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プロローグ 

 爆音が彼方此方から鳴り響き、闇夜の空を焔の赤と土煙が覆う。


「ぎゃあああ!!!」

「うおぉおおお!!!」

「キャーー!!!」


 阿鼻叫喚。

 至る所から悲鳴と咆哮が交差する。

 立派に発展した都市は見るも無惨に跡形もなく、瓦礫の山と化している。

 惑星ネカサ。資源が豊富で文明レベルも高い、ネカサ星人の暮らす星である……否、暮らす星だった。


「この……この侵略者共め!!!」


 ネカサ星人の男が、獣の耳と尾の生えた侵略者の少女に銃口を向ける。

 しかし少女に焦りや恐怖はなかった。

 男が決死の覚悟を滲ませ、引き金を引く。

 乾いた音と共に銃弾は真っ直ぐ少女へと向かっていった。

 だがしかし。


「あ……ぁあ…………」


 男が言葉にならない声を漏らす。

 勢いよく放たれた銃弾は、少女の額を打ち抜く前に、少女の右手によって軽々と受け止められてしまった。

 少女は特に何の感情も映していない表情で、たった今受け止めたばかりの弾を親指で弾き返す。


「あ"ッ…………」


 悲鳴にもなっていない鈍い声が上がった。

 心臓を撃ち抜かれた男はそのまま真後ろに倒れてしまう。

 だが、男はまだ死んでいなかった。最期の力を振り絞って、息も絶え絶えに男が口を開く。


「……き、貴様らッ……つ、つきね、こッ……ぞくに……み、らいがッ……あるとッ……お、おも、うな……ヨッ!!」

「…………」


 既に男に意識を向けていなかった少女が、男の遺言を聞き届けていたかどうかはわからない。

 しかし、例えどちらであっても、この言葉が少女達……月猫族つきねこぞくの運命を指しているなど、この時は知る由もないことだった。


 そして、この日の夜。

 惑星ネカサは滅び、ネカサ星人と言う一つの種族が宇宙から消えてしまったのであった。



 *       *       *



 この宇宙にはかつて最低最悪の種族が存在していた。

 生まれたながらに凄まじい戦闘能力を持ち、残酷な嗜虐性と好戦的思考を兼ね備えた“戦闘狂集団”。虎の耳と尻尾という宇宙でも類を見ない特徴を有した彼らの名は月猫つきねこ族。

 イタガ星という純白の星を故郷に持つ戦士の一族だった。

 月猫族の殆どがイタガ星と共に滅んでしまった今でも、彼らの悪名は忘れられることはない。圧倒的な恐怖と憎悪が、宇宙中の人々の心に深く刻まれているのであった――。

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― 新着の感想 ―
ガンダム好きとしては宇宙のお話は面白いです。続きが気になりますね。
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