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ぼくらのTRPG生活  作者: K島あるふ
#01_ぼくらのTRPG生活
6/208

06契約書を求めて

 ラ・ガイン教会はこのアルセリア島北部に根を張る地方宗教である。

 ニューガルズ公国の西の古都『レナス』にて発祥し、今は首都ニューガルズ市に本拠地たる大聖堂を置いている。

 最高地位はニューガルズ市大聖堂におわす法王猊下。続いて大司教、司教。各街の教会には管理者として司祭がいる。

 信望される神は『始まりの巨人(ラ・ガイン)』。神の子たる自覚を持ち、戒律を守り、誠実、清貧に暮らすことを教義とするが、組織内部の醜聞が巷に知られるようになって久しく、最近では教会内部に原典回帰派が生まれつつある。

 また、教会内の要人警護の為、教会警護隊という『警護官(ガード)』部隊がある。




「はぁ、いったい全体どうなってるんだ。それでオレたちゃどうすりゃいいんだ」

 朝に訪れた食堂のいちテーブルを再び占拠し、アルトは硬い木の天板に額を何度もこすりつけた。

 時すでに夕刻。他の客もちらほらと見え始めている。

「ホント、困ったもんやねー」

 早速注文したエール酒をちびりちびりとやりながら、モルトは大きなため息をつく。朝のテンションと比べると、かなり落ち込んだ雰囲気だ。

「ねぇねぇ、アタシなにがなんだかわかんにゃーだけど?」

 さっきから黙ったままのマーベルは、要するに理解が追いついていないだけだった。


 不動産商人ゼニーは、首都ニューガルズ市にあるラ・ガイン教会本部の財務課から、処分物件として件の屋敷を買い受けた。

 先ほど改めて聴いたところ、物件は数ヶ月前にアルパ市の司祭位・ウッドペック氏が、教会の運営費で購入した物らしいのだが、財務部の方で『用途不明物件』として処分されたそうだ。

 これがゼニー氏から聞いた物件入手のあらまし。

 しかしその屋敷には、現在『ウッドペック氏と契約を交わした』という、ゴブリンの一団が居を構えている。その手の内には契約書も握られていた。


「わけわかめ」

 事情を尋ねようとラ・ガイン教会を訪れてみたが、残念ながらウッドペック氏は留守だった。

「なにやってんだ、ウッドペックさんよーっ」

 昨晩、アルトたちに泊まっていく様に申し出てくれた、人のよさそうな司祭の姿が脳裏に浮かぶ。

 これぞ宗教家のあるべき姿だ、とあの時は感心したが、その裏では教会の運営費を使い込んで不動産売買などしてたわけだ。悪い人には到底思えなかったが、アルトは自分の人物評価に自信がなくなってきた。

「あーあれや、孤児院とかにしたかったんとちゃう?」

 自らも世話になっているモルトも、何とかフォローらしき考えを模索する。稼がせてもらった酒代分くらいは恩義を返さねば、と言う気持ちだったかもしれない。

 しかし、借主のゴブリンの存在が、孤児院の可能性を否定する。

 結局、モルトもアルトに追従するようにテーブルに額をつけた。

「家なきゴブちゃん達に家を貸してあげた、とか?」

「それが本気なら、ウッドペックさん超良い人」

 教会近所の人によれば、困った人を助ける労力を惜しまない、誠実な司祭だそうだ。

 ゴブリンと言えばこの世界の誰に聞いたって『邪悪』と答えるのが常識だ。ウッドペック氏がそんな妖魔と取引してしまうような人物には到底思えなかった。

「まぁ理屈はええねん。仕事は仕事やし」

 情報もない以上、考えたって仕方がない。推理推論を重ねる事を放棄したモルトは、しぶしぶと顔を上げ、飲みかけのエール酒を一気に煽った。

「ウチらはなんとかゴブっちに出てって貰わな」

 モルトの言葉に、マーベルがぴょこんと立ち上がる。席から立っても目線が変わらない。椅子が高いのだ。

「地上げ作戦いっちゃう?」

「『立ち退きの強制執行』やな」

 なにやら専門用語っぽく聞こえるが、ようは実力行使による屋敷の奪還に他ならない。簡単に言えばゴブリン叩き出し作戦である。

 そうなれば当然ながらゴブリンの一団と構える事は必至だ。

「そもそも法的根拠があるのかないのか」

 モルトの専門用語に触発されて、アルトも顔を上げ頭を捻る。安い家を購入したら、知らないヤクザが居座っていて、結局立ち退き料を取られてしまった。なんてドラマを昔見たことがある。状況は似ている。そうなるとやはり一筋縄ではいかないのか。

「今の日本やったら、裁判所に申し立てて『強制執行』してもらえるみたいやで」

 しかし日本の法律事情を話しても、結局何もならない。ここは異世界なのだから。つまり『強制執行』なら結局は自分らの手で行うしかない。

「つまりは戦って勝ち取れ、って事か」

 問題は他にもある。『退治してやろう』と押し入った先で、忌むべき妖魔に自分ら以上の理性的な対応されては、こちらも意を貫くのにバツが悪いわけだ。

「他に方法は?」

 出来れば戦闘したくない。これは今のところ一貫したアルトの優先事項だ。モルトが加わった今なら、魔法ですぐさま治るとはいえ、殴られるのも斬られるのも痛いし怖い。

「そもそもの原因が賃貸契約やから、契約が失効すれば納得するんやない?」

 あごに指を当てて考える態のモルトは、天井のランプを眺めながら答える。

「『甲の持つ契約書が破棄された時』ってやつか。この文言じゃ貸主の意思で一方的に契約破棄できるよな」

 しかしその契約書はおそらくウッドペック氏が持っている。だがその住まいである教会には、今日は誰もいないようだった。

「こりゃむつかしいにゃ」

 夕飯にと注文した野菜の生姜煮スープとサンドイッチをほお張りながら、マーベルは興味なさ気に返事する。すでに考える事を放棄しているのだ。

 それに習って悩むのをやめ、エール酒を楽しむ事に集中する事にするモルト。傍らには今朝食べ損ねた鶏の香草焼きが暖かい湯気を立てていた。

 未だ1人だけ難しい顔のアルトは、レモン水と一緒に一番安いパンの耳揚げをちびちびと齧っていた。

「ウッドペックさんの帰宅を待つしかないか」


 食堂は少し早い夕食や、仕事帰りの一杯を楽しむ人々で賑わっている。さまざまな料理の香りが、人々の笑い声にとけて漂っていた。

 興が乗った『吟遊詩人(バード)』が陽気な音を奏で始める。

「なかなかええ曲やな。この音はオルガンやろか?」

 中世ヨーロッパのオルガンは、すでに現代の形に近いものがあったようなので、この店の規模にあってもおかしくはないだろう。

 しかしお客の少なかった朝の時間にはそれらしいモノを見た覚えはない。夕方になって運び込んだのだろうか。

 モルトは少し伸びをしてその目で確かめようとしたが、『吟遊詩人(バード)』を囲む人の波で、残念ながら直接にお目見えする事はできなかった。

「ずいぶん盛況だね。有名な『吟遊詩人(バード)』さんなのかにゃー?」

 マーベルも興味をそそられたのか、目を瞑って頭上のねこ耳を傾ける。


 *******


 『吟遊詩人(バード)』もまたプレイヤーが選択可能な職業(クラス)である。

 どちらかというとロールプレイ色の強い職業(クラス)である『吟遊詩人(バード)』は、そのスキルも、街などで曲を歌い演奏する事で金銭を得る『ステージセッション』や、宮廷作法に長じる『ノーブルマナー』など、戦闘以外で使用するものが多い。

 戦闘では『呪歌』という魔法に似た効果を発する歌を奏でることもあるが、魔法職に比べるとその種類は多くない。

 また魔法と違い、対象が『曲を聴くもの全て』である点が特徴的だといえる。


 *******


 どこか現代的で、テンポのいい曲だった。

 テンポはいいが、やさしげだったり、楽しげだったり、『吟遊詩人(バード)』の奏でる曲は実に多彩であった。

 アルトたちは来たばかりで、この世界の流行曲はわからなかったが、その曲たちは耳慣れしたもののように、するりと心に染み込んで来た。

 『吟遊詩人(バード)』の腕がいいのかリクエストやアンコールを何度も受けているようで、店内を彩る音楽は次から次へと移り変わった。

 先が見えずに苛立っていたアルトは、やさしく空気に溶ける音階の流れに、心のささくれが少しずつ解けていくように感じた。

 3人はしばし音楽に身をゆだねる。

 目を瞑ると自分の心がいかに疲れていたのかわかった。

 昨日、わけもわからずにこの世界で目覚め、夜に睡眠をとって身体は癒えても、心は休んでいなかったんだと実感した。

 楽器の音は流麗優美という訳ではなく、多少つたない箇所もあった。歌声も野太く、オペラのように雄々しく滑らかではない。それでも魅力ある演奏はそれからさらに1時間は続いた。音を楽しむ人々には、その時間はとても短く感じただろう。もちろんその中にはアルトたちも含まれる。

 割れんばかりの喝采があがった。

 どうやら『吟遊詩人(バード)』が演奏の終わりを告げたようだ。

 店内は『吟遊詩人(バード)』をたたえる言葉で満ち、お捻りの銀貨が飛び交った。その様子も優に数分は治まらなかった。


 しばらくして、立ち上がっていた客たちも自分の席に戻り、店は再び歓談の空気に満ちていった。

 音楽の批評をぶち上げる者、その日の稼ぎや仕事について語る者、料理と酒の味を称える者とさまざまだったが、演奏に聞き入っていた時のような一体感はすでに無かった。

「あーオルガンや無くて、『手風琴(アコーディオン)』やったんやな」

 モルトの視線の向こうで先ほどの『吟遊詩人(バード)』が楽器の手入れをしていた。

 背が低く、酒樽のような太い腹回り。赤茶けた顔に切り揃えられたカストロ髭。それは大地の妖精族『ドワーフ』だった。

「『ドワーフ』で『吟遊詩人(バード)』て、なんか見覚えと言うか聞き覚えと言うか」

 アルトのそんな呟きに、件の『ドワーフ』は彼らに振り向き、髭の中からニッコリと笑うのだった。


 *******


 『ドワーフ』はプレイヤーが選べる種族のひとつで、鉱山などに住む大地の民だ。強靭な肉体と精神力を持つが、反面、脚が短く敏捷が著しく低い。また知力の点から魔法の使用に適さない事も多い。

 高い器用さも特徴で、鍛冶、装飾物、細工物などを作る優れた職人が多い事でも知られている。キャラクタ作成で『ドワーフ』を選んだ場合、何かしらの職人技能を与えられるというルールの由来である。


 *******


「いやいや皆さん、ご無事で何よりですな」

 真っ白なワイシャツ、赤いチェック柄のチョッキに深い緑のベレー帽を合わせたドワーフは、その帽子を胸に当てて仰々しくお辞儀をする。

 あの部屋に集まり、共にゲームをする予定だった仲間の1人、レッドグースである。

「おっちゃんも元気そうで何よりや」

「ワタクシは『吟遊詩人(バード)』、しがない音楽家(ミュージシャン)ですからな。どこでも元気にやっていけます。ほれ」

 そういって持ち上げる皮袋には、銀貨がたくさん詰まっているようだった。先ほどの演奏で稼いだお捻りだろう。

「すごーい、ねぇ、いくらいくら?」

「先ほどので銀貨40枚ほどですかな」

「くっ、『学者(ワイズマン)』じゃなくて『吟遊詩人(バード)』にしておけば…」

 皿の上のパンの耳揚げを恨めしそうに睨みながら、アルトは先の選択を真剣に悔しがるのだった。

 そんな世間話をさえぎるように、レッドグースは一つ小さく手をたたいた。

「さて皆さん、早く食事を終えて仮眠ですぞ」

 突然の提案に唖然とする一同。いきなりすぎて意味不明だ。

「夜半にはそう、教会に忍び込まねばなりませんからな」

 声を潜め、髭を揺らして笑うレッドグース。だがその瞳だけは笑っていなかった。




 酒場も閉まる夜半の刻。街灯もない街並みは寒々しく、そこには野犬すらも見当たらない。

 そんな静かな街角に4人の人影があった。

 ゴブリン説得の鍵を握る賃貸契約書を手にするべく集まった、アルト、マーベル、モルト、そしてレッドグースだ。

 マーベルの手には相変わらずGMも鎮座ましましているが、たまにシステム上の説明をしてくれる以外、ほぼ無言のままだった。

「おのおの準備はよろしいですかな?」

 食堂で被っていた深緑のベレー帽を手拭のほおっかむりに変えたレッドグースが一同の顔を見回す。どれも緊張の色を湛えていた。

「これ、よく考えると泥棒みたいだにゃ」

「いや、よく考えなくても泥棒だよ」

「疑う余地は粉みじんもあらせんねぇ」

 無音の街に響かぬよう、できる限り潜めた声で額を寄せ合う。1人、レッドグースだけは悠然とした表情だ。

「泥棒などと人聞きが悪い。ちょこーっと勝手にお邪魔して、ちょこーっと拝借するだけですぞ」

「それが泥棒じゃなかったら、国語辞書がおどろくわ」

 昨日から何度目になるかの『どうしてこうなった』を呟き、アルトは深くため息をつく。ガチの斬り合いを避けた結果、泥棒にまで成り下がろうとしているわけで、ほとほと情けない気分だった。

「なに、すでに屋敷はウッドペック氏の手を離れているのです。それに伴う煩雑な手続きを代行して差し上げようという親切心ではありませんか」

 そんなアルトたちを率いるように進むレッドグースの声には、微塵の罪悪感も存在しないようだった。

 こそこそと、そんな話をしている内に、足はどんどん進み、ほどなく目的の教会にたどり着いてしまう。

「勝手口、鍵かかってんでー」

 大通りから裏手に回ると、キッチンに直接続く小さな扉がある。昨晩、ツマミを求めて教会内を彷徨ったモルトはすでにその存在を知っていた。モルトはそっとノブを確認し、首を横に振る。

「おやおや、はたしてそうですかな?」

 怪訝そうなモルトと入れ替わるようにドアの前に立ったレッドグースは、ポケットから何かを取り出してドアノブに向かった。取り出したのが何であったか、いったい何をしているのか、街はあまりに暗かったので判別がつかなかった。

 しかし数秒後に訪れた結果により、状況は判別した。

「ふーむ、このドアに鍵などありませんな」

 そう言って退いた先のドアは、言葉の通り開いていた。

「おっちゃん、『吟遊詩人(バード)』だけやなくて、『盗賊(スカウト)』やったんか」

「いえいえ、ほんのサバイバル術。旅人のたしなみですぞ」

「そういうキャラクターどっかで読んだにゃ」


 *******


 『盗賊(スカウト)』は戦闘にかかわる技能を殆ど持たない職業(クラス)である。

 その役割は『鍵開け』『罠探し』『価値鑑定』など、宝探し(トレジャーハント)に欠かせない存在だ。

 戦闘で剣を振る職業と違い、使いどころに対する気付きやひらめきといった、プレイヤー側の発想力も要求される職業でもある。

 スキルには『ハイディング(潜伏)』や『サイレントムーブ(忍び足)』といった、職業特性を生かす為のものが多い。


 *******


 この際、レッドグースに対する追求などは些細な事項だった。

 すでにドアが開いてしまった以上、侵入しようがしまいがすでに罪人決定である。もっとも罪の重さは違うだろうが、この期に及んでは『もうどうにでもなれ』である。

「確か台所の先が食堂で、さらにその先にトイレがあったっけ」

 昨晩はこの台所でモルトと再会したし、トイレはマーベルとの思い出(?)でもある。

 短い廊下を進めば治療を受けた礼拝堂に突き当たり、挟んで向こうの廊下を進めば各寝室や執務室だ。

 勝手知ったる、と言うほどでもないが、一度来れば迷う程の複雑さもない。そんなこじんまりとした教会である。

「契約書はどこかにゃ?」

 侵入してしまった事により開き直ったのか、さっきの緊張から一転、ケロリとした表情のマーベルは暗い廊下をキョロキョロと見回した。ねこ耳ではあるが猫の暗視は退化している『ケットシー』にとって、その暗闇は人間の目と同じ程度にしか見えない。

「あるとすればウッドペックさんの執務室か」

「ここからやと一番奥やね」

 慎重に足音を立てぬよう気を配る。が、アルトは『鎖帷子(チェインメイル)』を、モルトは『胸部鎧(キュイラス)』を着込んでいるので、動くたびにカチャカチャ、ジャラジャラという音が立つ。それでも忍ぶのを諦められないのは、未だ残る罪悪感の賜物だろう。

「暗いですな。誰か明かりをつけませんか」

 忍び足に気を配るアルトたちとは対照的に、粉微塵も気を使わないレッドグースだ。まったく神経が太い事。

ライト(魔法の灯)は『魔術師(メイジ)』の魔法やしなぁ」

光の精霊(ウィスプ)召還は『精霊使い(シャーマン)』2レベル。アタシはまだ1レベルにゃ」

「そうなると松明だな。廊下は窓があるから、礼拝堂に入ってからにしよう」

 アルトが背負うナップサックから松明と火打石を取り出す。松の樹脂の多い部分を細かく割いて束ねたものだ。火をつけ易いように、先には油の染みたボロ布がついている。

 暗闇に不安をかきたてられてか、率先して礼拝堂に入ったアルトはすかさず松明の火付けにかかる。

 松明などに火をつける道具として、メリクルリングRPGでは『火打石』が用意されているが、これはゲーム的利便性を高める為、なんとライター並みの着火性能を持っている。なのでアルトは別段苦労もせず、松明に火を灯す事に成功する。


 燃え上がった炎の灯は、祈りの為の聖なる間を幻想的に照らし出した。

 電気の灯に慣れ親しんだ現代日本人にとって、燃え盛る炎による、けっして明るいとは言い切れないそれは、僅かながらでもロマンを感じさせるの灯火でもあった。

「キャンドルサービスみたいやな」

 現代人には松明より蝋燭の方がまだなじみがあるだろう。モルトは親類の結婚式などを思い出しながら、美しくも原始的な炎の輝きに吐息を漏らした。

 男子であるアルトは逆に胸の高ぶりを感じる。荒ぶりといってもいいかもしれない。偏見的な演出をする映画などで、未開の原住民が炎を前に踊り狂うさまを思い出し、その気持ちもわかる、と誰にともなく頷いたりした。

 ふと、そのロマンの灯火が照らす礼拝堂の中央に、何かの影が2つ照らされた。暗がりに照らし出されるそれは人影のようだった。

「!」

 ギョッとして声を上げかけ、アルトは慌てて空いた手で口を押さえる。

 慌てて見回せば、皆一様に驚いた顔だった。

 意を決し、恐る恐る松明をかざす。姿勢はいつでも逃げ出せるような及び腰だ。

 松明の弱々しい灯りに照らし出されたモノ言わぬ2つの影。それはうつろな目をした2人の『警護官(ガード)』だった。

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