行方不明の正義?
ゴジュルヌから宇宙戦争の真意を聞かされ、真奈美は涙する……。
行方不明の正義?
「じゃあ、サラマンに文明の進化を制限されないようにする為に、ゴジュルヌやゴドルベーザは反抗しているのね」
コーヒーを飲み直しながらそう聞く。
「いや、ゴドルベーザにはそのようにプログラミングを施したが、実のところは、ちょっと違うんだ……イテテ」
「え、なにかまだ他に理由があるの?」
これこそが真の戦争を巻き起こした理由なのかもしれないわ――。
自然に顔をゴジュルヌに近付けていた。
「サラマンのやることが正しいなら、あえて俺はそれに歯向かってやる。この世は正しいものだけで成り立っている訳じゃない。サラマンが歪みを修正するなら俺はあえて歪みを作る。もし、奴が歪みを作るのなら俺は修正をする。奴が白なら俺は黒。奴がトムなら俺はジェリーだ」
ゴジュルヌは誇らしげな顔をした……。
開いた口が塞がらない。
私も……、イナリも……。
そして分かった宇宙の戦争に真意――。
「つまり……、サラマンは言ってることは正しいけど、やってることは無茶苦茶……。ゴジュルヌは言ってることは無茶苦茶で、やってることも無茶苦茶……。そういうことなのね……」
大きく頷くゴジュルヌの思考回路が……ごめん。やっぱ理解できないわ。
よくよく考えてみると、サラマンも似たようなものだ。この二人……実は知り合いか何かではなかろうかと……思わざるを得ない。
「サラマンとは、仲が悪いのね……」
「その通りだ」
呆れてため息しか出ないわ。
夜遅くまで私が命がけで頑張ってきたのは……一体なんだったのだろうか。
宇宙にはこんな思考回路の低い奴らしかいないのかしら。本当に疲れる――。
どっと疲れが出てしまう――。
なんか泣きそう……。悔し涙だわ!
「戦争を止めさせるとか意気込んでたのが……本っ当に馬鹿馬鹿しいわ。イナリ、さっさと地球に帰りましょ。学校があるんだから――」
急に眠気にも襲われ、大きなあくびをする。
「ええ! 敵の大将をサラマン様に届けるよりも学校が大事? 毎日居眠りしているだけなのに? 真奈美の思考回路も……解析不可能!」
そう言って……帰るのに反対しやがる~。
「そうすることで戦争が今すぐ終わるのなら直ぐにでもそうするけど、ゴドルベーザとか他の馬鹿がたくさんいる限り、宇宙の戦争は直ぐに終わったりしないわ。……すぐに終わらせたければ……サラマンに小宇宙の座標を教えてやりなさいよ。他の次元戦艦がドッと押し寄せてすぐ終結するわ。でも……」
そこまで言って――ハッと目が覚めた。
「でも……なんだ?」
ゴジュルヌが私の顔を覗き込む。
「でも……、戦争が終わったら次元戦艦は……。戦う相手が居なくなってしまうわ……」




