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ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
最終章 宇宙制御戦艦オイナリサン!!!
114/196

恋はブラックホール

突然呼び止められた真奈美。振り向くとそこには――!!

 恋はブラックホール


 その男子に私はただ驚き、立ち尽くすしかなかった――。橘君だ。カナも驚きの視線を私に送る。

「は……い」


 胸が倍以上の速度で高鳴る。もしかして、これって、――突然の告白?

 やだ、どうしよう――。


 橘君と私は下駄箱近くのエントランスへと向かった。ほとんどの生徒が教室に入っているため、誰も居ない。カナが壁際からこっそり見ているのが……なんか気まずい。引っかかる。

 ――さっさと教室へ行って欲しいわあ。


「この前は……すまなかった」

 橘君は私に頭を下げた。

「え、急に……なによ」

 この前というのが……いつの何の事なのかを必死に思い出す。


 なんせ色々ありすぎたのだ――ここ数日のあいだに!

 イナリとブラックホールを回収に行って、失敗して、他の次元戦艦にやられて脱出ポッドで逃げて、一週間ほど宇宙を漂流して――。


 かりんとう食べて……。

 ああ、思い出したくもないことを思い出してしまったわ……。


 助かったから良かったものの、よく生きぬいたわ、私。誰かに褒めてほしい。

『おお、よちよち。よくできまちたね。――しかし! ブラックホール回収は失敗ではなく、邪魔に妨害されたと訂正。また、他の次元戦艦にやられたのではなく、相討ちと訂正。真奈美の記憶回路、修正中!』


 ええい、人が必死に考えているところを邪魔するな~。


『橘太郎の謝罪理由は、ちょうどその前の野球対決を指すと解析。待機中』

 野球対決? ――ああ、そうだった。

 私を賞品に賭けて橘君とディアブロ君が野球で勝負したんだった。まったく……、いくら私がカワユイからって勝手に賞品にするのはやっぱり駄目よね……。

『……賞品は同クラスの田中則子。真奈美は敗者が貰う残念賞。いや、バツゲームだったと記憶中。訂正中』


 記憶の狭間に封印し……、思い出したくもない事を……イナリに思いださされた……。


 そうなのだ。つい先週、橘君とディアブロ君は野球の勝負で勝った方が同じクラスの田中則子と付き合い、負けた方が、なんと私と付き合うなんてとんでもなく酷い勝負をしたのであった。しかも! 勝敗はバッターのデッドボールとピッチャーにすっぽ抜けたバットが当たってのドロー。両者敗者となって、本来なら私の一人勝ちなのだが、……プライドはズタズタ。その後のブラックホール回収作業が無かったら、しばらく落ち込んで立ち直れなかったかもしれない……。


 もう恋なんて、トラウマよ~!

 恋なんて、ブラックホールみたいなものなのよ~!


「……それで、話ってなによ」

 急に冷たく返事をしてしまった。

 そりゃそうだわ。……バツゲームと言われた私が喜んで話せるはずがない。


「今週の日曜日、もし良ければ僕とデートしてくれ」

 ……ああ……、こんな言葉を……こんな胸板の厚いイケメン男子に言われたら、昇天するような喜びにうちひしがれるでしょうね。


 ――あの勝負さえなかったら――!


「……この前のバツゲームだったら……別に気にしなくていいわ。野球部も春の選抜に向けて忙しいんでしょ。無理やりデートされても、私はちょっとも嬉しくないし」


 ……いや、本当はちょっぴり嬉しいかも。みんなに自慢できる。

 ――が、私にだってプライドがある。罰ゲームのデートなんて……ありえないわ。


 背中を向けて去ろうとした。しかし、橘君は私の手を掴んで、それをさせなかった。

「樋伊谷、実は僕は君に惚れたんだ。……そう素直に言えなかったからこの間はあんな事を言ってしまったが、本当ならディアブロとの勝負に――わざと負けても良かったんだ!」

「な! なんですって!」

 自分の声の大きさに驚いて、思わず口を塞いだ。


 ――顔が赤くなり、血液が沸騰するような感覚に襲われた。

 急に胸がキュンっと苦しくなり、鼓動がドドッとダブルストロークを刻む――!


 学校中のアイドルである橘君が、――私の事が好きですって?



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