全てを語らないゴジュルヌの謎
ゴジュルヌはやはり、まだ何かを知っている。
隠している……。
全てを語らないゴジュルヌの謎
「まあ、サラマンが自分の作った戦艦ごときにやられるようならそれまでの事だ」
ゴジュルヌは先ほどから全く焦りの表情が伺えない。まるで他人事のように話を聞いているだけのようだ。まだまだ私達の知らない宇宙の歴史を知っている。
――もしかすると、サラマンの事をイナリ以上に知っているのではなかろうか?
「ゴジュルヌに宇宙の歴史データーを私に渡せと依頼中。拷問可能」
「不可。自分で考えろ。世の中知ってて得する事と損する事があるんだ。それに歴史は知る事じゃなく作る事が肝心だ。これから一億年作り続ければ同じ事になるだろ」
ゴジュルヌはイナリを相手にしていない。
「それに、サラマンは俺よりも多くの全て知っている。だからあえて真奈美の護衛に次元戦艦なんて物をあてがったんだろ。――運や偶然なんて代物じゃないって事さ」
「はあ? 一体何を知ってるって言うのよ」
問いかけても……そのあともゴジュルヌは何も答えてくれなかった……。
「さーて、そろそろ艦の修理も終わったんだろ。早く出撃しないと、そのサラマンすら危ないぜ」
「フン、修理完了。どうせゴジュルヌはサラマン様に裁かれる身。その後、思考回路を解析される定め。発進準備中」
「やれやれ、じゃあそうなるように、サラマン第一惑星を宇宙制御戦艦から救出しなければな」
私は複雑な気持だった……。
サラマンは本当にゴジュルヌ星団を壊滅させようとしているのだろうか……。
逆にゴジュルヌ星団はともかく、ゴジュルヌ自身はサラマンを滅ぼそうなんて微塵にも考えていない。
――二人は何かを隠している。その事が一体どれだけ重要な事なのか、分かりもしない。
イナリや宇宙制御戦艦、そして私も知らない宇宙の真実。
私がそれを知ってどうなるのか、意味なんてあるのか、そもそもこの大宇宙に、
――意味のある事なんかあるのだろうか――。
それを誰が決めるのか。
私にはどうでもいい事。関係のないことと思っていた。




