちは、おぼえているだろうか


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ