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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第一章 次元戦艦オイナリサン!
43/196

湖畔でバーベキュー (挿絵あり)

謁見の順番を並んで待っていた真奈美だが、あまりにも暇なので周辺を歩き始める。

静かな湖畔で二匹の宇宙人(?)と出会う。

 湖畔でバーベキュー


 ……どうせ順番が最後なら、別に並んで待つ必要もないんじゃない?

 目の前の宇宙人が気持悪かったのもあるが、また少し、周辺を歩くことにした……。


「私はまだ真奈美の護衛任務中。目の届かないところへは行かないで欲しい。ここでは異次元シールドや主砲が使用不可」

「分かったわ。でも大丈夫そうよ」

 空気も美味しいし、まるで自然豊かな高原に来たようだ。


 ――今じゃ私にとって……地球の方がよっぽど危ないところなのかもしれない。ここから無事に帰ったとしても、私の日常は取り戻せない……。

 地球では大勢の犠牲者を出してしまった。学校周辺は事件で大騒ぎになっているだろうし……。地球に戻っても本当に楽しいのかさえわからない――。

 

 ……かと言って、こんな辺境の星で生活する訳にもいかない。いったい――私はこれからどうしたらいいのだろう。


 ――どうなってしまうのだろう――。


「そこの方。良かったら僕たちと一緒にバーベキューでも楽しまない?」

「そうそう、どうせ順番待ちで暇なんでしょブヨ」

 考えごとをして、ぼうっと歩いていた私に、突然得体の知れない宇宙生物二匹が声を掛けてきた~。

 

 一匹は豚のような鳥。もう一匹は……青い石コロのような、小さな物体……。日本語を喋ってはいるけど、

 ――どちらも宇宙人だ!


 襲ってきそうではないが、一歩引いてしまう。

 ……その二匹は、あろうことか、網で肉を焼いて食べているではないか!


 湖の畔。確かにバーベキューするシチュエーションとしては最高なんだろうけど……。


「え、ええっと。私は日本語しかしゃべれません。しかもバーベキューをしたい気分でもないですし、お腹も張ってませんから~」


 ――きゃ~! 助けてよイナリ! 宇宙人にナンパされてるんだわ!

 ――だいたい、宇宙人の相手ってどうしたらいいのよ~!


 ――好みのタイプじゃない時の断り方――教えてよ~! 

 

 そう考えてもイナリは何も答えてくれない! 異次元シールドを解除していると、私の考えを読み取ることができないんだわ!

「恐がらなくても大丈夫だよ。美味しいから食べてごらん」

 青色をした石コロのような奴が、肉をどんどん焼きながらそう言う。豚のような鳥が、焼きたての肉をガツガツ食べている……。

 困ってうろたえていると、イナリの声が聞こえた。

「人間が食べても無害と判断。真奈美は空腹。食べて時間つぶしをしてはどうだろう。そこの二匹に悪意は無しと確認済み。安全。待機中」

 イナリも私にそう勧める……。

 

 それじゃあ……いただこうかしら。


 宇宙人の食べる物が、人間の口に合うのかどうか不安だったが、二匹の横に座って出された箸で一口食べ、その心配も消し飛んだ。

「あら、何よコレ、美味しいじゃない!」

 まるで国産牛肉だわ!


 ……美味しそうな匂いに釣られ、つい食べてしまったが、……はて、得体の知れない物だったらどうしよう。

 ――ピタリと噛むのが止まった。


「人工牛肉だから大丈夫だよ」

 青石コロがそう言った。そして恐らくは異次元からだろうか、空間から肉を出して焼き続ける~。

 長い箸を器用に使って肉を並べて焼くのだが、どう見ても手や指なんかが見えない。

 念力で箸を使っているのかしら……? だったら、箸自体もいらなくない?


 豚のような鳥は、汗を掻きながら頑張って食べているが、だんだんペースが落ちている。……よく見ると足で立っていない。地面から浮かんでいるのではなく、こいつは! 腹が地面に当たって、足が浮いてしまっている。どうやって歩くのだろう?

「ところで君はどこから来たんだい。珍しい姿をしているけれど」

「ええっと、地球です。銀河の太陽系の第……? 惑星です」

 ――家の住所なら言えるが、宇宙で地球の場所を説明できない~。だいたい銀河で通じるのだろうか? 疑問である。

「なるほど。それは遠いところから来たんだねえ」

「ブヨブヨ」

 遠いところ? この二匹は地球を知っているのかしら……?

 イナリの方を見た。気になることがあるとすぐにイナリを見てしまう。

「地球の座標をデータ化して、二匹に直接送信実行。……ただし豚鳥には理解不能の様子。食べることに夢中。待機中」

 なるほど、イナリ達には言葉とは違う、宇宙用の通信方法があるのね。だから私の日本語が通じているのか……。


「珍しい姿って言ったけど、あのステージの上にも人が立っているじゃない。すらっとした男の人が」

 青石コロにそう言いながら、いい具合に焼けた肉を遠慮なく食べた。

「あれは見る者によって違う姿に見える謁見用の互換装置らしいよ。君の場合は二足歩行生物に見えるだろうし、僕の場合は、僕のような姿に見える」

「肉にしか見えないブヨ!」

「みんなの思い描く理想の姿を投影し、謁見を速やかに終わらせるための物らしいけど。毎日たくさん並んでいるから……。君は終了間近に来て正解だよ」

 並んでいる宇宙人はもう残り二人にまで減っていた。


 私は並ぶために、今食べている肉を飲み込むと立ち上がった。

「もう並ばなきゃ。どうもご馳走様! ありがとうございました」

「またおいで」

「バイバイブヨブヨ」

 豚鳥が小さな羽を振っている。笑顔で私も手を振ると、ステージへと向かった。


挿絵(By みてみん) 

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