――囮に騙された真奈美!
艦内に侵入してくる敵の小型兵器!!
真奈美は囮に騙されてしまう!?
――囮に騙された真奈美!
「ダーダダダダ!」
叫びながら小型のロボットをなぎ倒していく。異次元シールドで覆われている私は、はっきり言って無敵であった。通路内を機械の残骸が敷き詰められていく。
「動力室はどこなの!」
『次の通路を左へ曲がって直進距離にて3百メートル。動力源も異次元シールド強化中。敵小型白兵器が攻撃を継続中』
敵の一部はもう動力室にまで侵入しているの? でも……いったいどうやって? 異次元シールドが展開されているはずなのに――!
――急がなくちゃ。
ゼエゼエと息を切らせながら、走る! 殴る! 蹴る~!
「ダーダダダダあ~どけ~、どきなさい! 壊されたくなかったら!」
そう叫んでも聞き分けの悪い奴らばかり……。
壁を作って通路を塞いでいる奴らもいるが、
……どう見ても人間ピラミッドのロボット版にしか見えない。
高さ的には、……小学校六年生の運動会だわ!
「雑魚に構うな、真奈美ちゃんは動力源を死守するんだ!」
「え? ええ、わかったわ!」
ゴジュルヌは斧を振り回して、走って着いてくる。
勇ましい姿は頼りになるのだが、気になることが一つある。
先ほどから敵を一体も破壊していない……。
「……ひょっとして、ゴジュルヌ……装甲服を着て斧を持っているけど、それも3D映像なの?」
「その通り! 物理的な攻撃は不可能だ」
ゴジュルヌがヘルメットのシールドをシュッと上げてそう答えた。――思わずズッコケそうになってしまう~!
「ありえない~! まったく役にたたないじゃない!」
「囮くらいにならなれると思ったが……、いやはや宇宙制御戦艦の作るロボットとなるとバレバレのようだな。誰も俺を攻撃してくれない。さすがだ!」
3D映像ならわざわざ私と並んで走る必要ないでしょ!
喋るのすら疲れるわ――!
「ここが動力室だ! ハア、ハア、ナビくらいなら俺でも出来るぜ!」
大きく「動力室」と漢字で書いてある……。
「見れば解るわよそんな事! ――ハアハア息なんて切らすな! バカあたま!」
ゴジュルヌはまた……片方の目を瞑ってウィンクさせて見せる……腹立つわ~!




