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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第一章 次元戦艦オイナリサン!
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大量殺戮兵器

真奈美は人類が滅亡する確率を聞き驚愕する。

イナリが一つの提案をすると、……真奈美の心が激しく揺れ動く!

 大量殺戮兵器


 次元戦艦が私の護衛を始めて一カ月が経とうとしていた――。


 その間、私は平和ボケしていたのかもしれない。

 ――恋愛や友情にうつつを抜かしている場合ではなかったのだ。世界を驚愕させるような大量殺戮兵器が私にはあるのだ。何者が……何を目的とした物なのか、まだ分からないままだ。


 大きな悪の組織や、詐欺等を疑って仕方がないのだが――。

「その可能性はない。我らの任務は全て(あるじ)が下す。宇宙の統一において必要と判断が下されたからこの任務を遂行中。また、真奈美も完全に調査済み。審査された結果、無害と判断されている。待機中」

 イナリはそう言う。

 部屋のベッドで天井を見ながらぼんやりそれを聞いていた。

「でもイナリ。もし私があなたの力を利用して、地球制服なんかを企てたとしても、それが本当に正しいと思うの?」

「正しい。主は宇宙を統一されるお方。一つの知的生命生存惑星が主の支配下となる。待機中」

「それでもし……、何人もの犠牲者がでても正しいの? 本来、宇宙人とかは、他の星の発展とかに影響を与えてはいけないんじゃないかしら?」

「主が正しい。それは絶対。宇宙の統一者が統一している星系に影響を与えるのは当然の運び。銀河間の影響は、場合によっては規制を必要とするが、そもそも、その上位である主が影響をあたえるのは、言わば必然」

「なにそれ? 弱肉強食って言うわけ?」

「大宇宙は全てにおいて弱肉強食。待機中」

 アホらし……。

 そんなこと言ってると、いつかはその主も食べられちゃうわよ。

「我が主はアホではないと推測。それに、君達二足歩行生物も弱肉強食と判断」

「人間は違うわよ……。弱い人や弱い者を守るの。だからこんなに発展してるのよ」

「それは人間が地球上で絶対的強者となったことによる勘違い。うぬぼれ。発展といってもたかだか数千年。千年後には絶滅する計算。待機中」


 人間が――絶滅する計算ですって?


「なんでよ! なんでそんなことが言えるの? ま、まさか……見てきたの?」

 そう聞いた直後、……少し怖くなった。


 ――次元戦艦やサラマンとかいうイナリの主は……過去も未来も行き来できるの――?


「それは不可能。ただし、これまでのデータより、同種で殺し合う種族は、生物であれ機械であれ、自滅した事例が大宇宙で百万種族を超える。互いを傷つけ合う遺伝子が全人類に蔓延確認済み。待機中」

 そ、それは確かにそうなのかもしれない。

 

 ……今でも戦争はどこかの国ではやっているし、強大な軍隊を持つ国も多い。


「軍隊や戦争だけが傷つける遺伝子ではない。先日の、「争ってでも橘太郎を得たい」という思考回路自体が絶滅へ導く遺伝子。自分の遺伝子を残すために、同種の遺伝子であっても排除を希望している。つまり敵と認識」

「違うわよ!」

 違うにきまっている……けれど、つい先日の自分のことを思い起こす……。


 ――一体何が違うのだろうか――。


「単純なものほど多くの矛盾を生む。待機中」

「違う……はずよ。私達人間は平和を好むのよ。そのために軍隊や兵器が必要なのよ……」

 ……言っていて……それこそが矛盾と感じる。


 じゃあ何故軍隊が要るの? 兵器が要るの?

 ――ああ~、なんかムカつく!


「核兵器などが存続する限り、人間の滅亡期は即近と判断。残り千年も無理」

「……そうよね。そんな危険な兵器があるのに、平和だ繁栄だなんて言ってるのが、あなた達宇宙人が見たら、ちゃんちゃら可笑しいことなのかもしれないわね」

「――宇宙人ではない。次元戦艦!」

 ため息が出る……。


 人間の思想や矛盾やエゴは誰も正してくれない――。

 この星には人間以上の知恵と力を持った生き物が居ないのだ――。


「誰か忘れてないか、真奈美」

 イナリに指があるのなら、自分をクイクイっと指して言っているのだろう……。

「イナリから見た人間はどうなのよ」

「地球という惑星に大量発生した一生物。納豆菌と大差なし。5分とは言わないが、五年以内に全て滅ぶ可能性もあり」

「どれくらいの可能性よ」

「推定5%。単純に比例しており、五十年後であれば50%の確立で滅亡」


「50年後に50%で滅亡――? それって、私が橘君をゲットするより高いじゃない!」

「確率的にはそうなる。だが安心するがいい。真奈美が滅ぶ確率は五十年後も0%」

「0%はいくらなんでも言い過ぎじゃないの? 地球が全て火の海になるのかもしれないのよ?」


 核兵器は、地球の全人類を数回滅ぼせる数が保有されているのに……。


「異次元転送にて問題は全て解決。異次元は時間停止も可能。真奈美は異次元80318が崩壊するまで何億年でも今の姿のまま存在可能」

「時間止めた異次元でさまよえって言いたいの?」

「それが一番確実。任務達成。次なる任務を頂き、また我が主のお役に立てる。待機中」

 結局は主が一番なのね……。


 人類の存続や私の命も、イナリにしてみれば任務の一環でしかないわけか……。


「……? もし、この世界から核兵器が全てなくなったら、人類はどれくらい延命できるのか分かる?」

「計算中――完了。五年後であれば少数第二位を四捨五入して推定0%。全て滅ぶ確率は皆無となる。五十年後でも5%未満と推定」

 ということは、千年先は分からなくても、せいぜい私の老い先くらいは保障されるってわけね……。

「真奈美の老い先は不明。異次元で待機すれば、何年でも時間停止可能。待機中」

 ごめんイナリ、黙って。

 私はそりゃあ、長生きはしたいんだけど、地球がなくなって、人が一人も居なくなった状態で、私一人異次元で生活したいとは思わないのよ――。


「橘太郎と二人っきりでも可能だよん」

「――え! ちょっと、何いいだすのよ!」

 二人っきりってことは、ええ~!


 それってアダムとイブじゃない。それって……キャー。顔が赤くなるじゃないの~。


「二人っきりのスイートな毎日。華やいだ世界。異次元いいとこ一度はおいで」

 ああ! ああ! 胸がキュンキュンしてしまうわ――はっ!


 ついついイナリのイイナリになるところだった――! 

 危ない危ない……非常に危なかったわ――。


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