敵戦闘機を真似て作ったはずなのに……
敵戦闘機を真似て作ったはずなのに、どうやら少しの違いでバレてしまったようです。
そのせいで、真奈美にピンチが押し寄せます!
敵戦闘機を真似て作ったはずなのに……
「な、なによ、私はこれから小宇宙へ行くのよ。邪魔しないで!」
『要塞内に入る前に許可申請が出ていた。先程は許可したが、なぜお前の機体は……白色なのだ? 所属艦隊のコードは? って言うか……一体誰が乗っているんだ。不明箇所多数のため、一時停止せよ。――さもなくば攻撃する!』
「ええー!」
ちょっと待ってってえ!
攻撃するってどういう意味よ。フー? じゃない、ホワーイ? そんなの聞いていないわよ。
速度を落とすこともなく、聞こえないフリをして突き進む。すると黒い球体は威嚇射撃をしてきた!
黒い機体の中央に赤色の物が見えたかと思うと、それは吹き矢のようヒュンとこちらへ飛んでくる――。
操縦桿を素早く右に左に一瞬倒すと、ミサイルは戦闘機の横数ミリのところを通り過ぎて飛んでいった――。
「あっ! あっ! 危ないじゃないの! 当たったらどうするのよ!」
『だ~か~ら、止まれと警告中だ! さっきのも威嚇射撃なんかじゃないぞ、敵と見なして攻撃しているんだぞ!』
「なんですって! やめてよ!」
『やめない。断固拒否! 嫌なら止まれ! 止まれ! 止まれ!』
――喋っている場合なんかじゃないわ!
コクピット内に日本語で声が聞こえると、思わず返事をしてしまう。
『最終通達。速やかに停止せよ。さもなければ攻撃する!』
「さっきだって攻撃してきたくせに! もう怒った――激おこプンプンよ!」
……この戦闘機にだって、ミサイルを搭載していたはずだわ。
操縦桿についているボタンのカバーを親指で弾き上げると、軽く抑えてロックオンをする。デジガメでピントを合わせるようなものよ。容易い操作だわ。
『――! 反逆者と認識! 警戒警報発令!』
「そんなの今さら出したって遅いわよ!」
言うのと同時に黒い機体は木端微塵に爆発した。私が発射したミサイルが命中したのだ――。
しかし、そのすぐ後に、後悔する事となる……。そりゃそうか……。
『反逆者侵入! 小宇宙転送空間シールドを展開! 拘束艇射出。パトロール機は全機攻撃開始!』
敵の要塞内アナウンスを全部翻訳してくれる……。
要塞内部壁からは、宇宙戦艦クラスの拘束艇が何隻も飛び出してくるではないか!
そして中央にあった黒い塊を装甲板が覆い隠そうとしている――。
要塞に入ってきた小さな穴も、とっくの昔に塞がっている!
このままでは――捕まってしまうわ!
「袋の鼠って――私の事だわ~!」
機内で一人大声を上げながら、パトロール機を小刻みに避け、全速力で閉じかける黒い塊へと向かった。




