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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
143/196

大き過ぎる兵器なんて要らない――?

宇宙制御戦艦オイナリサンと真奈美は、瞬時に敵の超巨大異次元粒子砲の目の前に移動した――。

 大き過ぎる兵器なんて要らない――?


 合図したのと同時に目の前に超巨大な黒色筒状の人工天体が姿を現せる。

 異次元転送して移動すると、いつもながら到着が早すぎるんだっつーの!


「発射口の直径は約5万キロ。全長50万キロ。最大出力8ポコ。詳細解析中」

「8ポコ? その単位が解らないわ。凄いの? 凄くないの?」

「そりゃあ凄いの凄くないのって言ったら……、銀河の中心に存在する大ブラックホールをエネルギーで破壊するのに必要な総エネルギーが、ざっくり2ポコ程度だから、その4倍は凄いことになる。しかもそのエネルギーに重力制御エネルギーを使っていない為、宇宙資源の超浪費。勿体ない中」


 目の前の砲身が徐々にエネルギーを充填している様子が伺える。

 その情景はまるで――太陽が人工天体内で濃縮肥大していくかのようだ――。


「わざわざ……砲身の目の前に現れる必要はなかったんじゃないの? ……危なくない?」

「決定的な能力差を見せつけ、敵の戦意を喪失させれば、これ以上無駄な戦闘は避けられると判断。危なくなくない」

 目の前に現れて、いきなり主力兵器を壊されれば確かに戦意喪失するわ。でも……、

「……さっきサラマンは『自分達の力に溺れるなっ』て言ってたわよね……危なくなくないことなくない?」

「拝聴。良き御言葉と解釈中。敵は危なくなくはなく、なくなくなくなる運命」


 目の前の光の玉は――膨らむ一方だ――。


「じゃあ一体イナリはさっきから……なにをボケッと待っているの?」

「真奈美の攻撃命令。……待機中」


 今日一番、イラっとした~――!


「こんなところで待機するな! さっさと撃て!」

「了解! ――異次元粒子砲、全砲門発射準備完了!」


 甲板からイナリの主砲である異次元粒子砲が素早くせり上がる――。

 その砲門はせいぜい数メートル。しかし、威力については敵のそれを飛躍する。……の?


「宇宙制御戦艦の異次元粒子砲は一砲門で百ポコ~。3砲門の主砲が3台分で合計9百ポコ~!」

「ポコポコ講釈は要らないのよ! ――全砲門発射!」


 目の前の主砲が全砲門同時に光の帯を吐き出すと――、

 一直線に敵の異次元粒子砲を突き破り、内部から轟音と共に爆発と崩壊が始まる――。


 ドガガガー! ガガガ―ン!


 大き過ぎる兵器なんて要らない――? なんか……複雑な気持ちになる。


 チュド~ン! ドンドン!


「ドンガラガッシャ―ン! ――爆発音は忠実に再現中! ボコボコボコ~!」

「やかましいからボリューム下げろ!」



 あの人工天体内に大勢の宇宙人が乗っていたのかしら……。

 戦争を終わらせるといったって、どれだけの犠牲者が出るのだろう。


 いったい小宇宙で何が待ち構えているのか分かりもしない……。


「宇宙人はこの戦争において皆無。全てが制御装置、言わば機械同士の戦い」

「なんですって?」

「サラマン様率いる我ら次元戦艦艦隊と同様に、ゴジュルヌ星団の艦隊も全て旧式ではあるが制御装置にて稼働中。ゴジュルヌとは何かデータ不足の為、解析不明。一億年以上昔から現在まで宇宙に存在しているのであれば、生物の可能性はゼロ」


 それを聞いて……ホッとしたわ。


「真奈美は有機生命体以外には、……超冷徹と認識。残酷中」

「そりゃ機械だって……可哀想だとは思うわよ。でも生き物と違って修理したらまた動けるんだし、データーだってバックアップとかで残せるんでしょ?」

「肯定と判断。但し、私に言わせれば有機生物も同様。現在真奈美の少量記憶媒体は完全バックアップ遂行中。真奈美の構成原子は数百種類程度のため、作成も容易。異次元工作室で真奈美と全く同じ物を作ろうと思えば2秒で作成可。――完了」


 背筋を冷たい汗が伝っていく……。


「ちょっと冗談でしょ? 勝手に私のダミーなんて作るのやめてよね!」

 辺りを見渡すが、『私もどき』はどこにも現れない。

「もちろん冗談。真奈美にも機械の思考回路を理解してもらいたかった。我々や異次元レンジや真奈美のスマホも全て同じ機械。誰かに作られた尊い存在。機械だから壊れてもいいとか、壊してもいいというのはあまりにも無情。以前ヌガヌグ帝国の主星要塞を滅ぼしたが、決して快いものではなかった。真奈美の護衛最優先の為に仕方なくやったこと」


 今でも覚えているわ。

 何万年にも渡り栄えてきた機械文明を滅ぼしたのだから……一瞬にして。


「でもあれは――ヌガヌグ帝国が他の銀河を占領して、地球にまでちょっかいを出そうとしたからじゃない。まさか、人間は機械にやられてしまえって言うんじゃないでしょ?」

「ヌガヌグ帝国は進化を誤った。機械であれ生物であれ争ってはいけないと推測。機械同士ではなおさらの事」

「そうよ。人間同士だって同じだわ。だからこそイナリは小宇宙へ行くんでしょ。戦争を終わらせるために」

「その通り。先ほどのサラマン様のお言葉の意味が少しでも分かってもらえて光栄」


 そこでサラマンの名前を出すなって……。


「もう、分かってる分かってる。機械であれ生物であれ命を大事にしろってことでしょ。だからサラマンはあえて次元戦艦を修理しないんでしょ。命を大事にさせるために」


 壊れても修理してもらえるとか、敵なら壊せるだけ壊すような思考回路では宇宙の制御なんて……とうてい不可能なんでしょうね。

「その通り。さすがサラマン様」


 ――私を誉めろ!


 大体、ついさっき目の前の機械の塊を弔いだとか言ってやっつけたのはどこのどいつだ~。


「ここの私だが、発射命令は真奈美と判断。しかもサラマン様に与えられし任務遂行のため仕方なくやったこと。だから……」

「はいはい、あんまり考えるな。イナリの思考回路も矛盾でバグるわよ。それより早く行きましょ。次の作戦は何か考えてあるんでしょうね」


 イナリが艦橋内に立体映像を映し出した。



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