ブラックホールでの密会
今日は突然、宇宙制御戦艦だけの臨時召集に呼ばれるオイナリサン。
暇な真奈美はまたもや付き添う羽目になるのだが……。
ブラックホールでの密会
結局、佳奈とは仲直り出来ずに、なんの装飾もない校門をトボトボと一人で下校する。
「――異次元通信受信! 元時刻二分後、宇宙制御戦艦臨時召集。特別会議開催予定との事……だが、真奈美の許可待ち。待機中」
人気が無いところでは、イナリは異次元から直接声を出して語りかけてくる……。
「はあ? いきなりなに言い出すのよ」
「これから宇宙制御戦艦同士の臨時会議がある――のだが、真奈美の護衛を行いながら会議に出席するには、真奈美同伴で行かなくてはならないので、その許可を申請している。あと一分三十一秒。待機中」
――そんな無茶な。
「次元戦艦の時間に関する感覚はどうかしてるんじゃない? 二分後に場所も言わずに集まれだなんて。それに、どうせ宇宙のどっか遠くなんでしょ」
時間も距離も次元戦艦ってやつらには全く無関係なのだ。
「場所は大宇宙最大のブラックホール、その名もブラックワンネック。そのブラックホールの中心部で開催予定。議題は不明。――あ~あと一分二秒。秒読み中……」
「ブラックホールの中心部? なんでそんな危なっかしい所で会議するのよ!」
ブラックホールは大っ嫌いなのよ。
つーか、トラウマよ! ガルガルヒヒーンよっ!
「……意味不明。会議について議題を推測中。可能性絞り込み中。……あと四十八秒。四十七秒、四十六秒……チラ……」
「ええい、そのカウントダウンを止めなさい! 言わなくても行きたいのがバレバレよ。いいわよ。どこにでも行ってあげるわよ。どうせ暇なんだし!」
「了解。真奈美を艦橋内に転送――。同時に異次元転送にてブラックワンネック中心部へ移動。――完了」
周りが学校の校門から艦橋へと一瞬で変化したと思うと、艦橋内の全てのスクリーンは一面真っ白な異世界を映し出した――。
「到着」
「ん? ブラックホールじゃないじゃない……」
これじゃホワイトホールじゃない?
「ブラックホールの超重力場を異次元へ連続転送中。超重力が無いところは連続する爆発と超圧縮で光り輝く為、光度調整中。それよりも、他の宇宙制御戦艦十隻出現を確認」
――目の前の真っ白いスクリーンからはみ出るくらいに大きく、巨大な宇宙戦艦十隻が何もない空間から突如姿を現す――。
「近っ!」
目と鼻の先とは……この事を言うのだろう。思わずのけ反ってしまうわ。よく見ると船首が接触しているではないか。近すぎるだろ! スキンシップか!
「宇宙制御戦艦、旗艦00066コスモロニーである。今回の議題だが――」
宇宙制御戦艦とか、サラマンとか、地球外の機械や生物ときたら……どいつもこいつも話が急なのよね。
こんにちは~、とか、元気~? とか、挨拶くらいできないのかしら?
「サラマン第一惑星への総攻撃とサラマン・サマーの抹殺である」
……ほら、話の内容までぶっ飛んじゃってるわ。
「って、抹殺? サラマン様の?」
イナリが声を張り上げて聞き返した。他の艦は何も言わない――。
「なるほどねえ……。だからブラックホールの中心だなんて悪趣味な所で会議を開いたわけね……」
テーブルに頬杖をついてそう呟いた。




