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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
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私ニヤニヤしていたかしら?

真奈美は喧嘩している(一方的に嫉妬されている?)五十鈴佳奈と仲直りしようと頑張るのだが、そう簡単にはいかない。

 私ニヤニヤしていたかしら?


 昼休みに佳奈と仲良くお弁当を食べようと誘ったのだが、一言で撃沈されてしまった。

「もう私には構わないで!」

「カナ……」

 せっかくイナリと授業中に考えた仲直り大作戦が、こうもあっさり断られると、せっかく回復したテンションが……また落ち込んでしまう。

『対策再検討実施。――完了。記憶の置換、もしくは脅迫洗脳が有効と判断。許可を!』

「駄目に決まってるでしょ!」

 脅迫洗脳ってなんだ? おっそろしい!


 佳奈との喧嘩の原因は、自分で撒いた種だ。自分でなんとかしなくては……。


 仕方なく一人で食べるお弁当は、いつものように喉を通らない。気が付くと私の周りの席は人気(ひとけ)がなく、廊下からはいつも女子が私を指差したり、見て通り過ぎたりしていく。

 クスクス笑われたりなんかすると、思わずイナリにお仕置きをお願いしたくなってくる~!


 ……全校生徒で一番人気がある橘君に告白されたのだ……。橘君に好意を抱いていた女子が次々に私を見に来るのは仕方がないのよ……。

「モテる女の定めなのよ~」

「誰がモテる女よ! まったく」

 一人寂しく弁当を食ながら、のろけ独り言を呟く私に、そう突っ込むのは則子だった。


 則子とは高校からの友達なのだが、私と違って文武両道。性格も良く友達も多い。

 顔立ちも……まるで改造を施したかの如く整っていて、美人で可愛くて綺麗の三位一体なのである。橘君は最初、則子の事が好きだったのだが、ソフトボールに玉砕したのだ。


「男子にちょっと告白されたからって、浮かれたりするから佳奈も怒るのよ」

「別に浮かれてないもん」

 そう返答するが、実際には……ほんの少し……ほんのちょっぴり浮かれていたのかも知れない。


 だって~、あの橘君が私と付き合いたいと誘ってきたのよ? それとディアブロ君も! 普通の女子なら浮かれて雲まで飛んでいくわよっ――!

「ニヤニヤしながら変な想像しないの」

 則子にそう忠告されるまで私は自分がどんな顔をして弁当を食べていたのかわからなかった。

『五十鈴佳奈に弁当を共に食そうと誘うところからニヤニヤしていたと記憶。再現中』

 イナリが字幕つきの映像を視界の横に表示する。私ってば口元は緩みっぱなしで佳奈に話し掛けている!

目じりが下がり、頬が上がり、真顔ができないニヤケ顔――。鏡で見たことすらないアホヅラだわ~! キャー恥ずかしい~!

『……これでは仲直り作戦が無駄になるのも明白。真奈美はポーカーフェイスの特訓必要と判断』

 イナリのコメントを読んで顔がニヤケたまま青くなる……。


「どこ見てるのよ」

「え?」

 気が付くと則子の胸元を凝視していた。イナリが映している映像と文字がそこにあったのだから仕方がないのだが、

「え? えーと、いや、則子また胸大きくなったのかなって思っただけよ。ハハハ……」

「あ、やっぱり分かる? もうブラがキツくてキツくて」


 それは自慢? 私のニヤケ顔は一気に虚ろな視線へと変わる……。


『真奈美のまな板と比較するのは愚考と判断。またテンションが降下すると予測。人間中身が肝心……?』

「誰がまな板よ! それに最後の ? マークはどういう意味! ――はぅ!」

 ――やってしまった! 思わずそう口走ってしまった!

 則子は驚いて口を塞いで私を見ている。


 ああ~、こんなことじゃいつか則子にも嫌われちゃうわ。


「……私、真奈美とまな板って言い間違えたかしら……? だったら謝るけど……」

「……」

 そんなリアルな言い間違えだけはしないで――と言っておきたかった……。


『真奈美とまな板って、語呂がいいと判断。異次元辞書登録実施中』


 ……な、なんか……腹立つ~――。



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