four 2人ででかけた夏の日。
夏休みもあと半分という8月のある夜のことだった。
明日は部活も課外もない。夜更かししようと思って、久しぶりに押入れにしまっておいた、漫画を出してベットでゴロゴロしてた。
ブーブー
携帯がなった。
(メールかな
私はロック解除してメールをチェックする。
(だれだろ。
中村くんからだった。
あの日、帰り一緒に帰って、メアドを交換した。
初メールにちょっとドキドキする。
(なんのようかな。
開いてみると、2文程度の短い文が書かれていた。
『昨日はありがとう。明日ヒマ?』
『うん、ひまだよ。』
そう打って送信する。
すぐに返信がきた。
『出かけない?』
(でーとのおさそい?!
『うん。』
『明日10時に駅の時計台の前で待ってる。』
『了解』
メールが終わると、漫画を押入れに戻して布団に入った。
10時
私は時計台の前にいた。
空を見上げると、雲一つなくて、青空が広がっていた。
セミの鳴き声が暑さを感じさせる。
半袖の白いワンピースに髪をハーフアップにまとめてみた。
(中村くん、こういう格好好きかな。
スマホを鏡代わりにして、前髪を整える。
今日、どこにいくか、まだ教えてもらってない。だからどこに行くのかちょっと気になる。
(まだかなぁ。
真上の時計台をみると、10時10分をさしていた。
「ごめんごめん!」
振り返ると、中村くんが息を切らしながら立っていた。
「まじごめん!」
両手を合わせ謝られる。
「大丈夫だよー。」
そういって中村くんをみると、目があった。
恥ずかしくて中村くんの胸元にめをそらす。
無地の半袖に薄いパーカーを羽織って、七部丈のズボンに黒いスニーカー。制服じゃない中村くんを見たことがなくて、その前に私服姿の男子が小学校の時以来でどきどきする。
「あの…」
歩きながら駅に向かう。
彼が気恥ずかしそうに切り出した。
「ん?」
「今日、かわいい。似合ってる」
それだけ言うと、彼は持っていたタオルで顔を隠してそっぽ向いた。
私も恥ずかしくてそっぽ向いてしまう。
(嬉しい。中村くんもにあってる…。
切符を買って、ホームまで歩く。次の電車まであと5分。
ホームには人が全然いなくて、しいていえば、イスに座って新聞読んでるおじさんくらい。
みーんみーん
とうるさいくらいにセミがなく。
相変わらず雲がない青空が広がっていて、まるで私たちを照り焼きにするつもりのようにジリジリと照りつける。
でも、その気温が私にはちょうどよい。みんなが汗を流していても、寒がりで冷え性の私にとっては夏というのは大好きな季節。
逆に冬が大嫌い。私にとっては地獄でしかない。人の二倍着込まないと寒いし、冬におしゃれなんて出来ない。
電車がきてドアが開いて私たちは絶句した。
満員電車の域を越した満員電車だったからだ。
幸い10人くらいおりたから、隙間ができて私たちは乗り込むことができた。
電車が発車するとまわりは人で捕まるところのない私は立っていられなかった。
それに冷房ガンガンで一瞬にして私の体は凍りついた。
その時だった。
「危ないから、捕まりなよ。」
彼の手が私の前に差し出された。
三秒ほどためらったけど、決心して彼の手のひらに私のても重ねた。彼は優しく私の手を握った。
彼の温かい体温が伝わってくる。
冷えた私の手を冬の太陽のような暖かさで私を包んでくれる。
彼の手は私より一回り大きくて、ちょっと堅い。
恥ずかしさでいっぱいで顔が赤くなるのがわかる。もしかしたらにやけてるかもしれない。
彼が優しくつなぎ直す。
そのたびにドキ、と胸が高鳴る。彼に私のドキドキ聞こえてしまってるんじゃないかって不安になる。
「相馬さん」
「な、なに?!」
ふいに話しかけられて、びっくりする。
「暑いね」
彼をみると、額に汗がにじみ頬には汗が流れていた。
私には全然わからなくて、返事に困る。ぎゃくに冷房ききすぎて寒いくらい。
「う、うん。」
「あ、ごめん。相馬さんは寒がりなんだっけ。あー、いいなぁ。分けてほしいー。」
「私だって分けてほしいよー。冬困るんだからー。」
「そか!冬寒いよな。寒がりにはきついかぁ。俺冬だいすき!」
ウキウキしながら私の目を見つめる彼にちょっと微笑んでしまう。(かわいい…
電車を降りると、そこは小さい頃よくいったあの場所だった。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに。