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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
193/196

立ち直るために――

地球へと帰ってきた真奈美は、イナリを失った悲しさと寂しさから立ち直る為に、男子二人に電話を掛ける……。

 立ち直るために――


 泣いてばかりいられない。

 私はこれから一人で生きていくの……。


 いや、今までが特別だったのだ。それに私は一人じゃない。家族も居るし、友達も大勢居る。普通の女子高生に戻るだけなのだ……。

 もう私は昔の私じゃない。自分の考えで強く生きていくのだ。あの宇宙人達が自分の考えるまま自由に振舞っているように――。



 メモを見てスマホの画面をタッチする――。

「トゥルルルル、――はい橘です」

「もしもし、あの……樋伊谷です。明日、会って下さい。話したい事が……あります」

「……分かった。じゃあ学校前の公園に十時でいいかな?」

「はい」

 短い通話であった。

 デートではなく、話したい事があると言ったことで、橘君も分かってくれたのだろう。


 学校前の公園であれば、彼は部活中でも抜け出してこれる。橘君は私や女子と付き合っているよりも……今は野球を一生懸命やって欲しい……。


 そしてもう一人にも電話を掛ける。

「もしもし、樋伊谷ですけど。明日、十時に学校前の公園に来てもらえますか?」

「……デートの場所としては素敵じゃないけど、分かったよ……」

 ディアブロ君はそう返事すると、電話を切った。


 一つため息をつく……。


「これでいいのよ。今の私は……恋なんてしている心境じゃないわ」


 イナリの事をずっと考えていた。

 一週間前までは日常のように口喧嘩をしていた。今になって分かったこと……それは、イナリは私が男子二人に告白されて嫉妬していたこと。

 ……だから勝手に喋り出したり、なにかと理由をつけて、宇宙へ連れ回したりしたのだろう。

「やる事がまだまだ子供なんだから。一億歳の制御装置のくせに……」


 宇宙戦艦が一人の女子なんかに惚れる?

 嫉妬する?

 サラマンの作る制御装置なんて全部あんなものなのかしら……。


 ――それでも、今は心が苦しい――


 また上を向く。涙が溢れてくるから……。


 イナリは私に干渉し過ぎたのよ。二四時間べったり一緒に居たし、私の考えまで読み取って一緒に考えて……。


 そして私を生き返らせる為に――自分を犠牲にしたですって?

「自己犠牲なんて制御回路に皆無~なんて言ってたくせに――。嘘だって……つかないって言ってくせに――イナリのバカ!」

 何度も何度もイナリのバカと口ずさんでいた……。


 これでは駄目だ。私は立ち直れない……。

 立ち直る為に男子二人に電話までしたのに……。もうトキメキも緊張もしなかった――。


「帰って来てよ……イナリ」



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