one. アイス
いつから君のこと好きだったんだろう。
気がついたら好きだった。
昨日も今日も明日も明後日も。この先ずっと君が好きだとおもう。
恋は甘くて、時に自分が溶けそうになる
恋は苦くて、時に消えてしまいそうになる
どうして好きなのか、どこが好きなのか、いまだによくわからない。
でも、君が好き。これだけは確信がもてる。
ある日突然君を好きだと気づいてしまった高1の夏ー
「今日も暑いね」
彼が私の脇を歩いている。
私がちょうど真上をみると、彼の顔がある。
「うん、今日は暑いねぇ」
「相馬さんがいうなら相当暑いんだね、今日。」
「ふふふ。そうかもね。」
そんなはなしをしながら炎天下の下、みんなへの差し入れを買いにコンビニへ向かう。
10分前-
「男子ー、大道具できたー?」
委員長のさゆりちゃんが声を張り上げて、黒板の前にいる男子たちに声をかけた。
「まだまだだよ。てか、暑くて仕事になんねぇ。」
赤のペンキを白い板にぬりたくってた男子がさゆりちゃんの言葉に答える。
「暑いって…こっちだって暑いんだよ!」
さゆりちゃんちょっとキレ気味に答える。
みーんみーん…外ではうるさいほどセミの鳴き声が聞こえてくる。
うちの学校のクーラーは壊れてるみたいで夏休み明けまで使えない。だから、結構辛い。
私たち女子も、頑張って衣装を縫っている。
あと一週間後に迎える予定の学芸会。うちのクラスは白雪姫をやることになっている。
高校生になっても、学芸会あるなんて…ってみんな言ってるの。
でも、なんだかんだ楽しんでる。
「俺、アイス買ってくるよ。なにたべたい?」
段ボールで木を作っていた、中村くんが急に立ち上がって大声で言った。
「俺、氷あいすー。」
「俺大福アイスね。」
「うちもうちもー!」
次々にみんなが言い出す。
「そんないっぺんに言われたら忘れる。」
中村くんが困ったように腰に手を当てる。
「待って。大福アイスがいい人?」
そういうと、15人くらい手をあげた。
「他の人は氷あいすでいい?」
手のひらに何かをメモりながら言った。
「じゃあ、行ってくるよ。あ、でも相馬さん、今平気?」
「へ?!」
私はびっくりして、針を指にさしてしまった。指に激痛が走る。
「一緒に行ってくれない?」
指から血が出てきちゃってるけど、そんなことよりも、中村くんに誘われた方にびっくりしすぎて、身動きがとれない。
「実桜、いってきなよ。」
さゆりちゃんにそう言われ我に返る。
「中村一人じゃ買い忘れそうだし笑」
まわりの女子も言い出した。
隣にいた、未夜に背中を押されて中村くんの元へ行く。
「ほらほら、いってらっしゃい。」
みんなにせかされ、教室を出た。
「このアイスを15個買えばいいんだよね。」
大福アイスを冷凍ケースに入ってるものを丸ごと取り出す。
店員さんに軽く睨まれるけど、気にしない。
「そうだよ。氷あいすも買わないとねー」
カゴにアイスを詰め込む。
レジに向かおうとすると、中村くんが
「先いってて。」
と何か思い出したように言った。
先に歩いてレジへ向かう。
「1500円になります。」
そう言われて気がついた。わたし、お金もってきてない。
どうしよう。そう思ってると、中村くんが後ろから現れた。
「これも。」
と言って、紙パックのピーチジュースを二つ渡した。
「はいよ。」
中村くんが財布から1000円札と小銭何枚かを取り出すと、店員さんから、アイスの入った袋をもらって、歩き出していた。
私も急いで後を追いかける。
コンビニの外へ出るとまた、もあっとした空気が私たちを包み込む。
「これ。」
と言って中村くんは私にピーチジュースを渡した。
「え。」
「こんな暑いのに、誘ってごめんな?俺のおごりだから飲みな。」
中村くんもピーチジュースを取り出して、ストローをさした。
「そんな、いいのに。」
「いいよいいよ。俺のおごり。おごらせてよ。」
にっこり笑って言われたら、何も返せないじゃない。
ちょっと困っちゃう。
「よく考えたらアイス溶けるね。」
「あ、そうだね。暑いもんね。」
「日陰通って行こう。」
木の影や家の影、人の影、信号の影。あらゆる影を通って、教室まで帰った。
「ただいまー。」
その瞬間、男子がアイスにつめよる。
続いて女子もつめよる。
私たち二人でアイスを配っていく。
ただそれだけの作業で、なんだかちょっと楽しい。
横目で中村くんを盗み見する。少し焼けた肌に汗がにじみ出てる。
横顔の中村くんもなかなか素敵。
そう思ってたら、中村くんと目があってしまった。中村くんが微笑む。でも、私は微笑めなかった。
見てたのばれたかな。
急いでそらして、周りを見渡す。
恥ずかしくて、顔が暑くなる。
もういやだ…私だけ恥ずかしいなんて…
読んでいただいてありがとうございます。
久しぶりの連載(`・ω・´)
次回も読んでくれたら嬉しいです




