次元が、違いすぎ?
奇妙な唸り音を響かせる宇宙制御戦艦ファンデルワールスに、真奈美とイナリは身構える! ついに非常事態が勃発する!!
次元が、違いすぎ?
まるで薄いノコギリの刃の部分を叩いたような奇怪な音……。
「なによこの……不気味な音は……?」
「……ファンデルワールスは今笑っている。音声化してそれを表現していると認識」
なんて奇妙な笑い声だ……。せめて練習して欲しい……。
『失礼した。これまで笑ったことなどなかったものだから。ナイスバディーまであと千里、ってそれ距離の単位じゃん。次元違いすぎー。ヒョウヒョウヒョウ~』
……一人でバカうけしているようだわ。
「……ちょっと腹立ってきたんだけど」
「ファンデルワールスの制御装置はこれまで笑いの分野の発達は無かったのだと推測」
『ヒー、ヒー、あー面白かった。この敵を殲滅させたら樋伊谷真奈美とまた話がしたいものだ』
「少しなら可能と判断」
「私達は急いでるんだから早くしてよね」
『了解した。次元戦艦だけでなく、私自らも参戦しよう。そうすれば数秒で片付く。その後だが、君たちが小宇宙へ行くのであれば、私しか知らない極秘情報を教えよう』
「極秘情報? 我らの得た情報は全てサラマン様に報告する義務があると判断」
すると一瞬の時をおいて、ファンデルが答えた。
『サラマン様も我らに与えない情報を持っている。我らがそれを行って悪い道理がない。それに、……もうよいのだ。それではまた大宇宙で会おう』
通信が途切れると、目の前のスクリーンに映っていたファンデルは消えてしまった。
「結局、あいつは敵なの? 味方なの?」
「味方と判断。真奈美に妙に好感を覚えたと認識。モテる女は辛いねえと冷やかし中」
「バカなこと言っていないで、そろそろ大宇宙へ戻ったら。それとイナリも加勢しなさいよ」
腕時計を見ると、とっくに夕飯の時間を過ぎている――。
まだ何も作戦らしいことをやっていないのだ。これは今日中には帰れないかも知れないわ。
母にまた叱られるかもしれないと思った時、艦橋内にけたたましい警報音が鳴り響く――。
「――次は何事なの?」
「緊急事態発生――解析中。――完了! 元座標において異次元から大宇宙への転送不可! 原因不明も――大宇宙において異次元消失空間が展開されたと推測! 転送可能地点計測により、半径5千万キロが異次元転送不可。宇宙と異次元の行き来が出来ない状態!」
目の前の大スクリーンに、たくさんの異常表示と現在の状態が表示される――。
「それって、ファンデルも異次元使えないって事じゃないの! ――やられてしまうわ!」
「宇宙制御戦艦は異次元が使用出来なくてもゴジュルヌ艦隊に敗れるような事はないと推測。但し――」
「但し、「敵艦がこれまでに類を見ない新兵器があった場合を除くっ」て言いたいんでしょ?」
「……その通り。ご名答。真奈美は制御装置の思考回路を解析できる能力が開花したのかと質問中?」
「イナリの口癖を真似しただけよ! さっさと大宇宙へ戻れる場所を探して戻りなさいよ。ファンデルがやられたら小宇宙への鍵が閉ざされてしまうかも知れないわ」
極秘情報を知っていると言っていたわ。それに、なんだかすごく嫌な予感がする。胸騒ぎがするのだ。
「了解。座標確定。5千万キロ離れた大宇宙へ転送」
そこで私とイナリが目にしたもの。
それは、宇宙を裂くかのような大きく太い光の帯であった――。




