表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボディーガードは次元戦艦オイナリサン!  作者: 矮鶏ぽろ
第一章 次元戦艦オイナリサン!
1/196

受取サイン(挿絵あり)

 イナリは黙って私を見ている。

 息を整えると……うつむいて静かに言った。

「……返品よ」



 プロローグ


 通信販売を利用したことはある?

 家に居ながらにして欲しい物を手にすることができる非常に便利なシステム。

 誰だって一度くらいは使ったことがあると思う。

 そんな便利な通販も、一歩間違えると非常に困惑したものとなってしまう。


 支払いを済ませているのに商品が届かない――!

 希望した物と全く違うものが届いてしまった――!

 注文した覚えのない物が勝手に送りつけられてくる――!


 これらは詐欺の可能性もあり、せっかく便利な通販を害する行為だわ!


 私も、想像を超えた通信販売詐欺に合い――困惑させられた……。

 

挿絵(By みてみん)

 

 受取サイン


 一二月三〇日の夜遅く、自分の部屋で冬休みの宿題をやっつけていた。


 ご丁寧に冬休みの宿題が山ほど出る私が通う私立高校……。生徒の学力強化を目指している訳ではない。休み中の生徒に暇を与えないことで、良からぬことをするのを未然に防ぐためなのだろう。


 冬休み中にハメを外す奴らが妬ましい――。


 だいたい、高校生にもなって日記なんて普通書かせる? それを提出? さらにそれを担任が添削?

 ……どう考えても担任の個人的な趣味か欲望がそこに隠れている気がしてならない。

 

 それでも私は落ちこぼれて救いようのないアホでもないから、出された宿題くらいは真面目にやっていた。

 昨日一日を振り返って日記を書いている途中……私宛てに宅配便が届いた。


 ……でも、どうやら私は日記を書く途中でウトウトしていたようで……。


「こんばんは。遠距離宅配便です」

 こんな夜遅くに一体何?

「申し訳ございません。高速遠距離宅配便です。()伊谷(いだに)真奈美(まなみ)さんですよね」

 ……そうですけど。


 ――普通宅配便は昼間に持ってくるものでしょ。眠っている時間に持ってくるなんて……。


「申し訳ございません。高速宅配便ですので、容赦なく持って来させて頂きました。印鑑かサインだけで結構ですので、受け取りよろしくお願いします」

 高速だから容赦なしってのが――少し笑える。

 でも、あー困った。私は印鑑なんて何処に置いてあるか分からないのよ。

「じゃあ受取のサインで結構です」

 真っ暗で良くわからない。

 サインする? どこに? 何にサインするのよ……。

「どこでも結構ですよ」


 その声自体が――どこから聞こえてくるのか分からない――。


 もしかして、詐欺かしら? あとで何かあるとか……。

「何もないですよ。あなたのお名前でのご注文ですから、できれば受け取りだけはお願いしたいんですけれど……」

 そうよね。受け取らないと、配達する人も大変だもんね。

 私はサインした。ペンも持たずに、一体何にサインしたのかもわからない。

 ……サインしたような気になった。果たして、本当にこれでいいのかしら?

「はい、結構です。確かにお渡しいたしましたので確認をしておいて下さい」

 ん? 確認って何を? 

 何も受け取っていないんですけど――。


「毎度ありがとうございました~」


 ――ちょっと待ちなさいよ!

 まだ何も受け取っていないって――!


 勢いよく手を伸ばしたところで目覚めた――。



 机の上の日記帳が――よだれでベトベトになっている~。

 時計を見ると深夜の一時五七分。周りを見ても何も置いてないし、家族は全員とっくに眠りについている。

 ……変な夢?

 冬休みは昼と夜が反転してしまうことが多々あるが、正月前なら別に問題はないだろう。

 ベトベトの日記帳をそのまま閉じ、天井の照明を消すと、ベッドへと移動した。

 ……日記は明日書こう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ