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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第一章 次元戦艦オイナリサン!
22/196

ウイニングボール (挿絵あり)

次元戦艦オイナリサンの発射した熱戦は、標的には当たらず大空を突き抜ける!

 ウイニングボール


 ――な、何よそれ! もしかして自慢?

 私達が橘君を狙っているのを則子もしっているはずでしょ~! 


 でも則子は気にせず話を続ける。

「できれば十時頃に来ていて欲しいって。さあ、急ぎましょ」

「今日の則子、なんだか楽しそうね」

 二人に先立ちグランドへ走って向かおうとする。

「そりゃそうよ。私だって橘君と話くらいしたいわ」

 佳奈の顔色は、――土色に変わっていった。

 きっと私のもそうなんだわ……。

『着色可能。待機中』


 三人がグランドに着いた時、試合は九回の表だった。

 十二対〇。バッターボックスの相手に向かってエースの橘君が真剣に投げている。フェンスの後ろには私達と同じように何人もの女子が並んでいた。


 ――つまり全てライバルだ。

 だが。私の横に立つ余裕の表情の田中則子……。最強のライバルが、まさか私の友達だなんて。

 ……もう今日が最後で、友達ジャ無クナルカモシレナイケド――!

「真奈美、視線が怖いわよ!」

 ええ、ええ、そうでしょうとも! 

 もし目からビームでも出るものなら、今頃は……思いかけて私は、ハッと思いとどまった!

『凝視熱線発射準備完了。目標、田中則子。捕捉誤差修正完了。発っ――』

「わー、待て待て!」

 急いで視線を則子からそらし、空を仰ぎ見る。

――何事も起こらない……良かった。

 

 曇り空を見て深呼吸すると、冬のぶ厚い雲にとてつもなく大きな丸い穴が開き広がり……、

 日が差すのが美しく見える――じゃなくてっ!


「――本当に撃つな! バカ~!」

 もう少しで則子を怪我させてしまうかと思い、つい大声で叫んでしまった。

「ストライク! バッターアウト。ゲームセット!」

 審判がそう言い、試合が終わった。

「……真奈美、いくら勝って欲しいからって、そんな野次飛ばしちゃ駄目よ!」

「そうよマナ。大声でそんなこと言っちゃ逆に橘君にマイナスイメージかもしれないわよ」

 二人は冷たい目線を私に向けた。


 ――ち、違うのよ! 野次なんかじゃないのよ!


 しかし、その橘君がこちらへ向いて歩いてくる!

 試合後の礼もまだしていないのに。――そして私達の前で立ち止まると、

「則子さん。来てくれてありがとう。このウイニングボールを――受けとって欲しい」


 ――!

 胸がチクリと痛んだ――。や、やはりそう来たか!

 考えていた悪い方向へとばかり、事態は進もうとしている!


「え、なんで。私?」

 則子も照れている――。それはそうだろう。相手はイケメンで野球の実力もあり、全校生徒の憧れの的なのだ。

 胸がときめかない方がおかしい――! 他の女子もみんなが見ている!


 一段と冷たい風が吹き、静寂だけがグランドを走った――。


「私、野球ボールもらっても練習には使えないわ。ソフトボールだったらいくらでも欲しいけど」

「?」

「?」

「?」

 誰と誰と誰のハテナマークかは言うまでもない……。


『真奈美、佳奈、そして橘太郎。待機中』 


 言うまでもないことをわざわざ表示してくれて……ありがとうイナリ。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

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