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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第二章 超次元戦艦オイナリサン!!
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陽動作戦

朝の忙しい時間に真奈美は、新聞の折り込みチラシに目を奪われていた。

 陽動作戦


 テファニーのオーブンハートペンダントは女子の中で大流行しているの。男の人からもらえない女子は――自分で買ってでも身に付けたい! それくらい魅力的なデザインなのよ。


「人間雌の思考回路は雄と若干相違点ありと判断。データ修正中」

 新聞の折り込みチラシにテファニーの広告が入っていて、登校前の貴重な時間と乙女心を奪われていた。

「真奈美の乙女心は安価と判断。貴金属程度で奪われては危険。私の任務増」

 目の前に貴金属をエサに私を連れ去るイメージ図が投影される。

 宇宙人がペンダントもってきて、ついていった私がUFOに乗せられて連れ去られていく。

「バ―カ。小学生じゃないんだから誘拐なんてされるわけないでしょ」

「真奈美の精神年齢は小学生より進歩無し。手口が変われば容易。人間は自分の欲望を満たすものがあれば容易く操作できる単純生物。待機中」

 チラシを閉じて台所から玄関へ向かった。

「単純生物だなんて失礼しちゃうわ」

 玄関を出た瞬間、イナリが声に出して言った――。


「あ! テファニーのペンダントが落ちている! 溝の横! ほら、そこ!」

「ええ~! 本当に? どこどこどこ!」

 溝の横を必死に目で探し、――ハッとした。

『超単純生物。落胆中』

 イナリがそう表示している……。顔が少し熱くなるのを感じた……。


「あームカつく! 「イナリ嘘はつかない」なんていつも言ってたからマジで信じちゃったじゃない!」

「超次元戦艦嘘つかない。今のは真奈美の思考回路トレーニング。信じられるものが嘘を言ったとき、それを的確に嘘と判断出来なければ、大宇宙において長期生存は困難。単純生物ほど他の種族に利用される。また、真奈美のロスタイムにより電車発車時刻に間に合うためには徒歩では不可と判断」

「なんですって!」

 慌てて腕時計を見ると、電車の時間まで5分もない~。――大急ぎで駆け出した。

「心拍数上昇。血圧上昇。体温上昇。汗腺解放確認。汗の蒸発潜熱による冷却を確認。電車内で逆に冷えて体温の低下、及び汗の乾燥した後の異臭は異次元調整実施予定。――真奈美は何も考えずに全力疾走すればいい。待機中」


 だったら黙れ!


 声を出す余裕すらなく、駅まで全力疾走をした。異次元転送してくれれば走らなくても済むのに~。

「真奈美は正月休みの無駄に蓄えた体脂肪を減らす必要ありと判断。熱量消費確認中。あと10日はランニング必要」

 だったら……わざわざ忙しい朝に走る必要はないでしょ……。遅刻したらどうするのよ。

「遅刻カウント1増加と予想。的中確率99%以上」

「それが困るんでしょうが~!」

 駅の改札をダッシュで通過し、ギリギリ電車に間に合った。


 電車内でゼエゼエ息を切らし、それを見かねたお婆ちゃんに……席を譲られる始末であった……。

『落胆中』

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