賞品と罰ゲーム
橘とディアブロとの真剣勝負――。ディアブロがとんでもないことを言い出す。
賞品と罰ゲーム
則子の後ろにはカナも付いて来ていた。
『田中則子は現状認識不足。また、喧嘩は男らしいと真奈美の本棚にあるデータベースで確認済み。野球が男らしいと修正中』
バカ! 漫画の読みすぎよ。黙ってなさい。
――いいところなんだから~。
「いいだろう。正々堂々と野球で勝負だ!」
橘太郎がそう言って指をディアブロに指した。
正々堂々……? 誰がどう考えても、橘君が絶対に有利だわ。
「野球? ああ、ベースボールのことか。……いいだろう」
ディア君は……全く現状を理解していない……?
「3球勝負だ。もし俺の球をホームランに出来ればお前の勝ちだ。出来なければ俺の勝ち。――田中則子は俺がもらう!」
そう言って則子を指差すと、急に則子が驚いた――。
「はあ? ちょっと待ってよ! あなた達、真奈美を賭けて喧嘩してたんじゃなかったの――?」
「違うに決まってるだろ! こんな女。勝手にしゃしゃり出てきただけだ!」
「そうとも!」
二人に指を差され、けなされ……どんな顔をしていいのか分からなかった……。
頭を掻きながら舌を出し、テヘペロっと笑いながら涙を流す……。
「――いいことを思い付いたぞ! 負けた方はこの女(真奈美)と付き合うのはどうだ。僕は決して負けはしないけどね!」
「な、なんだと! ……まあ、いや……う~ん……いいだろう。――俺も絶対に負けやしない。クックック、貴様にお似合いだ!」
口を開けて立ち尽くすしかなかった。
これじゃ参加賞か残念賞……。いいえ、罰ゲームではないか!
男子酷過ぎる!
鼻水が出てくる……。
「あんた達、男として最低ね――!」
私をそっと抱きしめながら、則子が言ってくれた……。
「ああそうだとも! しかし勝負は勝負だ。表へ出ろ!」
「ああ、言われなくてもそうしてやるさ。どっちが真のヒーローか白黒つけてやる!」
則子の言うことも聞かずに二人は窓からグランドへと出ていった。周りにいたギャラリーもぞろぞろとグランドへと移動する。




