胸にあった小さな宇宙が遊んでる……?
真奈美は急に背後から不意打ちをくらう……。
今まで運が良かったのは……胸にいたハイパジウムのせいなのかしらん?
胸にあった小さな宇宙が遊んでる……?
やれやれと一息ついた私に、突然後ろから声が掛けられた――。
「おはよう。樋伊谷」
振り返ると、そこには――練習着を着た本物の橘君が立っていた!
急に声を掛けられ、なんて答えたらいいか――気が動転したのだが……んん?
「ごめん、今日はやっぱりデートは出来ない。この間はあんな事を言ってしまったけど、今の僕には、やっぱり野球しかないんだ。――この前のことは、忘れてくれればありがたい」
「は、はあ? えっ! 忘れる?」
――どーいうこと? それ?
「だから、ごめんな樋伊谷、じゃっ!」
それだけを言い、私の前から走り去ってしまった――。
スパイクでアスファルトの道をカツコツカツコツ音を立てて走り去る……。
な、なんなのよこの展開は……?
私が断るはずだったのに……逆にフラれたってわけ? ご丁寧に?
「……あ、ありえないわ」
そう呟くと、……イナリの笑いを必死にこらえる声が聞こえてくる~。
「クーックックック……苦しい中~。あ、でも心配は無用。笑いをこらえているだけ中!」
わざわざ解説せんでええわい! 誰も心配なんかしとらん!
そしてさらにその直後、ディアブロ君まで現れ――。
「やあ。樋伊谷って隅に置けないんだな……」
「あ、おはようディアブロ君!」
思いっきり明るい笑顔で振り返るのだが、ディアブロ君は少し呆れ顔だわ。
なんか……もう……どんな話になるのか……雰囲気で分かるような……。
「まさか……僕と橘以外にも、金髪のイケメンや、チョイワルな年上のボーイフレンドまでいたなんてね。敵わないや」
掌をスッと返して見せ、ディアブロ君も振り返ると、小さく手を振って歩き去ってしまった――。
「え? ええ?」
一体いつから私達を見ていたのだろう。ボーイフレンドってなに?
……もしかして、サラマンとゴジュルヌの事かしら?
あれは! あれは――ただの3D映像なんだけど~!
「あ、ありえないわ……」
イナリの噴き出して笑う声が聞こえる……。
「な、なんでこうなるのよ。……こんなバッドエンド、ありえないわ……」
「ハッピーエンドと認識! 祝福中」
空から……紙吹雪のような物がキラキラ降ってくる……。決して綺麗な光景ではない……。開いた口が塞がらないまま、イナリの祝福を受けていた。
唇に金色の紙吹雪がくっつく~――!
公園の滑り台では、豚ニワトリとローパジウムとハイパジウムが……遊び続けていた。
みんなの胸にも……ひょっとすると宇宙の欠片が……
紛れ込んでいるのかもしれない――
ご愛読ありがとうございました!
待機中……。




