動力室内に飛び散る異次元カーボン
動力室内で敵の本体がついに姿を現せる!!
真奈美、ゴジュルヌ3Dに勝算はあるのか!?
動力室内に飛び散る異次元カーボン
巨大な空間内に大きい筒状の次元戦艦動力源が横たわっている――。
そしてそれに群がる多数の小型ロボット。まるで蟻の巣を掘り出した様な異様な光景――。
「いくわよ!」
「ああ――!」
役に立たない幽霊の様なゴジュルヌ3Dにそう言って駆け出すと、敵のロボットが波のように押し寄せてくる――。
投げて、叩いて、吹き飛ばして、しがみつくやつらは振り払う。
異次元シールドのお陰で疲れる以外は痛くも痒くもないのだが、なんせ数が多すぎる――。
「ちょっと、……敵艦は破壊したんでしょ? だったらなんでイナリの異次元制御が復旧しないのよ!」
『侵入兵器の中に異次元シールドを展開している敵を一体確認。異次元干渉して妨害している。それが宇宙制御戦艦ナハトムジークの制御装置と推測。――現在隔壁を突き破りながら動力室へ進行中。危険大。気を付けて真奈美!』
「なんですって! 敵の本体は……異次元シールドを展開しているの?」
――そんな奴、殴ったり叩いたりで壊せるのだろうか……。拳を強く握りしめる。握力が……もう残っていない。
『異次元シールドの条件は敵と互角。あとは真奈美とナハトムジークの力比べ。敵本体、――動力室に侵入!』
どんな姿をしているのか確認し、――私は驚愕して……開いた口が塞がらなかった。
甲イカの様な白く流線型のボディーは宇宙制御戦艦ナハトムジークと同じ姿であり、底に……取って付けたような細長い機械の脚が8本で、ぎこちなく歩いている。
「イカなんだか、タコなんだか……」
斧を肩に担ぎ直し、ゴジュルヌがそう賛美する……。
雑魚とは違い、私の身長に比べて数倍はある巨大な敵、ナハトムジークを前にし、私の足が震え始めるのだが、
……もう、やるしかない!
なんとしてもここで食い止めなければならない!
「私は異次元なんかでやられるわけにはいかないのよ!」
その大きな白いボディーに拳をぶつけると。――一発で勝敗がついた!
「イッターイ。硬い! なによこれ、イナリと同じ材質じゃないの!」
イナリは私とナハトムジークの力比べなんて言ったけど、それなら……絶対に勝てっこないわよ!
素手の拳がダイヤモンドより硬い違法錬金した装甲なんかに、かなうもんですか!
ナハトムジークは私の一撃や存在すらを無視し、動力源に突撃していった――。
大きな異次元干渉で艦内が揺れ動き――、轟音と火花が飛び散る!
真っ黒い結晶物が飛び散って――室内に黒いシミのように堆積していく――!
「な、なんなのよこの黒い物体は!」
痛めた手首を押さえながら、その黒いものが飛び散ってくるのを避ける。
イカがイカ墨を吹き散らかしているような、汚い絵図だわ――。
『異次元シールド同士が接触して生じる、異次元カーボン。現在動力源異次元シールド約半分崩壊中。破壊されるのは時間の問題――。それよりも真奈美の手首は大丈夫かと心配中』
「……人の心配よりも……自分の心配をしなさいよ! もうだめだわ。防ぎようがない!」
そう言ったときであった。
動力源を破壊するために突撃していたナハトムジークは動きを止めた。
「マナミ……だと――」
確かにナハトムジークがそう言ったように聞こえた。
そしてゆっくりナハトムジークがその尖った頭ををこちらへと向ける……。
なんでだろう……。すっごく嫌な予感がするわ――。




