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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
145/196

潜入! 移動要塞!

敵の戦闘機を真似て作った真奈美機で、敵要塞へと突入する――!



 潜入! 移動要塞!


『大宇宙へカタパルト部分のみ移動』


 コクピット内から見えるピンク色の異次元が、真っ黒な宇宙へと変化した。

「えっ? えっ? 宇宙服とか戦闘服とかないの? こんなスカートじゃ操縦しにくいわよ。それにいきなり……うお――!」


 抵抗も虚しく、イナリはカタパルトから勢いよく戦闘機を発進させた。

『発進完了――』



 体に凄まじい重力がかかるが、一瞬でそれは無くなり、私は真っ暗な宇宙へと放り出された――。


「ちょっと、こら、危ないって!」

 どうしていいのか分からないが、すぐさま操縦桿を握る。宇宙空間をよく見つめると、砂粒のように小さく移動要塞が見える。

『目標補足。約2分後に到着予定。着陸方法を教える。あそこに着陸したいなあと思う。発進方法を教える……』

「もしかして、発進したいなあと思うの?」

『大正解! 真奈美の少ない脳細胞でよく分かったと感心中!』


 ……皮肉を言われているんだが……抵抗する余裕はなかった。

 移動要塞が――もう目の前に壁として立ちはだかっているのだ――。


『接触まではまだまだ約百万キロ。これより敵要塞シールド内へ突入。その後異次元消失空間へ突入予定。10秒後。カウントダウウン開始』

 額や脇の下から、汗がこれでもかと言うほど吹き出る~!

 操縦桿を握る掌もベトベトだわ!

「ちょっと待ってて言ってるでしょ。まだ操縦の仕方なんか覚えていないわ。それにどうやって敵と通信するのよ。通してって日本語が通じるわけ?」

 通じるわけないわ……。目の前のセルリアンブルー色をした不気味な壁に四角い隙間が開き、まるで私ごと飲み込もうとしている~。

「ちょっとイナリ、なにか答えなさいよ!」


 ……なにも応答がない……?


 え? もう異次元が消失しているの? ……操縦桿を握る手に一層力が入る!


 戦闘機内の小さなモニターに「異次元消失中」と赤色で大きく表示されていたのだが、それに気付く余裕さえなかった――。


「助けてー!」


 戦闘機はほぼ光速で飛行していた。

 目の前の壁は一瞬で過ぎ去り、煌めく多くの照明を背後へと次々に押しやる。


 ……なんてバカでかい要塞なの……。気が付いたのは、その暗く長いトンネルを突き抜けた時だった。


 眩しい――!


 光で目が眩む。要塞内部には惑星一つをすっぽり飲み込むような大空間があった。

「ここが要塞内部!」


 そう呟き終わる時には、もう反対側の壁が急接近する――。


「ちょっとまってよ、止まって、止まれ!」

 そう叫ぶと、また物凄い重力が体にかかり――、前の壁との直撃は免れた。


 壁が広大に上下左右に広がっているため、数センチ前に壁がある錯覚に陥る。いつの間にか私は……また胸を抑えてハアハアと荒い呼吸をしていた。

「助かったのね。イテテ」

 重力で苦しかった分けではなく、胸が痛かった。――早くここを通り過ぎなくては。


 ふうっと一息吐いて落ち着きを取り戻し、周囲を見渡すと空間のちょうど中央付近におびただしい数の宇宙船が集まっているのが分かった。

 その宇宙船の中心に黒い空間がぼんやり浮かんでおり、そこに向かって入っていく船や、そこから出てくる船がいる。……つまり、あの黒い塊りこそが、小宇宙と大宇宙をつなぐ移動箇所なのだろう。


 もう一息吐き出すと、妙に落ち着いた。……操縦桿をゆっくり操作して戦闘機の向きをゆっくりと変える。

あそこに飛び込むだけでいいのなら簡単だわ……。なんだか身体中がブラックホールに引き寄せられるかのように、そこへと向かって飛ぶ。戦闘機のスロットルを吹かしてスピードを少しあげる。


 何隻もの宇宙船が飛び交うのだが全く怖くもない。

 気付かないうちに私は、戦闘機をチャリンコのように扱っていた。


「早く小宇宙に行きたいわ――」

 その一心であったのだが――。


『そこの戦闘機止まれ!』

 その声が急に私のテンションを地に引き下げた。


 目の前に……並飛行する不気味な黒い球状の機械が姿を現せた――。


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