表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
116/196

早く授業が始まって欲しい

則子は……佳奈の味方なの? 私の味方は……イナリだけ?

 早く授業が始まって欲しい


「佳奈が橘君のことを好きなのは知ってるんでしょ。だったら、せめて佳奈の居ないところで話しなさいよ――」

 則子の声……デカ過ぎ。佳奈にまで丸聞こえになってる……って言ってやりたい。

「そうしてたんですけど……、カナが盗み聞きしてたみたいで……すみません」

 則子の迫力に思わず敬語で応える。小さな声で。

「下駄箱でそんな話するからよ。真奈美はいいかもしれないけど、せめてどこか人気のないところで話せなかったの? 全校の女子生徒を敵にまわしてるわよ」


 気のせいか……みんなのこちらを見る目が妙に冷たい。

 廊下の外から他のクラスの女子の、刺すような視線を感じる……。


「……? ところで則子、なんで私が橘君にコクられた話を知ってるの?」

「え? そ、そりゃあ……」

 急に小さな声になり、目だけでキョロキョロ辺りを見回し……、

「佳奈が大きな声でそう言いながら教室に入って来たからよ」

 

 ……ガク。


『五十鈴佳奈が他のクラスの同志にも言いふらしていた。再現中』

 イナリが私の視界の中に再現動画を表示した……。


 はあ~、噂がすぐに拡散するわけだ。


『多くの味方を仲間にし、敵を追いやり、撃沈するのは宇宙での戦いでも同様。人間は個人の能力差は小。ただし! 真奈美は異次元シールドされており、私に護衛されているため、万が一決闘となれば勝利は確実。準備中』

「……。」


「で、真奈美はどうするつもりなの?」

「どうするもこうするも……」

 まだなにも考えていない。……私ですら気持ちの整理が出来ていないのだ。

「則子はどうしたらいいと思う? 則子だったらどうする?」

 急に私が問いかけると、則子も一歩身を引いた。

「ええ! 私だったら? ……そりゃあ、そうねえ、困るわ……」


 ほらみなさいよ。

 女子高生なら、それが普通でしょ?


 ――超有名店のシュークリームかエクレアを、どちらか一つだけあげると言われているようなものよ!


「日曜日だってソフト部の練習があるし、今は春の大会前だからそんな暇ないもの……」

「……それは、困るわね……んん?」

 則子はなんか……別の意味で困るそうだ。イケメン男子二人より、ソフトボールの方が好きなのか……?

 もったいないくらい整った綺麗な顎に指先を付け考え、気付いたように一つ頷く。

「うん。私なら断る。部活の邪魔。時間の無駄。ソフトボールの敵。……でも真奈美はクラブもしていないし、どうせ暇でしょ」

 確かにどうせ暇なのだが、


 ――それをストレートに言われてムカつかない人は皆無(かいむ)よ~と言ってやりたい~!


「はあ~。ため息しか出ないわ。……どっちでもいいと言うより、どっちもいいのよねえ。昨日まで追いかける身だったのに、それが追われる身になるとは。嬉しいんだけど……マジで悩むわ……」


 橘君は一年にして野球部エース。

 球団から食事の誘いや小遣いまで渡されている噂まである……。その代わりに佳奈以外にもライバルは多数。たとえ付き合ったとしても私なんか、すぐに捨てられるかもしれない……。いずれは女子アナと結婚してしまうのかもしれないわ……。


 一方ディアブロ君は親がイタリアの高級車メーカー社長。いずれは親の仕事を継ぎ社長の座が確定。超お金持ち。次元が違うほど……。

『次元は同じと指摘! ディアブロも大宇宙に存在。異次元を制御できるのは我ら次元戦艦のみ。指摘中!』

 はいはい、イナリはすごいね……。

 でもディアブロ君は女グセは悪そうだわ。浮気をしても、養育費を年間300万円支払って堂々としていそう……。


 ただ……親友のカナは橘君にずっと片思いをしている……。ずっと前から……。


「カナとのこともあるし、やっぱり、ディアブロ君にしとこうかなあ……」

「佳奈の為に譲るって事ね?」

 則子が明るい表情でそう聞き直してくれた。

「うん。私もカナとは、ずっと友達でいたいから」


 ――机を両手で割れんばかりに――バン! と叩いて、


 則子は激怒した!

 ――まるでメロスかドメルのように――!。


「――真奈美のバカ! そんなことで佳奈が喜ぶはずないでしょ!」


 また教室中の視線が一斉にこちらを向く~。


 先生までこっちを見ている~。もう教室に来ているではないか! 学級委員の則子が号令をかけないから授業が始まらないのだ……。

「な、な、なんでよ則子?」

「本当に友達なら、そんなことをしても佳奈が喜ぶはずがないでしょ! それに二人の男子だって怒るわ!」


 ……どうしろというのだ……。

 助けてイナリ、模範回答を教えて……。


『田中則子の推測は正確。模範回答は、『先生来ているから授業始めなさいよ』または、『シャラップ黙れ。則子も大嫌い』代弁可能。発生練習中。あ~あ~』

 イナリの回答も今日は的外れなものばかりだわ……。


 どうしようか困っていると、先生が助け船を出してくれた……。

「田中さん。始業のベルはとっくに鳴りましたよ。早く号令をかけて下さい」

 則子はとっさに振り向き、腕時計で時間を確認する。

「あ、すみません先生。起立!」

 則子の一声で教室はようやく普段通りとなり、授業が始まった。


 それにしても、ああ~どうしたらいいんだろう。私。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ