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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第二章 超次元戦艦オイナリサン!!
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渦巻く陰謀

真奈美の教室では、大宇宙以上のスケールで陰謀が渦巻いていた!?

 渦巻く陰謀


『弱ったものを狙うのは大宇宙においてもサバンナにおいても同じ』

「そうよねえ、それをいかに利用するかってことね……」

 昼休みに弁当のご飯をかき集めて口に放り込もうとしたとき、急に背中を叩かれた。

「なに一人でぶつぶつ呟いてるのよ!」

 そう言って来たのは学級委員で成績も優秀な私の最強のライバル――田中則子であった。

『……ライバルとは共に競い合い向上するもの。現時点における田中則子は……敵!』

 全くその通りだわ!

 則子は成績優秀だし、スポーツ万能だし性格も悪くなく友達も多い。敵としてこれ以上やっかいな奴はいない~!

「おおこわ。真奈美、ヤブ睨みばかりしてると眉間にシワができるわよ」

 則子は一歩下がりながらそう笑う。整った顔立ちからは、美人の他に言いようがない……。

『橘太郎が好意をよせるのも当然。真奈美との差は歴然』

 ――やかましい!


「なによ、なんか用事でもあるの? こっちは忙しいんだから」

 弁当をさらに傾けて、ご飯を口に頬張る。このクラスに一人でも男子生徒がいれば、こんな食べ方はしない。

「真奈美はどうせ忙しいって言っても、男子のこと考えているだけでしょ」

 ――う、

『鋭い。洞察力も完璧』

 則子があまりにも的を射抜いたことを言うため、黙ってしまった。――なぜそんなことまで分かるのよ! 

 則子は笑いながら続けた。

「真奈美は橘君からディアブロ君に目移りしたんでしょ。教室まで行ってかじりついて見てたって、カナが言ってたわよ」

「ば、ば、馬鹿なこと言わないでよ。私は別に……目移りなんかしてないわよ。ちょっと珍しいから見に行ってただけなんだから」

 ちらっと横目でカナを見ると、こちらを向いてニッコリ樮笑んでいる。……ちょっとムカつく。

「新しい物好きもいいけど、あんまりコロコロ好きな男子を変えてると、誰も振り向かなくなっちゃうわよ」

『同意中』

「うるさいわねえ。そんなの私の勝手でしょ! だいたい則子が橘君と付き合うなら付き合うではっきりしてくれたら私だって迷ったりしないわよ」

 その反撃にも、悠然と則子は両手を腰に当てて答える。

「私は付き合う気なんてないわよ。前にも言ったと思うけど」

「でも、橘君たら則子に未練タラタラなんだもん!」

 まだ則子のことが好きな筈だ。


 普通……フラれた相手に「まだ諦めた訳じゃない……」なんて言える?


「だから嫌いなのよ。スポーツマンっぽくない。弱い精神じゃ甲子園のグランドで勝ち抜くなんて無理だわ。真奈美もやめといたら?」

「――え?」

 ……則子にそう言われるとは思わなかった。

 則子は嫌いと言うし、そこで私が諦めたら……一体誰が橘君と付き合うというの?

『現状解析。――完了。高効率的に橘太郎を奪取できるのは五十鈴佳奈と判明。先程の短休息時間中に五十鈴佳奈と田中則子の密約発覚。再現中』

 私の視野約4分の1くらいが再現動画に早変わりした。そこでカナが則子にハッキリ言っている。


『ねえ則子。マナにディアブロ君を勧めてちょうだい』

『どうして?』

『私と橘君が付き合うためよ。マナと橘君とは似合わないわ』

『そう言われればそうかも。ディアブロ君とも合いそうにないけど、……いいわ』

 ……えらく会話が簡易化されている気がする。それに音声がかん高く変換されている。顔を出さない証言者NとKのようだ。顔にもモザイク処理がされていた。


「どうしたの真奈美。考え中?」

「いいえ。私は諦めないわ。則子、カナに何か吹き込まれたんでしょ?」

「ギク」


 ――「ギク」って答えるところがムカつく~。


「則子はカナにだけ味方するつもりなの? だったら私にも考えがあるわ」

 そんな考えあるわけないんだけどね。

 則子が私達の恋路を楽しんでいるようで、なんかムカつくだけなのよ。

『凝視熱線発射準備完了。発っ』

「だー! それは止めなさい!」

 大きな声でわめいて、目を手で覆って則子に背を向けた。

 

 以前イナリが暴発したそれは、地球上の物質であれば全て貫通させる威力を持っていると聞いている。

『暴発とは心外。真奈美の腐った瞳の凝視には殺意大。忠実に行使と記憶。待機中』

「ええい、うるさい!」

 腐った瞳ってなによ! まったく失礼しちゃうわ。プンプン!

 融通とか冗談とかが通用しないのかしらコイツには……。

『融通も冗談も理解可能。私にとって低次元。待機中』

 言い返そうとすると、後ろから則子が声をかけてきた。私の一人騒ぎをじっと見守っていたのだ。

「……真奈美大丈夫? やっぱり今年に入ってからあなたおかしいわ。なにかがとり憑いてるんじゃない?」

「ギク」

 あえて則子と同じリアクションをする。


 ……そうなのよ、私はオイナリサンにとり憑かれているのよ~とはさすがに言えない。


「男子にうつつ抜かしてるくらいならいいけど、何か悩み事でもあったらいつでも聞いてあげるからね。そのことについては、カナも本当に心配していたわよ」

「……ありがと。でも心配にはおよびません。カナは友達だけど橘君がらみではライバルだからね。――当然、則子は私にも協力してくれるんでしょ?」

「も、もちろんじゃない」

 則子は作り笑いをみせる。


 ――美人はそれすら可愛く見えるので……またまたムカつく~!

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