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17 ルーナとリュークレイン


暫く抱きしめられた後


「さあ、リナ、そろそろベッドに戻ろうか?」


と、リュークレインさんが、床に座り込んで私を抱きしめているリナティアさんを………私ごと抱き上げた。


『ひぃーっ!?』


グンッと一気に視線が高くなり、ビックリしてリナティアさんにしがみつく。


「「……………」」


はい。ビックリして耳が垂れ下がってますよ?逆に、ビックリして尻尾は逆立ってますよ?必死に肉球のある手でリナティアさんにしがみついてますよ?これでも狼ですよ?ハートはチキンですけど?何か問題ありますか?無いですよね?なので、そんな可哀想?な子を見るような目で見つめて来るのは止めてもらえませんか?


「お兄様、どうしたら良いのかしら?」

「うん。そのままで良いんじゃないかな?」


ー何が?ー


そのままじゃなくて、できれば下ろして欲しい。(狼だけど)犬って、高い所は苦手なんですよ?───多分。


リュークレインさんは、私達を抱き上げたままベッドまで運んでくれた。


ーと言うか、重くないのかなぁ?ー


無意識にリュークレインさんの腕に、ムニムニと手を当てる。


ーわぁ…流石は騎士様なんだろうか?筋肉が凄いー


「───可愛過ぎないか?」

「──えぇ、可愛過ぎるわ。お兄様、どうしたら良い?」


リュークレインさんの筋肉に気を取られて、2人の会話は私の耳には入って来なかった。





「リナ、起きていて大丈夫なの?」


あれから、リナティアさんにギュウギュウ抱きしめられた後、侍女さんが持って来てくれた果物を、餌付けされるかのようにリナティアさんとリュークレインさんに食べさせられ、お腹いっぱいになって横たわると、2人からの撫で撫で攻撃にあった。撫でられるのは、本当に気持ちいい。特に、リュークレインさんに撫でられると、ホッとして眠くなって─うとうととしかけた時、アシーナさんがやって来た。


「叔母様!態々来てくれて、ありがとうございます。それに、ルーナを連れて来てくれて、ありがとうございます」


リナティアさんは、笑顔でアシーナさんにお礼を言っている。少しは、気持ちも落ち着いたのかもしれない。


ー良かったー


「大事な可愛い姪の事ですもの。いつでも直ぐに来るわよ」


アシーナさんも、笑顔でリナティアさんを抱きしめた。そんな2人を(眠くて)ポヤーと眺めていると


「まぁ、この子がルーナなのね!?可愛いわね!」

「アシーナと同じ、月属性だな?」


と、美男美女な2人にワシャワシャと撫でられた。


『??』


伏せの状態から首だけを持ち上げ、コテンと首を傾げると


「「可愛い(な)!!」」


と、更に撫でられた。


ーくぅ…気持ちいい!!ー


と、私は撫でられるままに撫でられ、そのまま眠りに落ちた。




******


あれから爆睡してしまった私が目を覚ますと、何故かリュークレインさんの膝の上だった。


寝起きにイケメンの膝上──心臓に悪いので、止めていただきたい。


ー撫でられるのは、気持ちいいけどー



ちなみに、私が寝落ちする前に私を撫でまくって来た美男美女が、リュークレインさん達の両親だったらしい。


リナティアさんは?と言うと、どうやら気持ちも落ち着いたそうで、何故倒れる事になったのかを含め、ここ最近の事を両親とアシーナさんに話をしているとの事だった。

リュークレインさんも聞かなくて大丈夫なの?と思ったけど、どうやらリュークレインさんは第二騎士団副団長として、既に色々と事情を知っているらしく、その話の場には同席せず、私の相手をしているとの事だった。


「俺から言えない事もあるからね」


と、少し怒ったような笑顔で呟いたリュークレインさん。ピリッとした雰囲気に、動物の本能?が反応して、体がブルブルと震えると「あー…ルーナ、すまない……」と、少し困ったように笑いながら謝られた。


ー流石は騎士団の副団長様。圧だけで怖いー


それでも、やっぱりリュークレインさんが撫でる手は、優しくて温かい。


「────そう言えば……ルーナの瞳()黒色だったなぁ?」


ひょいっと、顔を両手で持ち上げられて私の瞳を覗きこんでくるリュークレインさん。


ー近い!顔が近過ぎる!ー


イケメンは陽真で慣れていた筈なのに、イケメンのレベルが違うからか、はたまた恥ずかしいからか、心臓がバクバクと音を立てている。


()()も、瞳の色までは分からなかったが……珍しい黒だったな。白銀と言うのも、ルーナみたいだったな。」


ーえ?ー


「ま、あの森に……ましてや夜に……あんな所に女の子が1人で居たなんて……きっと見間違いだよな?」


ーひょっとして、あの満月の夜の時に見られてた!?ー


見られていたとしても、リュークレインさんの様子からすると、女の子(ソレ)ルーナ(わたし)だと言う事には気付いていない感じだ。


「うーん……本当に、ルーナが白狼なのが…残念だなぁ」


と、リュークレインさんは、私の顔をそっと膝上に下ろした後、また優しく背中を撫で始めた。




ー“実は私は人間(女の子)です”と言えば、どうなるんだろう?ー




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