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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第一章 次元戦艦オイナリサン!
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サラマン第一惑星

サラマン第一惑星に辿り着いた真奈美とイナリは……とにかく驚く!

 サラマン第一惑星


 真奈美を乗せた次元戦艦オイナリサンは惰性にて推進を続けていた。

 

 目の前には青色水晶のような奇麗な星が浮かんでいる。息を飲む美しさだった。宇宙空間に浮かぶ宝石――そんな表現が適している……。


『次元戦艦80318確認。遅い! 約束の時間を1時間も遅れてくるとはいい度胸だ。サラマン様は多忙の身。残業を好まない。こっぴどく怒られるが良い!』

 艦橋内で余韻に浸っていた私の耳に、――そぐわない日本語訳の声が聞こえてくる~!

「せっかくのムードが台なしよ。誰と喋ってるのよ!」

「サラマン第一惑星のバリアーと。会話中」

「はあ? 惑星のバリアー? しかも、それが喋る?」


 ……やかましそうな星だわ。


「超高性能有機生命体バリアー。全異次元からに対してバリアーとしての効果を持ち、ミサイル等の物理攻撃だけでなく、光学兵器、重力攻撃等に対しても、全く影響がないと推測」

「じゃあ異次元粒子砲だったらどうよ?」

「傷一つつけられないと推測」

 ……それはたまげたわ。


 先ほどのヌガヌグ帝国の要塞を一瞬で破壊した兵器で、傷一つすらつけられないとは。


『次元戦艦は異次元シールドを解除し、サラマン様との面会場前の湖へ着陸を許可するとのこと。ただし面会順序は一番最後とのこと』

「了解しました」

 オイナリサンは透明でブヨブヨしたクラゲのようなバリアーに小さく開いた穴を通り、その星の大気圏内へゆっくり突入していった。


 ――ビリビリ、バリバリバリ――!


 ――急に何かが破れるような音がした!


 目の前の水晶のような表面が、アルミ箔を引き裂いたように破れていく! 

 イナリの先端が、引っ掻いて破ってしまった……の?

 破れた所から見えるその中に――真のサラマン第一惑星が姿を現した――。

「こ、これは!」


 眼をゴシゴシ擦った――。


 先ほどまで見ていた美しい星ではなく……、想像していたような機械だらけの星とも違う――!


 ――ゴミゴミしていて、驚くほど……いや、驚かないほど、平凡だ――!


 ところどころ、島が空に浮いているが、その下の地表では、煙がモクモク出ている煙突が見える。

 飛んでいる乗り物があるのにも関わらず……、地面を走っている乗り物もあり、地球で言う渋滞が発生している~。

「なんじゃこりゃ? 全然……進化や文明が感じられないじゃない!」

 本当にイナリが最新鋭の次元戦艦なのか……疑わしさまで感じさせられるわ……。


 大気圏内をゆっくり降下しているイナリの周りに、小さな飛行物体が急接近してきた。――ピューピューピューっと、すっごく耳障りな警戒音を鳴らしている。

『コラ! そこの次元戦艦80318! アホか! 異次元シールドを解除しろっ!』

「あ、忘れていた。シールド解除中」


 ……イナリも気持ちが高ぶっているの? ……本当に大丈夫かしら……。


 周囲の状況は変わらないが、何かの電源が消えるような音が艦内でも聞こえた。

『また惑星表面コーティングのやり直しじゃないか! あー面倒くさい!』

 その飛行物体は、まだ近くを飛んでいる。うっとおしいほど羽を忙しなく上下に動かしていて、まるで戦闘機サイズの……機械バエだ。

「ねえ、異次元粒子砲で撃ち落とせないの?」

「……い、いや真奈美。それはよそう。サラマン様直属の護衛機だ。後が怖い」

 

 護衛機を放っておいて、次元戦艦は高度をゆっくり下げていった。



イナリはゆっくり美しい湖に着水をした。

美しい湖からは、白鳥や鴨が一斉に飛び立ち……アヒルがガアガアと慌てて湖から離れる……。見慣れた動物がいると、まるで地球に居るような錯覚すら起こす。



サラマンとの面会場とは……コンサート舞台のような所だった。決して大きくない。

ちょうど、仮説イベント会場……そんな規模だ。ステージの前には階段があり、会場奥には黒くて大きな幕が引いてある。さらにその会場の後ろには、何やら大きな平たい建物があった。


決して絢爛(けんらん)豪華(ごうか)な建物ではない――。


「あれは……もしかして養鶏所?」

 イナリの艦橋内でモニタを見ながらそう問いかけた。

「それに類する物。ただし、もっと高貴。病原菌などは一切検知できず。地球で言う貴族が集うところと推測。周辺を調査中」

「ええ、鶏が――貴族? 何よそれ」

 ソファーから立ち上がると、イナリは艦橋横の扉を解放した。


 スポーツカーのドアのように上に大きく開く。確か……ガルウィングと言ったかしら。そこから出て、イナリの甲板の上を少し歩き、湖のほとりへと降り立った。


 視界からイナリの「待機中」の文字が完全に消えていたのに気付くと、急に不安になる――。

「ちょっとイナリ、私一人で大丈夫かしら?」

 宇宙人に人体解剖とか、洗脳とか……破廉恥な行為とか……怖くなってしまうわ。

「……大丈夫。主は寛大。真奈美に興味など皆無。私もここで待機中」

 イナリの声も、今までみたいに耳に直接聞こえない。次元戦艦の方向から聞こえてくる――。


 芝生の上をゆっくりと歩いた……。

 湖周辺に他に建物はなく、ステージのところ以外からは、全く音も聞こえない。

 色とりどりの山や草木。空には雲や浮遊している島や……イナリが破って作った黒い穴が見える……。

 

 よく見ると、ステージ上には誰か、――人が立っている! その前には何匹も、見たことがない宇宙人や機械が一列に並んで順番を待っていた。私は言われた通り最後に並んだ……。


 イナリは静かな湖に浮かび、小さな波に揺られている。


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