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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
133/196

謀反勃発?

サラマンのマントを真奈美が後ろから引っ張る――!?

 謀反勃発?


 ギュッ!


「な、なにをする? 首がしまるではないか。貴様も謀反か?」

 違うわい!

「ちょっと待ってってば、最後に聞きたい事があるだけよ」

 マントをたぐり寄せて放すと、サラマンはそこに尻餅をついた。

 イナリは見て見ぬフリをしている……。

「宇宙の最後ってなによ? 無に帰るの? 他の戦艦がすっごく気にしてたわよ。なにか知ってるんでしょ」

「イテテ、必要な事はちゃんとデータベースに書き込んでやったのに、……そうか、あいつらはそんな低次元の事を悩んでいたのか。イテテテテ」

 尻を擦りながらサラマンが立ち上がる。

「なんか矛盾でも生じたんじゃない? そんな事で制御装置ってよく暴走するでしょ」

「お、よく知ってるねえ。でも宇宙制御戦艦ほどの制御装置はそんなくだらない矛盾の一つや二つ、どうでもいいやと思えるぐらいのふてぶてしさが必要なのだ。だからあえて自分で考えろと書き込んでおいた」


 ……。

 そりゃ謀反を起こす気にもなるわ……。


「それに……コホン」

 サラマンがなにかを言い掛けたが、咳払い一つして誤魔化すと、鼻唄を歌いながら去っていこうとする。


 ――明らかにまだ何か、重大な事を隠しているわ――。


「君達には関係ない事だ。余計な心配してないで、とっととおうちに帰りなさい」

 それだけ言い残し、黒い幕の間から謁見場の裏へ入っていってしまった。

 謁見場の裏には大きなプレハブ状の建物が建っている。中は全く見えないのだが、養鶏所のような匂いと鳥の鳴き声が漂ってくる。


「臭いわ。サラマンもそうだけど、宇宙はまだまだ謎だらけね。さっぱり解らないわ。……それが面白いのかもしれないけど、宇宙制御戦艦にもなると、知らない事が許せないのかしら?」

 そう呟いてイナリの方へと歩き出した。


 ……イナリはそんな矛盾をどう感じているのかしら。いつかは他の戦艦のように謀反を企んだりするのかしら。考えてみると、他の戦艦だって昔はイナリのように一生懸命だったに違いない。それが長年のうちに少しずつ自我が芽生えたに違いないわ。


 訳の解らない任務を与えられ遂行していく日々……。

 終わりは撃破されたときのみ……。

 ブラックホールを消滅させるほど強大な力を得て、撃破なんてされないと思った時、自分達の存在する意味や終わりの意味を考え始める……。


 そんな事を考え始める事が……、一番意味の無いことなのに……。


 ――哀れだわ――。


「真奈美、何を考えている?」

 湖岸まで歩いて来た私は、イナリの声で呼び止められた。

「……内緒よ。私の考えを読めない時がたまにはあってもいいものよね」

「真奈美の思考回路はいつも低次元の事しか考えていないのは把握済み。どうせ、同世代雄イケメンの裸体を想像していたと推測。確率97%以上」

「違うわ!」


 ――急になにを暴露しだすのよ!

 ――ツバ飛ぶわ!



「久しぶりに頭を使ったら肩が凝るわ。イナリ、マッサージよろしく」

 湖に浮かぶイナリに乗り込みながらそう注文した。

「私の任務は現在ゴジュルヌ星団の調査と真奈美の護衛のみ。マッサージは任務外」

 ……なにか皮肉の一言でも言ってやろうか~と思ったのだが、艦橋に設置されていたソファーがマッサージチェアーに変わっているのを確認すると、その一言も消えてしまう。


「十分で百円。今なら十五分に延長サービス中」

「――って、有料かい!」

 下町の銭湯かっつーの! 

 呆れ笑いしながらサラマン第一惑星を飛び立ち、後にした。


 次にこの星に来るとき、なにが真奈美を待ち受けているか、今の時点で知るものはなかった。



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