限界突破
覚醒したかのように戦いに没頭する真奈美とオイナリサン。ゴジュルヌは呆れ顔を見せる。そして、ついに宇宙制御戦艦コスモロニーが姿を現す!!
限界突破
「だったらもう、短期決戦しかないわ。敵の至近距離まで接近して砲撃よ!」
「砲撃によるダメージはこちらも同様。危険大」
「危険なのは、さっきとあんまり変わらないでしょ。全速発進!」
イナリはもう、どうにでもなれと言わんばかりに全速で敵に向かった。何度も砲撃を受け、砲撃し、お互い艦の損傷は甚だしい。
「第一主砲大破! 自己修復中。第二主砲、出力低下中」
「構わないわ。目の前の奴に集中攻撃よ。ミサイルも発射して!」
私の声で、倍の数のミサイルが発射され、目の前を連発花火のように彩る――。
「おい、敵の様子がおかしいぞ。目の前の奴以外が……また惑星を攻撃し始めた! 俺達がいるのもお構いなしのようだ」
多数のモニターを確認しながらゴジュルヌがそう叫ぶ。
「移動速度が下がっているから、近接の一艦だけがイナリの相手をする戦法なのよ、きっと」
敵の標的は、あくまでもサラマンなのだ……。その邪魔をするイナリではない。
「損傷は少なくで済むが、これ以上やられれば限界だぞ」
「限界は自分で決めた所が限界になるのよ。イナリだって私だってまだまだやれるわ!」
「当然! オイナリサンの能力はゴジュルヌなどには解析不可能。あ、ミサイル残弾ゼロ」
「おいおい……」
スクリーンに大きくゼロと表示されると、ゴジュルヌは冷や汗を垂らした。
「構わないわ。敵艦左舷に突撃。そして同時に主砲発射!」
「了解。衝撃に備えてと警告中!」
イナリのその音声と同時に艦橋内に超重力が掛かり、前方へテーブルやソファー等、全ての物が飛び交う。
艦橋内も艦外同様、散らかった状態になった――。
「今よ、全砲門発射! 同時に敵弾装をアームにて回収!」
「了解!」
ゴジュルヌは呆れた顔をして艦橋内で指揮をとる真奈美を見続けていた。
「もうこれまでだな。……可哀そうだが……無事に地球へは帰れないだろう……」
そう呟いたのだが、騒音でイナリと真奈美には聞こえなかった。
異次元粒子砲の砲身から光が放たれ、敵艦が大きな音を立てて砕け散った――。
「宇宙制御戦艦クロスフロンティ撃滅。ミサイル回収不可。敵の残弾無し」
「チッ」
敵はあと2隻残っているというのに……。
その時、さらに超大型の宇宙制御戦艦がサラマン第一惑星北極上に悠然とその姿を現した――。
大きさはイナリや他の戦艦の裕に十倍はある。
「宇宙制御戦艦コスモロニー出現! 異次元からではなく、短距離超光速移動してきた模様。通信を受信!」
「通信ですって?」
今頃出てきて、何を話すと言うのだ……。




