艦内に侵入してくる敵兵器!
安心していたのもつかの間……っていうか、一瞬。またしても次の宇宙制御戦艦がイナリと真奈美を待ち受ける!!
艦内に侵入してくる敵兵器!
「――緊急警報! 異次元内にて宇宙制御戦艦ナハトムジークと接触! 原因不明。なんで? 異次元80318は私専用! 多重変移暗号により解析不可能のはず。混乱中!」
大きな警報音が艦橋内に鳴り響くのと同時にイナリがそう叫んだ。
――目の前に現れたのは、またしても宇宙制御戦艦! 異次元内で敵艦に至近で遭遇するなんて――!
船首が……イナリの船首部分に食い込んでいる!
突き刺さっている――!
「これは――難儀だな……。イナリは他の宇宙制御戦艦と一度接触しているだろう」
接触?
濃厚接触なんて……していたかしら……? ――はっ!
「あのブラックホール内部での密会の時ね!」
「……!」
「全宇宙制御戦艦が解析に総力を挙げれば、イナリの異次元ナンバー、侵入方法、制御方法、全て解析されてしまったって訳だ。……さて、こうなってしまった以上は仕方ないな」
ゴジュルヌは立ち上がると、体を動かし、軽く準備運動を始めた。
「……なにが仕方ないの?」
……あんまし考えたくない……。
「現在、敵艦解析中。――うわっと! 敵艦より小型侵入兵器有り! その数、めっちゃ多数! 艦内異次元シールド強化中」
目の前のモニターに侵入してくる兵器の様なものが多数映し出される。
戦闘用の小型ロボットだわ――。
――ガン〇ムみたいな! ドラエ〇もんみたいではない……。
「異次元内なんだから、外に放り出したり分解したらいいじゃない!」
数が多過ぎて、見ていて気色悪い~!
「現在敵艦の異次元干渉により、異次元使用に制限と障害発生中――。宇宙への転送も不可能。危険状態。ただし、敵艦の異次元も同様と推測。敵艦の異次元シールドは――無効中?」
敵艦の異次元シールドが無効?
「それってどういうことよ? 捨て身の攻撃とでも言うの?」
「――理解不能! 宇宙制御戦艦はサラマン様以外の任務を遂行するため以外に、自己犠牲など決してしない。解析中――も、異次元障害の為、解析力低下中。よって不可」
「自己犠牲はしない? ……そんな事はないさ。イナリだってそうだろ?」
言いながら、ゴジュルヌは装甲服の様なものを身につけていた。
手にはセラミック製の真っ白な斧が握り締められている。ゴジュルヌは体つきも良く、強そうに見えるのだが、戦う相手は機械なのだ。
人と機械なんかが戦って、……本当に勝てるというの?
「……もしかしてここを狙って来るの?」
またテーブルの下へと隠れようとする……。
「いや、それはないだろう」
ゴジュルヌが応えると、ホッと安堵のため息をついた。
「敵が狙うのは宇宙制御戦艦内の超重力制御エネルギー。または制御装置と推測。 そこを破壊されれば、私はこの異次元と共に崩壊確定。フォーエバー」
さっきの安堵のため息が、まだこのへんに漂っているのなら、吸い込んでしまいたかった……。




