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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
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出発前日の口論

小宇宙へ出発する前日に、真奈美はイナリと口論となる。



 出発前日の口論


 小宇宙の場所をイナリが目の前に表示し、緻密な計画を説明してくれる……。


 どうでもいいが、わざわざ授業中にやらなくてもいいでしょ! と言ったのだが、『今日の放課後までに作戦を立案し真奈美に把握してもらう必要あり!』と言いだして聞かないのだ。


 昨日の夜、その事で口論となった。



「ええ! 私も行くの?」

「以前のように万が一の事があれば、私の第一の任務である真奈美の護衛が達成出来なくなる。その為、同行依頼中」

 不安でならなかった。


 ――敵の真っ只中へ飛び込むのに危険が無い筈がないじゃない!

 地球で一人留守番をしているほうが絶対安全だ――。


「大宇宙においても現在、絶対安全は皆無。ゴジュルヌ星団の艦隊も多少危険と認識しているが、それ以上に私以外の宇宙制御戦艦が危険と認識。宇宙制御戦艦の能力を最大限に発揮すれば、銀河一個程度なら数時間で壊滅可能。待機中」


 ずーんと頭が重くなる。

 ――あのバカは本当に(ろく)でないものを作ったと褒めてやりたい~!


「宇宙制御戦艦の制御装置は完璧。一億年もの使用にて進化の形態は各艦により異なったと推測。真奈美たち人間においても、年をとるほど形態や思考回路に個性が発生、拡大している。個性においては、進化するためには必要な回路と判断。個性進化中」

「……作り主に刃向かうのも……個性なの?」

「程度と規模が異なるが、真奈美も母親に刃向かうことあり。人間における反抗期とはこれまで一方的に制御されていた状態を打開し、自分の制御を開始するための重要な期間。私を除く宇宙制御戦艦は現在反抗期と推測」


 宇宙制御戦艦が反抗期~? 反抗期というより、……犯行期じゃないの?


「――じゃあイナリもいずれはサラマンや私に刃向かうことがあるってこと? そしてそれも大事なことなの?」

「私はサラマン様に忠誠を尽くす。これまでもこれからも。それは絶対に変わらない。忠誠中」

 ……怪しいものだわ……。

「聞こえている。ただし、真奈美に刃向かうなど皆無。真奈美が刃向かう側。真奈美は思春期真っ只中。私は製造され1億年経過。……殆ど異次元で待機していたが、真奈美よりは年上。天才。目上。イケメン。いつでも刃向かってきなさい」


 イナリの言葉を無視して部屋のテレビを点けた。

「アーハッハッハ、このコンビおもしろーい。オードリーヘップバーンの再来だわ!」

「……ムカ。そういう行動こそ……幼い象徴。立腹中」

「うるさいわねえ、テレビが聞こえないでしょ」

「それは申し訳ない。謝罪中。ただし真奈美の音声の方がよほど騒音。公害。デシベル計測中」

「騒音ってなによ! だいたい部屋の中だからといってベラベラ喋らないでよ。家族に見つかったらどうするのよ!」


 その時、――急に部屋の扉が開いて妹の瑠奈が入ってきた!


「お姉ちゃんいい加減にしてよ! いつもいつもワケわかんない一人言言ってるの、自分でも気付いてないわけ?」


 突然入ってきた妹に――ドキッとしたじゃないの~!


「――ちょっと、急に入って来るなって前に言ったでしょ! ノックぐらいしなさい!」

「百回くらいしたわよっ。お姉ちゃんが気付いてないだけじゃない」

『樋伊谷瑠奈はカウント誤り。ノック回数54回の為、約半数。偽り中』


 イナリのそのコメント……、今日はそのまま引用させてもらうわ――。


「いい加減な事言うんじゃないわよ、54回しかノックしてないくせに。高校生にもなって数も数えられないの?」

 瑠奈が……不意討ちを喰らったような顔をする。

「な、なによ逆ギレ? 迷惑だって言ってるのはこっちでしょ!」

「だからって54回もノックしないで。うるさくてたまらないわ。今度仕返しに55回ノックしてやるわ~。さっさと出ていけ!」


『……落胆中』


「もうお姉ちゃんなんか大嫌い。馬鹿(ばか)、ブス、土手(どて)!」

「嫌いで結構さっさと出てけ! 肉ゴジラ、ホワニタマニタ! お前の母ちゃん出べそ、お前のとおちゃんアデランス! お前の脳みそ、タ・ケ・ヤ・ミ・ソ~!」


 瑠奈は今にも泣きそうな顔で扉を思いっきり閉めて出ていった。ザマミロだわ。べ~!


『思春期の姉妹のデーター書き足し中。姉妹喧嘩で家族を罵る必要性不明。どちらも両親同じ』

「いいのよあれぐらい! ちょっと私よりレベルの高い高校に入ったからって調子に乗ってるのよね。身長も追い付いてきたし」

 妹にハラが立つのはいつものことよ、――日常茶飯事だ。


 喧嘩するほど仲がいいとは思わないんだけど、思った事は思った時に思いっきり言わなければならない。家族なんだから。


 サラマンやイナリとは異なり、人間は相手の思ったことを異次元解析出来ないのだから……。


『でも、ある程度は解析する努力も必要と判断。明日の放課後はかなり遠出する為、もう休息した方が良いと提案。消灯中……』


 蛍光灯が、ゆっくりと暗くなっていく。

 遠回しに、もう寝ろって事ね……。


 しかも、……いつの間にか、私も小宇宙に行くことに決定されてるし~――!



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