来援
敵の来援がイナリと真奈美を攻撃し、またしても危機が訪れる!
イナリにも多数の来援がくるらしいのだが――。
来援
「――なにごと!」
痛い体を引きずり、なんとか立ち上がりながら聞く。
「――背後より新たな艦接近! 次元戦艦74930を確認。こちらを攻撃中! シールド後方に展開!」
『ハーハッハッハ、馬鹿め! 74930、遅いではではないか!』
「次元戦艦20202も……近接攻撃を開始。真奈美、もうブラックホール接近まで時間がない。退避を要請!」
大きく揺れる艦橋内のテーブルに掴まった。
「イナリはどうするのよ!」
「現在現れた74930の軌道を追って、私の味方である次元戦艦多数来援を確認済み。只し、艦内の酸素残量がそれまで持たない可能性あり――。真奈美をダッシュツポッドで射出。周辺宙域が落ち着けば援軍と供に確実に回収する!」
「それまでにやられちゃわない?」
大きな衝撃が何度も続いた。酸素の抜けるような音も聞こえてくる。
少し息苦しさを感じる――!
「シューシュー。酸素の抜ける音を音声で再現中」
……。
「超次元戦艦である私は大丈夫! 実は私は2重構造。……只し、生物を保護する環境は無し。さあ急いで。……強制移動実施」
足元の床が落とし穴のように急に開くと、長い筒状の滑り台で一つの小さな部屋へと送り込まれた――。
「扉横の赤いボタンを押して欲しい」
摩擦でヒリヒリするお尻と太ももを擦りながらそのボタンを探した。
そのボタンは大きくてすぐに見つかった。
「イナリ、あなたの使命は私の護衛なんだからね。一秒でも早く来なかったら承知しないから!」
「人の心配してないで、少しは自分の心配をして欲しいと教育中!」
「バカ!」
静かにその真っ赤なボタンを押すと、扉は一瞬で閉じた。
少し……振動し始める。
イナリとは別の音声が聞こえてきた――。
『ダッシュツポッド発射10秒前。なお、超次元戦艦80318はその後自爆します。衝撃に注意して下さい。5・4・3……』
――なんですって……。 ――自爆?
閉ざされた扉は叩こうが押そうがピクリとも動かない――。
もう一度赤いボタンを押すのだが、なんの反応も示さない――。
「……。
……悪かったように思う……」
それがイナリの最後の言葉だった。
扉にめり込むくらいの大きな重圧が一瞬かかると、聞こえ続けていた次元戦艦の衝撃音や振動が一瞬にして消え去った――。
次の瞬間――、耳を裂くような大きな爆発音と、ダッシュツポッドの壁をも貫くかのような閃光で、目を強く閉じた――。
「イナリ――!」




