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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第一章 次元戦艦オイナリサン!
38/196

ヌガヌグ帝国の陰謀 (挿絵あり)

木星軌道上の敵艦隊を異次元にて解析し敵の正体を突き止めたイナリは、真奈美にある提案をする。

 ヌガヌグ帝国の陰謀


「敵艦解析結果判明。敵はヌガヌグ帝国の国勢戦艦。ドルフィー銀河統一権と引き換えに次元戦艦を要請したが、主の審査により断られた経歴あり。その理由はドルフィー銀河を統一ではなく武力制圧したと判明したため」

「ヌガヌグって……変な名前ね。まるで饅頭か何かを食べて喉が詰まったみたいな響きだわ。……それで、それがなんで私と関係あるのよ」

「武力制圧による統一であれば、主は取引などには一切応じない。そのため、ヌガヌグ帝国は全く無関係の生物を他の銀河系からランダムで選択し、巧妙にその対象者から再度要請をした。審査の結果で無害と判明。次元戦艦一隻による護衛の権利とドルフィー銀河統一権利の交換が成立。そのランダムで選ばれた対象が樋伊谷真奈美。そしてその後、樋伊谷真奈美を洗脳して奪取し、次元戦艦を手中に収める計画中、今回のトラブルが発生。……樋伊谷真奈美率いる次元戦艦に逆に捕獲用艦隊が捕獲されて全滅。待機中」


 そこまで聞いてにっこり微笑む。


 イナリはため息をついてもう一度、簡単に説明し直してくれた。


 艦橋前方に、大きな字で①~⑥が表示される~!

「――つまり、

① ヌガヌグって悪い星がドルフィー銀河全体を武力で制圧しました。

② そして、その銀河の統一権利と引き換えに次元戦艦が欲しいと主に言ったが、「駄目!」と断られました。

③ そこで考えたヌガヌグ星は、樋伊谷真奈美っていう2足歩行生物になりかわって、「ドルフィー銀河の統一権と引き換えに、私の護衛を次元戦艦にしてもらえませんか?」と、主を騙しました。

④ 「護衛の仕事なら安心ですね~」と主は喜んで交換に応じ、交渉が成立しました。パチパチ。

⑤ その後、ヌガヌグ星は、樋伊谷真奈美を捜しだして、次元戦艦を頂きに来ました。

⑥ ところが逆にやられました。

 ――めでたしめでたし。説明中」

 

 ……。

 言葉で説明されるよりも、確かに分かり易いが……。

 なんかバカにされてる……?


「うーん。これは、巧妙な詐欺ね」

「巧妙。絶妙。実際に真奈美から申請し、主にバレなかった巧妙さは神業。方法は未解析」


 ……その主とやらが……適当だっただけにしか思えない――。


「主は私などより完璧。大宇宙統一は時間の問題」

「どうかしら。イナリの返品で、また銀河一つがサラマンの手から遠のくわけでしょ」

 イナリは一瞬返答に時間が掛った。


 彼なりの考える時間だったのだろうか?


「私に対して「彼なり」なんて思考はやめて欲しい。音声は2足歩行生物の雄、日本語やや甘に設定しているが、私は次元戦艦。もっと高貴な存在」

「あっそう。で、何を考えてたのよ」

 艦橋内の空間に、立体映像が浮かび上がった。

「現在ドルフィー銀河内のヌガヌグ帝国主星近辺に、各星系より集結された艦隊が続々と集結中。各星系にはヌガヌグ帝国の駐留艦隊と超大型ミサイルの配備を確認」


 目の前の立体映像にはご丁寧に大きく日本語……やや甘らしい……で解説が表示され良くわかる。


「てことは、制圧された各星系が、ヌガヌグに反撃するってことね」

「反撃と言うより、自殺行為。戦力差は圧倒的にヌガヌグ帝国が優勢。さらに各星系のヌガヌグ駐留艦隊には惑星を一瞬で木っ端微塵に破壊可能な超大型ミサイルが配備済み。超光速通信で発射命令が出されれば、数時間後には、あの世行き」


 ――あの世ってどこなのか、問いただすべきなのだろうか……?


「ヌガヌグ帝国に戦力も負けていて、さらに人質付きじゃ勝てっこないじゃない……」

「勝てっこない」

「なんでそんなのが分かっていて、ヌガヌグ帝国に立ち向かって行くのよ!」

「真奈美、……それを私に聞くか?」

 ああ――聞いたことを後悔した。


 昔から人間でもあるじゃない。負けると知ってて勝負すること――。


「まったく理解不能」

「うるさい! そこが機械と違って生物のいいところよ。弱い者を救って強いものには立ち向かう。強い物が勝っても面白くないわ!」

「……たしかに。真奈美の部屋にある逆転する漫画は面白かった。だって、ありえないから」

 何? イナリも漫画見て面白いと思ったりするの?

「スポーツもので逆境を乗り越え、逆転する漫画は思わず笑った。ありえね~って」


 すると艦橋内のスピーカーから低い笑い声のような唸り音が響いた。

 ――おいおい、次元戦艦が思い出し笑いなんかするな!


「今回のドルフィー銀河の一件……このままでは面白くはないが、面白くすることも可能」

「え? どうするのよ」

「真奈美がヌガヌグ帝国に反撃する。真奈美の護衛は私の任務。ヌガヌグ帝国の制御システムは面白くないことこの上なし」

「え、やっちゃう? 加勢したら勝てるの?」

「お釣りがくるくらい圧勝確実。ヌガヌグ帝国は真奈美にとって明らかに敵。真奈美は制御システムが機械の場合、全く感傷しないと判断。現在、口の中の雑菌よりも排除すべき存在。待機中」


 ちょっと考えた――。


 遠くの銀河のことなんかに……かかわり合いたくなんてない。しかし、関係のない星に隕石を落とそうとしたり、ミサイルで他の星を制圧したりするような帝国は放ってはおけない。


 そしてなにより、私は立派な被害者だ――。


「よーし、このさいやっつけちゃいましょうか!」

「了解!」


 ヌガヌグ帝国はこの軽~い一言で、地球より長い歴史にピリオドを打つこととなる――。


挿絵(By みてみん)

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