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それでも、すき
朝の学校、玄関にて。
ローファーを脱いで下駄箱に入れ、
そこから上靴を取ろうとすると
肩を叩かれた
シャンプーのいい匂いが吹きぬけてくる
ドキッとして振り返ると、クラスメートのなっちがいた
「あ、おはよう。なっち」
「うん、おはよ。月成」
挨拶を交わしながら
さっさとスニーカーを上靴に履き替えると
なっちは一緒に登校してきた双子の妹と一緒に
教室につづく階段のほうへ行ってしまった
そんななっちのうしろ姿をそっと見送り、想いをはせる
なっち、わたしがそう呼んだクラスメート、南條ニナ
ニナ。ニナっち。なっち。
なっちの存在は、わたしにとっていつも気がかりだ
あなたを見ているとなんだか不思議な気持ちになって、
特別な鼓動が溢れてくる
仲良しでも友達でもないけど、
わたしはなっちがすき。だいすき。
でも、だから、わかる
なっちがわたしのこと嫌いだってこと。