まっがーれ!
宇宙制御戦艦エレキギターの異次元歪曲を逆に利用し、光の速度を超える異次元粒子砲を捻じ曲げる!!
まっがーれ!
「異次元粒子砲発射! 歪曲作動。敵歪曲を解析! 船体角度で発射角度調整!」
ゴジュルヌはまた口が開いたままになっている。
オイナリサンの船体が急に大きく左に傾くと、光の帯がそれに合わせてねじれ曲がる――その瞬間に、超巨大な光の爆発が発生した――!
『――見事だ!』
……それはゴジュルヌでもイナリでもなく、敵宇宙制御戦艦エレキギターの最後の声であった……。
眩い光の玉は全てのものを飲み込むほど大きく光輝き、数秒後には跡形も無く消えてなくなった――。
「――やったなあ。さすがだ真奈美艦長!」
「まだまだよ。なんせあと……八隻も待ち受けているんだから……」
そうゴジュルヌに答えてソファーに座った。
昨日から眠っていない。そのくせ、全然疲れていないどころか、戦いの最中は高揚感さえ感じていた……。命懸けの戦いなのに、なぜこんなにも胸が熱くなるのだろう。
「人間及び地球の有機生物には戦いを強く好む遺伝子が存在している為。宇宙においては珍しくもない事。こいつがその代表格」
イナリが言うと、ゴジュルヌは一つ咳払いをした。
「ゴッホん。おいおい、そう言うイナリの親玉も同じだろ。要するに、大宇宙は戦争でもしていなきゃ暇なのさ。小宇宙はそれをさせないように努力したが、大宇宙と接触していれば、それは無理なことだった。一億年前が懐かしいぜ」
ゴジュルヌはテーブル横の椅子に腰を下ろした。
「んん? ゴジュルヌの方が私より年上とは思わなかった。もしかして、我らの初陣も知っているのかと? 質問中」
「……さあねえ。興味ないな」
ゴジュルヌがコーヒーを口へ運ぶと、久しぶりにイナリがゴジュルヌ本体である大きな顔に電撃を流し始めた……。
「イデデデ、なにしやがる!」
連動してゴジュルヌ3Dも痛がる。
「言え、言え! 知ってること全てを。尋問中!」
「知りたきゃ自分で調べろってサラマンに言われてるんだろ。それにこれは尋問じゃなくて拷問だぜ! アイタタタ!」
二人のやり取りを見ていた私は、また呆れ果てる。
この二人は……本当に危機感があるのかしら。しかし、そんな私こそ……危機感にかけていたのかもしれない。
「イナリ、馬鹿なことやってないで、地球はどうなったのよ。元に戻したの?」
背後のモニターを見ると、そこには既に青い地球が浮かんでいた。真円を描いた地球を確認し、ホッと胸を撫で下ろす。
「とっくの昔に復元済み。真奈美も危機感に掛けていると判断」
「うるさいわね。つまらない事であんた逹が盛り上り過ぎなのよ」
そう言って私もテーブルに座った。
ゴジュルヌもコーヒーを口に運んでいるのだが、まだ体は青白い稲妻で覆われてる……。
「では異次元にて損傷箇所を修理した後に、サラマン第一惑星へと向かう。異次元へ移動中」
周りがピンクの異次元へと姿を変えた。
いつの間にかイナリの異次元80318が、一番心安らぐ空間になっていたのだが、……それが過去の話となってしまう。




